NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドリームキャッチャー 呪われた魔除け」(50点/オカルト)

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■■■「ドリームキャッチャー 呪われた魔除け」■■■
(50点/オカルト)


 不慮の事故で母親を失った少年ジョシュは、そのトラウマから悪夢に悩まされ続けていた。


 作家の父と、再婚した母のゲイルと共に森の奥の別荘に訪れた彼は、家族と一緒に訪れたハイキングの途中で立ち寄った雑貨屋で、ひっそりと隠すように保管されていた『悪夢除けのお守り』と言われるドリームキャッチャーを発見。


 悪夢から逃れたい一心でそのお守りをこっそりと持ち帰ってしまうが、それ以降、彼らの周りで不審な事故や不気味な現象が起こるようになっていき…

 


 母親を不慮の事故で失い悪夢に悩まされる少年とその家族が、『呪いのドリームキャッチャー』によって本当の悪夢を体験する事となる…というオカルトサスペンス映画。


 ドリームキャッチャーと言っても同名のS・キングの作品とは何の関係もなく、『呪いのドリームキャッチャー』を手に入れてしまった少年とその家族が味わう恐怖を描いた割とオーソドックスな感じのオカルトサスペンス映画です。


 お話としては『母親を失ったせいでトラウマから悪夢に悩まされる少年が、悪夢から逃れたい一心で雑貨屋に隠すように置かれていたドリームキャッチャーをこっそり持ち帰るんだけど、実はそのドリームキャッチャーは恐るべき悪意の込められた「呪いのドリームキャッチャー」だった…』というようなストーリー。


 ノリとしてはサスペンス要素が強めのオカルト映画という感じで、『呪いのドリームキャッチャー』に秘められた『呪い』の謎を中心として、『少年の母親の死に隠された秘密』等も交えつつ謎解きが進んでいくといった感じでお話が展開していきます。


 『閑静な森の中の別荘』やら『少年の見る悪夢』といったオカルトとしての雰囲気作りも悪くないですし、ややネタバレになってしまいますが、最初は関係なさそうに見えた『母親の死』や『ドリームキャッチャーの呪い』といったいくつかの事象が、お話が進むに従って徐々に一つに結びついていくという謎解きの流れもなかなか面白いですね。


 死んだ母親の霊が少年をそそのかして『新しく来た母親を殺させようとする』という展開も、コテコテながらなかなか怖いですし、オカルトサスペンスのプロットとしては出来は悪くない印象。


 ただストーリーそのものは悪くないのですが、全体的に非常に地味な展開の部分が多くて、いま一つ盛り上がりに欠ける内容なんですよね。


 ドリームキャッチャーの呪い』に囚われてから発生する、いくつかのアクシデントやら恐怖演出も地味で絵的に面白味に欠けますし、他の恐怖シーンに関しても全体的に迫力不足なのは困りものです。


 また終盤の展開は、なかなか予想外で先の読めない感じで面白いのですが、ラストが矢鱈とアッサリしてる上に中途半端で非常に印象が薄くなってしまっているのも残念なところかなぁ?


 トラウマ系の展開を描くなら、恐怖演出も展開も含めてもうちょっとエグい内容の方が良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、『いま一つパンチに欠ける地味目のオカルトサスペンス映画』って感じですね。


 雰囲気やらプロットやらは悪くないのですが、どうにも記憶に残る部分が無くて『半年もしたら忘れてしまいそうな映画』というのが正直な感想でした。


 ツマんない映画では無いので気になるならばチェックしてみても良いかもしれませんが、個人的には『定額配信系のサイトででも配信されたら、そのタイミングでチェックしてみる程度で良いかなぁ?』って感じの作品という印象でしたよ。

映画感想:「バッド・ヘアー 」(50点/オカルト)

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■■■「バッド・ヘアー 」■■■
(50点/オカルト)


 子供の頃から重度の縮毛に悩むアナは、音楽専門チャンネルで働きながら、いずれは司会者として自分の番組を持ちたいと目標を持っていた。


 そんな矢先に制作会社の組織再編で、新しいワンマンな性格のプロデューサーであるゾラの元で働くこととなった彼女は、組織からクビを切られないように、彼女に自分の企画を持ち込むこととなる。


 ゾラは『番組には外見も重視される』との考えから、番組の司会を勤める条件として彼女に髪にウィッグを編み込む事を提案。


 彼女の紹介で勧めるままに美容室に訪れたアナは、そこで『魔力的な不思議な魅力を放つ髪の毛』に出会い、その髪を自分のウィッグとして装着する事となるが…

 


 人間の血を吸う『呪いの髪の毛』に取り憑かれた女性が恐るべき運命に巻き込まれていく…という、モンスター映画風味のオカルトサスペンス映画。


 本作はどうやらhuluで製作されたオリジナルのホラー作品という事のようですが、Netflixにせよhuluにせよネット配信局のオリジナルの作品って小粒な雰囲気の作品が多い印象なのですが、本作もご多聞に漏れず小粒な感じのホラーという感じの作品ですね。


 この本作でも描かれる『髪で血を吸う妖女』みたいな設定は世界各国の民話や伝承でも良く登場しそうな印象があるのですが、ホラー映画になると意外と少ない題材という気がします。(Jホラーだと『不気味さ』を表す記号として良く使われているイメージですが…)
 単純に中途半端な特撮で『髪の毛』を動かすと、どうしても安っぽく見えがちだからでしょうか?


 本作はCGが進歩した時代に作られた新作だけあって、その辺の『安っぽさ』はシッカリと解消されているのは良い感じですね。


 お話としては『とある女性司会者がプロデューサーの勧めで美容院にウィッグを付けに行くんだけど、実はそのウィッグが人間の血を吸う「呪われたウィッグ」で、彼女は「美しい髪の毛」を維持するために髪の毛に操られるままに殺人を犯していく…』みたいな感じのストーリー。


 『呪いのアイテム』に操られた主人公が命じられるままに殺人を繰り返していくという割とありがちな設定がメインの展開なのですが、それ以外にも番組製作スタッフ同士の権力争いだったり、『呪いの髪の毛』にまつわる伝承や背景の描写に妙に力が込められていたりと、意外と凝ったストーリーになっているのは面白いですね。


 また、さりげなく『黒人差別的な問題』やら『黒人としての外見(極度の縮毛)に悩む主人公』の姿やら、単純なホラーとは違った切り口の問題を取り上げているのも、方向性としては悪くない印象。


 しかし、その辺の『ホラーではない要素』が足を引っ張っているような部分もあって、人間ドラマ的な要素やら『呪いの髪の毛』のバックボーンを語るシーンに尺を多く取られているせいで、全体的にお話のテンポが遅めなのは残念なところ。


 また『呪いの髪の毛』は『実は魔女の髪の毛で人間の血を吸って美しさを保つ』みたいな設定なのですが、『髪の毛が自在に動いて人間の血を吸う』というだけの表現では、ホラーとしては地味で面白味に欠けるのも辛いところです。


 でも、単なる直球ストレートな『呪いのアイテムもののオカルトサスペンス』かと思いきや、終盤からの展開はかなり意外な方向に進んで『妖女大決戦』みたいな予想外の派手な展開に突入していくのは割と楽しいです。


 ただ、『派手な展開』に関しても『黒人差別問題』を扱う内容に関しても、やや弾けきれてない印象があるのは難点で、どのネタに関しても小ぶりにまとまってしまっており、いま一つ盛り上がりに欠けるんですよね。


 作品自体のアイデアは悪くないと思うので、それこそ「ブラムハウス」の作品のように、一点突破型で『ブラックなネタ』とかに方向性を振った方が良かったんじゃないかなぁ?

 


 総評としましては、いま一つ中途半端な印象の『物足りなさの残るオカルトホラー映画』って感じの作品でした。


 オススメするには弱いですが、色々な題材や方向性を取り込んだ作りは悪くないので、まあ気になるならばお好みでという感じでしょう。


 それこそ『huluに加入していればいつでも観れる作品』だと思うので、加入している人は普通にチェックしてみても良いかもしれませんよ。

 

映画感想:「バクラウ 地図から消された村」(55点/サスペンス)

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■■■「バクラウ 地図から消された村」■■■
(55点/サスペンス)


 テレサは村の長老であるカルメリータの死をきっかけに、ブラジルの田舎にある故郷の村バクラウに戻ることとなる。


 しかしバクラウは、村を支配しようと目論む市長候補のトニー・ジュニアの妨害工作によって危機に瀕していた。


 更には長老の葬儀を境として、バクラウの村がインターネット上の地図から消滅したり、円盤のような謎のドローンが飛び回ったりと奇妙な現象が続発するようになり、更には外れで牧場を経営する一家が何者かによって惨殺されるという事件が発生し…

 


 ブラジルの片田舎で、村を消滅させようと目論む謎の勢力と村人たちとが決死の攻防を繰り広げる…という感じの、バイオレンススリラー映画。


 なんとなくパッケージやら設定だけ見て『不条理系カルトホラーみたいなノリの作品かな?』と思っていた(パッケージにUFO飛んでるし)のですが、割とガッツリと濃い感じのバイオレンス系の作品でした。(※ちなみにUFOは、ならず者たちの偵察用ドローンです。)


 なんというか、中南米の田舎町はこんな事件が日常茶飯事のように起こっているんだろうか…とか考えると、中南米怖すぎだろ』と言う感想以外に抱きようが無いようなお話という印象。


 簡単に言えば村人たちとならず者軍団との抗争を描いた話なのですが、タランティーノ作品とかのようにバイオレンスの描写が非常にドライで、殺す側も殺される側も物凄く淡々としてるシーンが多くて、大げさに描いていないが故にリアルな狂気が潜んでいる感じなのが不気味で怖いです。


 まあ流石に日常茶飯事という事は無いのでしょうが、『現実にこういう事件が起こってそう』と感じさせられるような、妙なリアリティがあるのは良い感じですね。


 お話としては、一応は『村を攻撃しているのは何者か、またその黒幕の目的とは?』みたいな部分が謎解き的に進んでいくのですが、ぶっちゃけ『一番怪しい奴』が『一番ありそうな動機』で普通に黒幕なので特に意外性も何もありません。(むしろ序盤で、黒幕が『謎』っぽい描き方をする意味なかっただろ。(笑))


 また最初に主人公っぽく登場したヒロインが、お話的に特に大した立ち位置でもなく、全体的に登場人物全員のキャラが薄め。


 まあストーリー性はさておき、ドライで容赦のない感じの展開は、いかにもバイオレンス作品らしくて良い味を出してはいるのですが、逆に淡々とし過ぎてお話が平板に感じてしまったのは気になるところかも?


 ラストのならず者たちのの襲撃シーンに関しても、もうちょっと派手に盛り上がる展開があっても良かった気がしますよ。


 ともあれ、ブラジルとか中南米の田舎の町で田舎者をなめてかかってると恐ろしい目に逢わされるというのが良く分かった気持ちになる作品でしたよ。

 


 総評としましては、ドライで不気味なテイストの『そこそこ楽しめるレベルのバイオレンス風味サスペンス映画』という感じの作品ですね。


 バイオレンス系の映画が好きであれば、それなりにツボに刺さる部分もあると思うので、そういう作品が好きであればチェックしてみても良いかもしれません。


 強く推す程ではないもののまあまあ普通に楽しめる内容ではあるので、ジャンルに興味があれば『お好みで』といった感じでしょうか。

 

映画感想:「ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者」(60点/サスペンス)

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■■■「ベター・ウォッチ・アウト クリスマスの侵略者」■■■
(60点/サスペンス)


 クリスマスを間近に控えたある日、ベビーシッターのアルバイトをする少女アシュリーは、とある夫婦の留守に息子のルークの面倒を見る事となる。


 もうすぐ13歳を迎えるルークは、年上のアシュリーに夢中で様々な手を使ってアプローチをかけるが、アリュリーはルークの事を完全に子ども扱いし、むしろ自分の彼氏との別れ話を気に病んでいた。


 そんな最中、彼らの家に奇妙な電話がかかってきたり、物音や人影を目撃したりといった、不審な現象が発生。
 更には、窓から『逃げたら死ぬ』と書かれたレンガが投げ込まれた事から、何者かに狙われていると考えたアシュリーは、年下のルークを何とかして守ろうとするが…

 


 クリスマスの夜にベビーシッターの女性が謎のサイコな殺人鬼から命を狙われる…というスリラー風味のサイコサスペンス映画。


 パッケージやらタイトルを見ると、なんとなく明るい感じのコメディタッチのサスペンス映画なのかな…と思うのですが、実際の中身の方は割と胸糞系の内容のサスペンススリラー映画という感じですね。


 お話としては、『とある少女がベビーシッターとして12歳の少年と一緒にクリスマスの夜に留守番をする事となるんだけど、突然現れた正体不明の侵入者によって恐怖に晒される…』みたいな感じの展開。


 いわゆる『ホームインベージョン』ものっぽい設定ですが、ノリとしてはどちらかというと『サイコスリラー』に近い感じの作品という印象です。


 ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、序盤は『ちょっと緊張感のゆるい感じのスリラー映画なのかな?』と思わせておいて、侵入者が本格的に動きだした辺りから一気に先の読めない展開に突入していくという構成はなかなか面白いです。


 個性的な設定なのに加えてお話全体のテンポも割と良く、予想外の展開も多くてサスペンスとしては割と秀逸な印象。


 ただ、ちょっと主人公たちが全体的にヘタレ気味なのと、やや犯人側に都合よくお話が進み過ぎるきらいがあるのは気になるところかな?。


 前述のとおり犯人が胸糞気味なキャラクターなのに加えて、そういった(犯人側に)ご都合主義っぽい展開が多いので、個人的にはちょっとイラっとさせられてしまう部分もありました。


 あと、終盤がちょっとグテグテ気味な感もありますが、オチの落としどころなんかも意外と面白くて、なかなか楽しめた作品でしたよ。

 


 総評としましては、なかなか凝った設定が面白い『佳作サスペンススリラー映画』って感じの作品です。


 ストーリーや設定にやや人を選ぶきらいがあるので、万人にはオススメし難いですが、ちょっとひねくれた感じ設定のサスペンスとかが好きな人であれば割と楽しめる映画ではないかと…


 個人的には予想以上に楽しめた内容だったので、気になるようであればチェックしてみても損の無い一本だと思いますよ。

 

 

映画感想:「スカイ・シャーク」(55点/アクション)

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■■■「スカイ・シャーク」■■■
(55点/アクション)


 フランクフルト行きの航空機が、大西洋上空を飛行中に『空を飛ぶサメに乗ったゾンビ兵士の軍団に襲撃されて撃墜される』という異様な事件が発生。
 同じころ、北極海で氷漬けになっていたドイツの幻の巨大戦艦が発見される。


 その戦艦は、第二次大戦中にナチスによって極秘裏に開発された、『サイボーグ化されたサメ型戦闘機(スカイ・シャーク)』と『超パワーを持ったゾンビ兵士』という超兵器を満載した恐るべき戦艦だった。


 長年の眠りから目覚めたスカイ・シャークの群れは、世界各地の都市を次々と襲撃し、人々はたちまちパニックに陥ってしまう。


 当時のナチスの科学者で巨大企業のオーナーであるリヒター博士は、かつて自分が開発に加わったナチスの超兵器が復活した事に気づき、各国の軍隊や研究者に協力を仰ぎつつ、2人の娘と共に超兵器を破壊すべく行動を開始するが…

 


 かつてナチスが開発し北極海に封印されていた超兵器とゾンビ軍団が氷の海から復活し、かつての開発者が過去の清算のために兵器を殲滅すべく戦い挑む…という、ドイツ製のアクションホラー映画。


 永い眠りから目覚めた『空飛ぶサメに乗ったナチスのゾンビ兵士』が人々を襲撃するという色々とブッ飛んだ設定の映画ですが、ノリとしては「アイアンスカイ」フォロワー的なイメージの作品ですね。


 ナチスの超兵器』やら『ゾンビ兵士』というネタはあちこちの作品で出尽くした感がありますが、それらをごちゃ混ぜにしてゴッタ煮にしたような突き抜けたカオス感は、ある意味で痛快で面白いです。


 ただ、「アイアンスカイ」やら『ゾンビ兵士』程度ののネタであればナチスなら実際にそういう研究をやってそう』というある程度のリアリティが感じられるのですが、本作までいくと流石に荒唐無稽すぎて『いやいや、ネタとしてもそれは無いやろ!!』という気分になってしまうのは、自分のバカ映画に対する器がまだまだ小さすぎるせいでしょうか?


 とまれ作品全体のイメージとしては、先述したとおりに『とにかくバカバカしくてシュールなホラー映画』という印象の作品ですね。


 武装した空飛ぶサイボーグザメに乗ったゾンビ兵士軍団』が、集団で飛行機やら町やらを襲撃して殺戮と破壊を繰り返すという超展開はなかなか笑わせてくれますし、襲撃シーンを無駄に金をかけたド派手なCGで描写しているという無駄な力の入れっぷりも、バカ方向に突き抜けている感じで楽しいです。


 『氷の海から復活したナチス秘密兵器である超巨大戦艦』と『延命を続けて大戦中から生き延び続けているナチスの科学者』が対峙するという展開も、いかにもマンガ的で熱いです。


 また「スカイ・シャーク」たちが飛行機を襲撃する際に、単に乗客を殺したいだけなら普通に撃墜すれば良いだけだろうに、わざわざ『ゾンビ兵士が飛行機に乗り込んできて乗客の大殺戮を行う』という無駄な展開も、単純に『その方が派手で楽しいから!』という頭の悪そうなコンセプト(誉め言葉)が如実に伝わってくるのも良い感じ。


 ただコンセプトやら方向性は非常に良いのですが、本作が純粋にアクション映画やホラー映画として面白いかといわれると微妙なところなのは困りもの。


 とにかく全体的にダラダラとした展開が多くて、超兵器が開発されるまでの『過去のエピソード』やら『襲撃される飛行機の乗客がグダグダしてるシーン』という本編のストーリーとあまり関係の無いシーンの尺が長めで、観ていてどうにもイライラさせられてしまいます。


 主人公のナチスの科学者やらその2人の娘もあまりキャラが立っていないですし、敵役として登場したナチスの女兵士も殆ど出番が無し。


 また『ゾンビ兵士』の大虐殺シーンのインパクトは強いのですが、タイトルになっている「スカイ・シャーク」そのものの暴れっぷりがいま一つなのも物足りなさを感じます。


 あとドイツ製の映画だけあってか『グロ描写』がかなり強めで、ちょっと見る人を選びそうなのも気になるところかなぁ?


 ノリとかテイストとかは悪くない作品ですので、妙に過去エピソードとかに尺を取らずに、全体的に『もうちょっとシンプルで分かりやすい展開』にした方が良かったんじゃないかなぁ…と思いましたよ。


 ラストは、一応は『続編を作る気満々』みたいな終わり方でしたが、本作が興行的にそこまで成功するかは微妙な気がするので、無時に続編が作られるのか気になるところではありますよ…

 


 総評としましては、恐ろしく頭の悪い内容の『お馬鹿系アクションホラー映画』って感じの作品ですね。


 冗長でややダルい印象も受けるものの、お話のプロットやら設定の時点からして『お馬鹿なテイスト』が溢れかえっているような作品なので、そのテイストに魅力を感じる人であれば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。


 ただ、先述のとおり『かなりゴア要素が強め』なので、そういったノリが苦手な人は注意が必要かもしれませんよ。

 

映画感想:「悪魔がみている」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「悪魔がみている」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)


 元兵士のトマスは、戦場でのとある出来事が原因でトラウマとなり、帰還後も上手く社会に溶け込めずに、建設現場作業員ながら教会に住み込みホームレスのような生活を続けていた。


 彼の窮状を知った教会のシスターであるクレアは、彼に仕事をあっせんする事を提案。
 それは、古びた家で病気の母の看病をしながら暮らすマグダという女性の元で、彼女の家の修理や家事の手伝いをサポートしつつ、一緒の家で暮らすというものだった。


 やがて、一緒に暮らすうちに彼女のミステリアスな魅力に惹かれていくトマスだったが、『重病のために屋根裏部屋から出られない』という母親の看病の際に、マグダには怪我や生傷が絶えず血まみれのシーツを洗ったりと不穏な様子がある事が判明。


 トマスはマグダの母親に何が異常な秘密があるのではないかと、疑問を抱くようになっていくが…

 


 『重病の母親』の看病をする女性と一緒に暮らす事となった帰還兵の男性が、彼女の母親に隠された恐るべき秘密を知る事となる…という、オカルト風味のサイコサスペンス映画。


 タイトルだけみると、なんとなくオカルトというよりも『ストーカーもののスリラー映画』みたいな感じのタイトルですが、実際の中身の方はオカルト系というか、理不尽&不条理系のカルト映画みたいな作品です。


 なんというか普通のサスペンスというよりも、独特な映像表現や演出が非常に不気味で雰囲気映画的な印象が強い内容で、古びて時代がかった不気味なアパートに、屋根裏部屋に棲む『重病』と言われている不気味な老女、家の中に出現するコウモリのような謎の生物、主人公が過去の記憶として繰り返して見る『トラウマとなった悪夢』や謎の『古代のお守り(アミュレット)』等…


 とにかく『観ていて不安になるような要素』がわんさと詰め込まれているうえに、それらの全てが不安をあおるようなカット割りやら演出で延々と表現されるため、観ているとどんどん情緒不安定になっていくような不安感に襲われるようなの内容。


 映像に加えて、ポップスだかロックミュージシャンだかの歌を『逆再生』したと思われる、意味不明の不協和音のようなBGMも抜群に不気味で良い味を出しています。(某ロック歌手のレコードを逆再生すると『悪魔の声が聞こえる』とかって都市伝説がありますが、その辺が関係してるのかしらん?)


 デヴィット・リンチのイレイザーヘッドほどではないですが、なんとなくリンチ作品やらの影響を受けているような感じの印象を受ける作りで、とにかく理不尽で不気味な作品ですね。


 お話としては、一応は謎解きサスペンスっぽい展開となっており、お話が進むにしたがって『重病の母親の秘密』やら『主人公の過去に秘められた謎』みたいなのが徐々に明らかになっていくのですが、こちらのストーリーの方も割とトンデモ展開で色々とパンチの効いている内容で良い感じ。


 ただ、もともとが物凄い理不尽系のノリなので、終盤で『衝撃の事実』みたいな展開をやられても『あ、そうなんですか、ハイ?』みたいな感じになってしまって、特に驚きを感じる事が出来ないのは難点かなぁ?(笑)


 あと主人公の過去にまつわる秘密が、あまりにも『小出し』すぎて序盤はちょっとイライラさせられてしまうのは気になった部分かも…

 


 総評としましては、『不気味で良い味を出した理不尽系オカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。


 リンチとかほどブッ飛んでは無いですが、良い意味で『不安定で嫌な気分になれる鬱映画』という感じなので、そういうノリの作品が好きであればなかなかオススメ出来る一本ではないかと思います。


 個人的には演出・ストーリーともに割と好みの内容だったので、雰囲気映画やらカルト映画的なノリが好きな人は、気になるようであればチェックしておく事をオススメしますよ。

映画感想:「ドラゴン・スクワッド」(60点/モンスター)

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■■■「ドラゴン・スクワッド」■■■
(60点/モンスター)


 アメリカ北部の山岳地帯の田舎町で、『怪物の棲む森』という噂のある森の中で、住民やハイカーたちが次々と行方不明になるという事件が発生。


 以前に町を追い出されたホームレスたちが森の奥でゲリラ活動を行っていると考えた市長は、傭兵部隊に調査を依頼する。


 隊長のアーティらの率いる傭兵部隊は、情報のとおりに山中で何かのカルトを信奉しているらしき武装したホームレスたちと遭遇し、彼らと交戦の後に撃退。


 しかし洞窟の中に捕らえられていた女性警官の話から、彼らが信奉していたのは、工事中に地底洞窟からか蘇った『ドラゴン』だという驚くべき真実を知らされ…

 


 山中に潜むゲリラの捜索に訪れた傭兵部隊が古代から蘇ったドラゴンと戦うことになる…という、低予算系のモンスターパニック映画。


 近代兵器を持った軍隊が『ドラゴン』と戦う作品というと「サラマンダー」辺りが連想されますが、あちらは『文明の崩壊した未来世界』とかって設定なので少し違う印象ですし、『軍隊vsドラゴン』って実はありがちっぽい設定の割には該当する作品の意外と少ないジャンルだったりします。(『恐竜と戦う映画』は山ほどあるのですが…)


 お話としては『森の中に潜むにホームレス崩れのゲリラを掃討するために訪れた傭兵部隊が、「武装したカルト集団」と彼らの信奉する「ドラゴン」と戦うこととなってしまう』みたいな感じの展開。


 いわゆる『ドラゴン』と傭兵部隊の戦いだけをガッツリ描くにはCG等の予算的に厳しいことからか、『ゲリラと化したカルト集団』との戦闘シーンがあったり等と予算を節約しつつ視聴者を楽しませようという努力が感じられるのは悪くないですね。(肝心のアクションシーンの出来がいま一歩なのはご愛敬ですが…)


 また、低予算映画の割にはドラゴンのCGには割と力が入っている印象で、いかにも『これぞドラゴン』といった感じのデザインやモーションは悪くないのですが、ドラゴンのCGが妙に解像度が低くて画面から浮いている感じな辺りからし『以前に別の作品で作ったCGモデル』の使いまわしっぽい匂いがプンプンします。(笑)


 先述のとおり、物語の前半は『ゲリラとの戦闘』、後半は『ドラゴンとの戦闘』といった感じでお話が進んでいくのですが、前半のシーンでのドラゴンの出し惜しみ感が強く、ゲリラとの戦闘もアクションとかがショボ目なので全体的にややテンポの悪さが目に付いてしまうのは困りもの。


 中盤以降でドラゴンが出現してからも、登場人物たちがダラダラとダベっているだけのシーンが長めで、どうにも冗長な印象を受けさせられてしまいます。
 (まあ会話シーンが妙に長いお陰で、主人公たちのキャラが良く立っているのは悪くない部分なのですが…)


 ただ中盤まではダルい展開が多いものの、終盤での『ドラゴンvs傭兵部隊の戦闘シーン』に突入してからは、これがなかなかに良い感じなんですよね。


 CGはやや安っぽいものの、銃器を使ったドラゴンとの白兵戦のシーンが割と迫力のある感じで描かれており、アングルや見せ方を工夫して直接の絡みの少なさや動画パターンの少なさを補いつつも、スピーディに戦いが展開していくのは好感触。


 ラストの展開も矢鱈と熱くて盛り上がりますし、オチもなかなかカタルシスがありますし、終盤の完成度だけ見るとかなり高評価が付けれる印象です。


 まあイキオイやテンポの良さが良く出来ているものの、ドラゴンを撃退するための『爆薬で崖崩れを起こして湖に水没させる』みたいな作戦が『いや、飛んで逃げるし、どう考えても無理があるだろ!』というような内容だったり、銃弾が効かない空飛ぶ戦車のようなドラゴンを『ロープを使ったトラップ』や『木の杭の落とし穴』でどうにかしようとしてたり、色々とツッコミどころは満載なんですけどね…(笑)

 


 総評としましては、テンポの悪さは気になるものの『そこそこ楽しめるレベルのアクションものモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 低予算という部分に目をつぶれば、『モンスター映画』やら『ドラゴンvs傭兵部隊』というシチュエーションが好きな人であれば、それなりに楽しめる一本ではないかと…


 とりあえず強く推すには弱いものの、設定とかが気になっているようであればチェックしてみても良い作品かもしれませんよ。