NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「VS狂犬」(50点/サスペンス)

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■■■「VS狂犬」■■■
(50点/サスペンス)


 自分の起こした交通事故で妹を亡くし、自らも半身麻痺となり右手しか動かせなくなった少女のエレナは、事故を起こした自分を責めながら生活を続けていた。


 年老いた父と介助犬のアトスと共に郊外の一軒家で暮らす事となった彼女だったが、そんな矢先に父が心臓の病で庭先で倒れるのを目撃。


 彼女は、片腕と電動車椅子しか動かせない身体でなんとかして助けを呼ぼうとするが、時を同じくして介助犬のアトスが狂犬病らしきウイルスに感染し、異常なまでに狂暴化している事が判明し…

 


 狂犬病(?)に感染し狂暴化した介助犬によって郊外の一軒家に閉じ込められた半身麻痺の少女が、なんとかして狂犬の襲撃から逃れつつ助けを呼ぼうとする…という、スペイン製のサスペンススリラー映画。


 いわゆるワンシチュエーション系のサスペンスホラー作品で、どことなくS・キングの「クジョー」を思い起こすようなプロットですが、こちらは真夏の車内という条件ではないものの、主人公が『半身麻痺で右腕以外は全く動かせない状況』という事もあり、シチュエーションは似ているもののかなりベクトルの違う印象を受ける作品となっています。


 製作国が欧州の作品という事もあって、全体的に雰囲気映画的なテイストが強めの内容という感じ。


 タイトルに「VS狂犬」なんで付いているので。狂犬病(実際には別の病気っぽい?)で狂暴化した介助犬との戦いを描いた、手に汗握るような動物パニックを題材とした作品かと思いきや、どちらかというと心理ドラマとか人間ドラマ的なノリが強めの作品です。


 主人公が『自分の起こした事故』で姉妹を死なせてしまった事に強い罪の意識を感じており、それに加えて過去に亡くなった母親を絡めた姉妹間の確執やら、心臓の病気を抱えた父親との関係性やらが丁寧に描かれており、人間ドラマや家族ドラマとしては非常に丁寧にキャラクターが掘り下げられています。


 本編中でも、たびたび主人公の夢や妄想のなかで『死んだ妹』が登場して過去の出来事について語ったりと、主人公の内省的なドラマやらの部分がかなり強めで、作品テーマとしても自ら犯した罪への『赦し』のような部分がメインとなっている印象。


 ただ人間ドラマとしては深い内容なのですが、逆に生物パニック映画としてみると、どうにも退屈な内容というのが正直なところ。


 パニック映画として観ると、そもそも主人公が『右腕しか動かせない』という状態なので、とにかく取れるアクションが少なくて、シチュエーション的にもサスペンス的にもどうにも盛り上がりません。


 一応、『狂犬』は『大きな騒音が苦手』とか、主人公側にも対抗手段は準備されているのですが、そもそも主人公が『狂犬』が本気で襲ってきたら速攻で殺されてしまうようなフィジカルですので、派手な襲撃シーンやアクションシーンがある訳でもなく…
 また、相手が『狂犬』なので心理的な駆け引きや会話劇が行えるような状態でも無いので、見どころが非常に薄いんですよね。


 『主人公の身体が満足に動かない』事によるストレスや緊張感はありますが流石にそれだけでは弱すぎるので、『もうちょっとエンターテインメント寄りの要素があっても良かったんじゃないかなぁ…』というのが正直な感想でしたよ。(まあ、欧州映画にそういうノリを求めること自体が間違ってると言えば、そのとおりなんですが…)

 


 総評としましては、どうにも『地味な印象の生物パニック映画』という感じの作品ですね。


 そもそも『生物パニック』というよりは、『主人公の内省的な心理描写を描いた人間ドラマ』という方がジャンル的に正しいと思うので、そういうノリが好きであればまあまあ楽しめる一本ではないかと?


 「VS狂犬」とかってタイトルから、アクション映画っぽいノリを期待してると肩透かしを食らわされてしまう恐れが強いので、その辺は要注意かもしれませんよ。

 

映画感想:「BAD CGI SHARKS / 電脳鮫」(40点/モンスター)

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■■■「BAD CGI SHARKS / 電脳鮫」■■■
(40点/モンスター)


 映画の製作会社で働くマシューは、ある日、面接でヘマをやらかして会社をクビになるが、そんな矢先に夢見がちで暴走癖があり周りに迷惑をかけることから絶縁状態となっていた兄のジェイソンが彼の元を訪れる。


 子供の頃に二人で書いたサメ映画の脚本を携えたジェイソンは、マシューに『この映画を二人で完成させよう』と無茶苦茶な提案をするが、その瞬間に不思議な『女神の魔法』の力によって彼らの映画の脚本が現実化。


 脚本のなかから、空飛ぶ人食いザメが『クソCGザメ』として現実世界に出現し、筋書きに従って2人を食い殺そうと襲い掛かって来てしまい…

 


 映画好きの兄弟が子供の頃に書いた脚本の『空飛ぶサメ』が魔法の力によって『クソCGザメ』として現実化して人間を襲う…という、クソCG系のモンスターホラー映画。


 なんでも、『サメの着ぐるみが部屋を歩き回って人を襲う』という超低予算のZ級のモンスター映画である「ハウスシャーク」の制作会社による新作という事で、覚悟完了しながら視聴したのですが、意外にも思ったよりもキチンと作られたコメディ系ホラー映画でしたよ。


 お話としては『サメ映画好きの二人の兄弟が、子供の頃に思い付きで作った「空飛ぶサメ」の脚本が、謎のストーリーテラー的な男の魔法によって「クソCGザメ」として現実化してしまい、二人がサメから逃れながらなんとかして事態を収拾しようと奔走する…』みたいな感じの展開。


 出現するサメは映画の中ですら『クソCGザメ』と表現されるレベルの酷い出来で、いかにもどこかの『フリー素材』と『フリーの動作モーション』を組み合わせて作っただけみたいな外見。


 このクソCGザメと対峙する主人公たちも割と無策で『走りながら逃げ回っているだけのシーン』が多くて、お話の展開も全体的にダラダラとしており、サメに人間が襲われるシーンも殆どが画面外で襲われる『イメージ映像』みたいな感じの、予想どおりのショボい完成度


 また主人公たち以外に、メインキャラとして登場してメタネタのパロディを連発する『ストーリーテラー』的なオッサンが登場するのですが、このオッサンの放つギャグも寒いですし、どこを切り取ってもいかにも超低予算のZ級というノリで、掛け値なしに酷い映画という印象の作品なのですが…


 困った(?)ことに、脚本とかテーマ性とかが意外とシッカリと作られており、これが思った以上に楽しめる内容だったりします。


 特に脚本が意外と練られており、『クソCGザメ』がCGデザイナーの力でアップグレードしてからの展開は、なかなか予想が付かずに先が読めなくて面白いですし、また『創作者としての夢を諦めない』という作品のテーマ性も非常に分かりやすくて秀逸。


 実際に、制作者が『超低予算映画でも諦めずに形にするという夢を諦めずに作ったから完成した映画なんだな…』というのが観ていて伝わってくるので、B級映画好きの人間としては何だか無駄に感動してしまいましたよ。(笑)


 オチの落としどころも上手いですし、思った以上に楽しめた作品という印象。


 ただまあ、脚本やテーマ性が意外とシッカリしてるといっても、全体的に見て『クソ映画』なのは間違いなく、楽しめる部分よりも酷い部分の方がはるかに多いですので、マトモなサメ映画を期待して見たら大火傷は間違ありません。


 個人的には、もうちょっと見せ方のセンスやらギャグやメタネタのセンスやらが良ければ、もっと楽しめる作品になったんじゃないかと思うので、その辺に関してはちょっと勿体なさを感じる作品でしたよ。

 


 総評としましては、間違いなく『Z級の超低予算クソモンスター映画』なのですが、思ったよりは楽しめる作品という印象。


 普通にサメ映画を見たい場合は全くオススメできませんが、『Z級のネタ映画』としては十分に楽しめる内容ではないでしょうか?


 ですので、とりあえず『ネタ枠』として気になるようであれば、チェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「ダイナソー・ワールド」(50点/アクション)

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■■■「ダイナソー・ワールド」■■■
(50点/アクション)


 中国で、超リアルなバーチャル世界で恐竜と戦う究極のVRサバイバルゲームダイナソー・ワールド』が発売決定。


 発売に先駆けて、抽選によって選ばれた20人のゲーマーによって、賞金の500万ドルを『制限時間を生き残ったメンバーによって山分けされる』という、生き残りをかけた大会が開催される事となる。


 リアルなVR世界で、参加者たちが恐竜によって次々と引き裂かれてリタイアしていくなか、母の病気の治療費の支払いに苦慮する学生のエリックは、なんとかして他の参加者たちと協力して生き延びようとするが、他の参加者を殺して賞金を独占しようとするプレイヤーとの戦いに巻き込まれていき…

 


 恐竜世界を舞台としたリアルVRゲームのテストに参加する事になったメンバーが、賞金を巡ってサバイバルゲームを繰り広げる…という、VR世界を舞台にした中国製のサスペンス風味のアクション映画。


 いわゆる『恐竜世界を舞台としたデスゲーム』みたいな設定の作品ですが、デスゲームといってもVR世界が舞台で実際の命がかかっている訳ではなくて『ゲームからリタイアしたら賞金がもらえなくなるだけ』という設定のため、なんだか全体的にヌルい印象の作品ですね。


 お話としては、『仮想空間で参加者が協力や裏切りを繰り広げながら、勝因を巡って争う』みたいな展開で、一応は主役となるキャラは居るものの、参加者全員にスポットを当てながらお話が進んでいく、群像劇に近い印象を受けるような構成です。


 ただ、『参加者にはそれぞれに思惑があって、VR世界でデスゲームを繰り広げる』みたいなノリではあるのですが、殆どの参加者が特に『重い参加理由』を背負っている訳でも無く、前述のとおり『死んでもゲームオーバーになるだけ』という設定のため、観ていてどうにも緊張感がありません。


 もうちょっとメインの登場人物たちに重めの設定があるか、もしくは『ゲームオーバーになった際のペナルティ』なり何かがあった方が、緊張感があって面白くなった気がしますよ。


 ただ全体的にヌルい設定な部分を除けば、サバイバルバトルの部分はまあまあ観れるレベルの内容という印象。


 中国映画らしく、登場人物たちがカンフーやらマーシャルアーツやらで恐竜と戦うという展開はちょっと面白いですし、CGはやや低予算気味ながらも恐竜と人間との絡みのシーンも多めで、恐竜もののアクション映画としては意外とシッカリと作られています。


 主人公たちのキャラの掘り下げも割とキチンとされており、観ているうちに自然と主人公を応援したくなる構成なのも悪くない印象。


 オチの落としどころなんかもそこそこ良く出来ていて、ラストの展開とかはカタルシスがあって良い感じ。

 ただ、せっかく恐竜が出てる割には迫力のあるシーンが少なくて、全体的に地味な印象を受けてしまうので、もっと『巨大恐竜とのバトル』とかの派手なシーンがシッカリと作られていれば、楽しめる内容になったんじゃないかなぁ…


 あとヒロインっぽいキャラが終盤で唐突にやられて、その後は全くフォローが無かったのは気になったかも…
 『ラストでもうちょっと絡みがあっても良かったのでは?』とか思ってしまったのは自分だけですかね?

 


 総評としましては、『可も不可も無いレベルのVR世界ものアクション映画』って感じの作品ですね。


 『いかにもB級』って感じの低予算っぷりと盛り上がらなさは気になるところですが、息抜き程度に観るぶんにはまあまあ悪くない映画という感じでした。


 特にオススメするような要素も無いので、気になるのであればサブスクリプション系のサービスとかで観れるようになったらチェックする…って程度で良い作品だと思いますよ。

 

映画感想:「バトル・オールナイト 武装集団の襲来」(50点/アクション)

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■■■「バトル・オールナイト 武装集団の襲来」■■■
(50点/アクション)


 メキシコで麻薬カルテルの税理士をしていたペドロは、ある日、組織から抜けるために組織のボスと交渉することとなる。


 万が一、組織を抜ける事を良く思わないボスからヒットマンを送られた場合に備えて、人里離れた山中の別荘を装甲化して要塞化したうえに、用心棒を警備として雇って準備した彼だったが、そんな矢先に一人の『見知らぬ少女』が彼の別荘を訪問。


 事情を聴こうと少女を受け入れた彼らの元を、謎の武装集団が襲来する。


 武装集団は彼らに『少女の身柄を引き渡す事』を要求するが、ボスとの戦いに備えて臨戦態勢なうえに事情の呑み込めない彼らは、否応なしに武装集団との戦いへと巻き込まれていくのだった…

 


 麻薬カルテルから身を守るために武装していた一家が、一人の少女をかくまった事から正体不明の武装集団との戦いに巻き込まれる…という、サスペンス風味のアクションスリラー映画。


 タイトルや設定からして、なんとなくクライムサスペンスっぽいアクション映画かと思っていたのですが、アクション映画なのはアクション映画なのですが意外にもオカルトテイストの強いアクション映画という感じの作品でした。


 お話としては『とある税理士が、麻薬カルテルのボスのヒットチームと戦うために別荘に用心棒を雇って武装するんだけど、森の中でさ迷う一人の少女を助けたところ、正体不明の武装集団の襲撃を受けて思いがけず苛烈な戦いへと発展していく』みたいな感じの展開。


 『この少女の正体が実は…』みたいなのがお話のメインの部分となっていくのですが、設定としては捻りが効いててなかなか面白いです。


 ただプロットは意外性があって面白いのですが、なんというか全体的にいま一つ設定を活かしきれていない感があるのは残念なところ。


 別荘を襲撃する武装集団は、全身に怪しげな入れ墨を入れてツヴァイハンダー(両手剣)を振り回したりと個性が立ってて良い味を出しているのですが、襲撃を受ける別荘のガードマンが完全に雑魚あつかいで、アクション的な見せ場が殆ど無いんですよね。


 主人公も単なる税理士という事で、特に戦闘能力に長けている訳でも無くて殆ど逃げ回っているだけなので、いま一つ盛り上がりません。


 中盤辺りで。女の子の秘密が判明してからの展開は割と面白くなるのですが、そこまでが結構長めでダラダラとダベっているだけみたいなシーンが多くて、どうにも冗長です。


 ラストも妙にグテグテな感じなうえに、なんだか投げっぱなし的なオチですし、ぶっちゃけ、特に終盤の『内ゲバみたいな展開は必要なかったんじゃ?』と感じてしまったのは自分だけ?


 設定や素材からすると、もっと面白く出来る要素がいっぱいあったと思うので、どうにも物足りなさの残る内容でしたよ…

 


 総評としては『いま一つ盛り上がりに欠けるオカルト風味のアクションスリラー映画』って感じの作品ですね。


 ただ推す程の要素は無いものの、アクション映画としての完成度はそこそこだし特に退屈な内容ではないので、気になるようであればチェックしておいても良い一本ではないかと思います。


 プロットそのものは悪くないので、もっと『趣味に走ったみたいなノリ』にしてくれてれば面白くなったんじゃないかと思う部分もあるのですが、どうにも弾けきれてない印象の残る映画でしたよ

映画感想:「フロッグ」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「フロッグ」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)


 森に囲まれたアメリカの閑静な田舎町で、10歳と9歳の少年が失踪するという事件が発生する。


 刑事のグレッグは事件の担当として調査を開始するが、現場に残されていた『緑色のナイフ』が、かつて世間を騒がせた連続少年誘拐殺人犯のものと同じであった事からかつての事件との関係を疑うも、当時の犯人は既に逮捕されているうえに、今も刑務所で服役中である事から捜査は難航。


 一方、事件の調査を開始した直後から、彼の自宅で勝手にドアが閉じたり、奇妙な物音がしたりといった不可解な現象が相次いで発生するようになり…

 


 連続誘拐事件を調査する刑事とその一家が、次々と奇妙な現象や事件に巻き込まれつつも真相を探っていく…という、オカルト風味のサスペンススリラー映画。


 特に話題にもなっていないので完全にノーマークでしたが、これが予想外に非常に良く出来た『佳作サスペンス映画』という感じの作品でしたよ。


 いきなりのネタバレで申し訳ないですが、本作はいわゆる『ドンデン返し系』の作品で、出来ればネタバレとかを一切知らずに観た方が良い映画だとは思うのですが、ぶっちゃけ『ドンデン返し』がある事を知っていても十分に楽しめる内容だと思います。


 お話としては、『とある刑事が、かつて世間を騒がせた連続殺人犯を模倣したような連続誘拐事件を調査する事になるんだけど、調査を始めた彼の周りで不気味な現象が頻発するようになっていき…』みたいな感じの展開。


 ノリとしては『オカルト風味のサスペンス映画』って感じなのですが、雰囲気作りやら演出やらが非常に秀逸で、全体的にゆったりとした展開ながらも『不穏な空気』やら『何か起こりそうな雰囲気』が抜群に良く出ているんですよね。


 それに加えて、主人公の一家が『奥さんの不倫が原因で家庭崩壊寸前』だったりと、誘拐事件以外に人間ドラマ的にも嫌な要素が満載で、サスペンスとして良い感じに不安な気持ちや焦燥感を煽ってくれます。


 サスペンス的には、かつての殺人鬼の模倣犯と思われる『謎の連続誘拐事件』と『主人公の周辺で起こる不可解な現象』には何か関係があるのか…みたいな部分が中心としてお話が進んでいくのですが…


 このメインストーリーが良く練られていて、序盤で提示された『謎』や『不可解な現象』の秘密が紐解かれて、中盤以降の謎解きパートでキレイに一本のお話として繋がっていくという流れはなかなかに痛快。


 加えて、謎解きが始まって以降は先の読めない非常にスピーディな展開へと突入していき、前半の『雰囲気映画』的なノリから一転して、一気に『緊張感のあるスリラー映画』になっていくという構成は上手いです。


 ただ不満点を挙げるとしたら、中盤の『ドンデン返し』の切っ掛けとなる『秘密』にやや唐突感があったのと、ラストで明かされるとある人物の正体に、ちょっと蛇足っぽさがあった部分かなぁ?


 あと余談ですが、タイトルになっている「フロッグ」の正体もなかなか興味深くて、非常に面白い設定と脚本のサスペンス映画という感じでしたよ。

 


 総評としましては、なかなか良く出来た『掘り出し物的な佳作B級サスペンス映画』って感じの作品です。


 やや低予算っぽさはあるものの、映像や演出のセンスも良く脚本も非常に良く練られている感じなので、サスペンスとかスリラー映画が好きな人であれば間違いなくオススメできる一本ではないでしょうか?


 個人的には、今年観た中では一番楽しめたサスペンス映画でしたので、サスペンス好きの方にはごく普通に観ておく事をオススメしておきますよ。

 

映画感想:「ゾンビ津波」(55点/モンスター)

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■■■「ゾンビ津波」■■■
(55点/モンスター)


 アメリカ西海岸沖の孤島で大きな地震が発生。
 友人のレイとその娘のジェイダと共にボートで釣りに出ていた船乗りのハンターは、海底が地震の後から『奇妙な光』を放っているのを発見するが、その直後に海底から浮かび上がってきたと思われる風化した死体を吊り上げる。


 しかしその死体を船上に引き上げたところ、死体は唐突に動き出し、ジェイダが噛まれて重傷を負ってしまうという事件が発生。


 死体を海に捨てジェイダを病院に送り届けた後に、『光る海底』の原因を調査しに沖へ向かった彼らは、そこに国籍不明の貨物船が沈没しているのを発見。
 その貨物船から、大量のゾンビが湧きだしているのを目撃する。


 驚いた彼らは危険を町に知らせようとするが、折り悪く地震の影響で巨大な津波が発生。
 津波に乗ったゾンビの群れは、次々に町へと押し寄せてくるのだった…

 


 地震の影響で海底の謎の沈没船から出現したゾンビの群れが、津波に乗って港町を襲う…という、パニックもの風味のモンスターホラー映画。


 ファンの間では「シャークネード」等の製作会社としてお馴染みのB級映画を大量生産する事で有名な「Syfy」による新作で、『自然災害+モンスター』という設定からして、いかにも「シャークネード」の二匹目のドジョウ(というかゾンビ?)を狙ったような作品ですね。
 原題も「ZOMBIE TIDALWAVE」と、直球ドストレートな感じのタイトルです。


 「Syfy」の作品は製作費の予算枠によって映画の質のある程度が決まるという特徴がある訳ですが、本作は「シャークネード」の後釜的なインパクトを狙って作られた作品という事もあってか、比較的予算が使われており意外とシッカリと作られた作品という印象。


 お話としては地震の影響で沖に沈んでいた「謎の沈没船」が破壊され、内部から大量のゾンビが出現。そのゾンビたちが津波に乗って町に押し寄せて来ました』という、ホントにそれだけの内容。


 作品の目玉となっている『ゾンビ津波のシーンは割と気合を入れて作られており、『巨大な波にのって町に押し寄せてくるゾンビの群れ』の絵面のインパクトと迫力はなかなかのものです。
 (『貨物船の中に居たにしてはゾンビの人数多すぎだろ!!』とかってツッコミはありますけど…(笑))

 ゾンビ映画好きならば、割とこのシーンを見るためだけにでも映画を観る価値あり?


 ただ『ゾンビ津波』のシーンは良い感じなのですが、津波でゾンビが打ち上げられた後の展開は、普通に『ただのゾンビ映画』という感じになってしまい、ほぼ目新しさが感じられないのは困りもの。


 ゾンビのデザインが『海のもの』らしく肌が青かったりフジツボが付いてたりはするのですが、特にそれ以外に津波ゾンビ』らしい特徴がある訳でもなく、唯一津波で溺れた人』と勘違いして救護しようとした人が襲われる…みたいなギミックがある以外は津波ゾンビ』である必要性が全くないんですよね。


 でもまあ、純粋に『B級のゾンビ映画としてみると物凄く紋切型な内容ではあるものの意外と良く出来ている印象ゾンビの襲撃シーンや登場シーンも多めですし、特撮もそこそこお金がかかっていてパニックシーンも割とシッカリと作られているので、『それなりに楽しめるゾンビものパニック映画』という感じなのは悪くありません。


 登場キャラも、主人公とヒロインはシッカリとキャラが立っていますし、『災害に備えて武器を準備して引きこもっている頑固老人』やら『身勝手な憎まれ役』やら『ゾンビ発生源の秘密を知る権力者』といった、物凄いテンプレート的なキャラがテンコ盛りで登場。


 あまり捻りの効いた部分は無いものの、お話のテンポも非常に良いですし、そこそこ派手な残虐描写もあり、終盤では『ゾンビ粉砕マシーン』みたいな頭の悪い感じのネタも登場して楽しませてくれますし、ホントに『お手本的なレベルのノリの良いゾンビ映画という感じです。


 惜しむらくは、タイトルにもなっている『ゾンビ津波』の要素があまりにも少なすぎる事で、もうちょっとシッカリと『津波ゾンビ』の津波らしい個性のようなものがあればなぁ…と思わざるを得ませんでしたよ。

 どうにも、タイトルのインパクトに対して物足りなさを感じたのは残念なところでした。

 


 総評としましては、割とキチンと作られた『オーソドックスなB級ゾンビ映画って感じの作品です。


 低予算ゆえに物足りない部分も多いですが、『ゾンビ津波』のインパクトはなかなかのものがありますし、ゾンビ映画としては普通に面白い内容なので、気になっているようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。


 ネタ映画としてもまあまあ楽しめる要素のある作品ですので、「シャークネード」系の『頭の悪いタイプのSyfyの新作』を求めているのであれば、割とオススメの映画ではないでしょうか?

 

 

映画感想:「トランス・フューチャー」(50点/サスペンス)

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■■■「トランス・フューチャー」■■■
(50点/サスペンス)


 タイムトラベルを研究する物理学者のダニエルは、ある日、ビルの屋上で謎の男に襲撃を受ける。
 しかし、意識が朦朧とし殺されると思った瞬間に彼は解放され、男は「今度は、もっと急げ」という奇妙な言葉を残してビルから飛び降り、そのまま姿を消してしまう。


 事件によって恋人のマリアを失った彼は、全てに絶望し自殺しようとするが、そんな矢先に警察から数十年前から『同じような手口の未解決の殺人事件が何十件も起こっている』という驚くべき事実知らされ、更にはその事件のうち一件の犠牲者が自分の父親である事を知る。


 事件に尋常ならざる秘密があると感じた彼は、研究中だったタイムトラベル装置を完成させ、犯人を探し出して恋人を救うために過去へとタイムトラベルを行うが…

 


 事件で恋人を失った科学者が、謎の犯人を突き止め事件を阻止するためにタイムマシンで過去にタイムトラベルを行う…という、ブラジル製のSFサスペンス映画。


 バタフライエフェクトやら「シュタインズ:ゲート」辺りが流行ってから、ボチボチと作られている『タイムループ』を題材としたSFサスペンス映画の一本ですね。


 他のタイムループものの作品と同様に『事件を防ぐために過去にトラベルする』みたいな感じの展開なのですが、『主人公が科学者』という設定のSF作品らしくやや設定が難解な印象。


 お話としては『謎解き』が中心のミステリー要素の強い内容となっており、『主人公を殺そうとした謎の男の正体は何者なのか?』とか『過去から繰り返される連続殺人事件に隠された秘密とは?』みたいな辺りの謎を追っていくのがメインの展開という感じ。


 お話が進むごとに、『過去にあった事件』や作中の『謎のシーン』が徐々に解明されていくという流れは定番ながらもなかなか面白く、この辺りはイムループものとして良く出来ています。


 人生のやり直しをするいわゆる『タイムリープもの』とは違って、主人公が過去に遡った際に『もう一人の自分』が別に存在していて、だんだんお話が複雑になっていくという捻りの効いたギミックも『なかなか凝った作りだな』という印象。


 ただ、捻りの効いた部分が映画としての面白さに繋がっているかと言われると微妙なところで、単に内容にグテグテ感があってややこしくなっているだけで作品としての面白さにいま一つ繋がってないんですよね…


 また、主人公がタイムマシンを完成させてお話が核心に触れるようになるまでの展開が長めなのも微妙かなぁ?


 あまり内容に触れるとネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、『主人公が過去に飛んで事件に関わるまで』も妙に長くて、全体的に展開がダラダラしてる感じで、全体的に冗長感が強めなのも辛いところ。


 ラストのオチも『そんなんでいいんか?』みたいなスッキリしない終わり方ですし、何か全体的にイマイチ感の残る作品でしたよ…

 


 総評としましては、どうにも『微妙な印象のSFサスペンス映画』というのが正直なところ。


 『意外性を持たせたかった』のであろうと思われるストーリーう描きたい方向性は分かるんだけど、個人的にはいま一つ自分の好みにはあわない感じの作品でした。


 まあでも作品としての完成度は悪くないですし、イムループものとかのSFサスペンス系の映画が好きであれば、チェックしてみてもよい一本かもしれませんよ。