NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「人狼ゲーム 夜になったら、最後」(50点/サスペンス)

■■■「人狼ゲーム 夜になったら、最後」■■■
(50点/サスペンス)


 アメリカ北部の雪山の田舎町であるビーバーフィールドに赴任してきた森林警備隊のフィンは、任期の期間中は町の唯一のホテルであるビーバーフィールド・インで過ごす事となる。


 郵便配達員セシリーの案内で、変わり者ぞろいの町の住人を紹介して貰った彼は、その町が天然ガス会社のパイプラインの開発の反対派と賛成派で住民の意見が二つに割れており、何かとトラブルの種を抱えている事を知る。


 更に赴任の翌日に町は折からの猛吹雪で停電に見舞われたうえに、農場を営むトリッシュが『愛犬が何者かに殺された』という報告と共にホテルへと来訪。


 状況を確認するために町に見回りに出たフィンは、そこで町中の発電機が何者かに破壊されたうえにホテルオーナーであるジャニーンの夫が惨殺されているのを発見する。


 猛吹雪で町から出る事ができないうえに外部との連絡も取れない状況の住人達は、『このなかに殺人鬼が居るのではないか』という疑心暗鬼を抱いたままホテルへと集まる事となるが、そんな矢先に死体についていた体毛を調査した生物学者のエリス博士の分析から、犯人が『人狼』であるという事が判明し…

 


 吹雪に閉じ込められた町で『人狼』が潜んでいる事が判明した住人たちが、疑心暗鬼の末に醜い争いを繰り広げていく…という、サスペンスホラー映画。


 人気の推理ゲームである人狼ゲーム』を題材とした映画作品に当たるのですが、ぶっちゃけて言うとそこまで『人狼ゲーム』している訳でも無い、地味な閉鎖環境型のサスペンススリラーみたいな内容の作品という印象。


 人狼ゲーム』のルールを簡単に説明すると、参加者のうち何名かが『人狼』残りは『村人』となり、人狼側は自分が人狼だと気付かれないように慎重に行動しながら毎晩一人の村人を殺していき、村人側は状況を元に人狼が誰かを推理して怪しいと思われる犯人を排除していって、『最終的に人狼チームか村人チームの生き残った方が勝ち』というルールのゲーム。


 本作でも、『村人の中に人狼が潜んでいて夜になると住民を襲う』という根幹の部分はゲームと共通しているのですが、実際にゲームのシステムに則った要素はその部分のみという感じ。


 毎晩一人づつ犠牲者が出たり、村人が会議を開いて『人狼と思われる人間を吊るす』ような展開がある訳でも無くて、『極限環境に置かれた住人たちが勝手に疑心暗鬼に陥って争いだす…』みたいな感じの展開で、『犯人が人狼』という以外は『人狼ゲーム』的な要素のあまり感じられない普通のサスペンス映画になってしまっている印象。

 サスペンスとして面白いかと言われるとそれも微妙な感じで、ゲーム的なキャラ付けを意識してか、住民のキャラクターが矢鱈と濃い性格に設定されているのですが、キャラの特徴があまり物語に活かされている訳でも無くて、単に『濃すぎてうるさい性格のキャラたちが殺しあっているだけ』のお話になっている印象。


 全体的にお話のテンポが良いのは悪くないのですが、無駄にキャラが濃すぎるせいであまり感情移入も出来ないですし、疑心暗鬼で殺しあうにしてもやや無理矢理な展開(『そんな簡単に他の住人を殺そうとする?』みたいな流れ)が多くて、いま一つお話に入り込めずに盛り上がりません。


 ラストの真相もそこまで意表を突くような内容でも無いですし、どうにも中途半端な作品という印象。


 せめて人狼ゲーム』的な要素がもうちょっとキチンと組み込まれていれば、ゲームが好きな人であればもうちょっと楽しめたんじゃないかと思うんですけどね…

 


 総評としましては、『可も不可も無い感じの閉鎖環境型サスペンススリラー映画』という感じの作品ですね。


 人狼ゲーム』の映画化という題材に期待している場合は、正直言って肩透かしを喰らわされる可能性が高いですので、そういう目的で観るにはちょっと厳しい内容かなぁ?


 あまりオススメする要素も無いですが、サスペンススリラーとして観るならばそこまでツマらない映画という訳でもないので、気になるようであればまあ『お好みで』という感じでしょうか…

 

映画感想:「マーシー・ブラック」(55点/オカルト)

■■■「マーシー・ブラック」■■■
(55点/オカルト)


 幼い少女のマリーナは、母親の病気を治すために友人のレベッカと共謀し、同級生のリリーを殴打したうえに7回も刺して指を切り落とすという凶行を実行する。
 それは彼女たちが妄想で作り出した、生贄を差し出す代わりに願いを叶えるという魔女『マーシー・ブラック』を呼び出すための儀式だった。


 事件の異常性から精神障害と鑑定されたマリーナは、精神病院へと入れられて15年間の治療の末に退院する事となる。


 姉のアリスと甥のブライスと一緒に暮らすようになった彼女だったが、世間では彼女たちの作り出した『マーシー・ブラック』が都市伝説となり、広く信じられるようになっている事を知り、更には新しい生活をはじめた彼女の周りで異様な現象が続発。


 彼女は『マーシー・ブラック』が本当に実在するのではないかと疑いを抱くようになるが、そんな矢先にアリスの恋人のウィルが何者かに殺害されるという事件が発生し…

 


 生贄を差し出す代わりに願いを叶えるという魔女『マーシー・ブラック』の恐怖を描いた、オカルトサスペンス映画。


 いわゆる都市伝説系のオカルトホラー映画となるのですが、作中でも『少女たちが妄想で作り出した存在』である『生贄を差し出す代わりに願いを叶える魔女』を題材としており、元ネタとなるような存在があるのかは良く分かりません。


 お話としてはサスペンス要素が強めのオカルトホラーといった構成で、『かつて妄想に囚われて狂気的な儀式を行ったせいで精神病院に入れられていた女性が、15年を経て病院から退院したところ、彼女の周りで「妄想の存在」が実在するのではないかと思われるような現象や事件が起こるようになっていき…』という感じの展開。


 『「マーシー・ブラック」は果たして実在するのか、もしくは心の病を回復していない彼女の生み出した妄想なのか?』というのを中心にお話が進んでいくのですが…


 『自分たちの妄想で生み出した怪異』が、年月を経てさも実在するかのような都市伝説として語られ、その怪異にまつわる模倣犯やエピソードを生み出している…という設定は、都市伝説の形成過程や民俗学的な切り口としてなかなか面白いですね。


 『過去の凄惨な事件』と『現代の時間軸』を交互に描くことで謎解きが少しずつ進んでいくという構成も、わりとありがちな展開ではありながらも悪くない印象で、中盤のマーシー・ブラックの秘密』を解き明かしていく謎解きパートは、非常に面白くてなかなか良く出来ています。


 ただストーリーは面白いのですが、怪奇現象やら怪物の出番が意外と少な目で、ホラー描写も地味なものや面白味のないものが多いため、全体的に盛り上がりに欠ける感じの印象になっているのは残念なところ。


 もうちょっと、派手な見せ場とか山場になるようなシーンが多くても良かった気がしますよ。


 終盤のちょっとしたドンデン返し的な展開も、少し勘の良い人であれば割と容易に先が読めてしまいそうな内容なので、ちょっと物足りないところ…


 ただオチはなかなかにパンチが効いてて、個人的には結構好みの感じの終わらせ方だったのは悪くないところでしたよ。

 


 総評としましては、『そこそこ楽しめるレベルのオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 『噂の都市伝説化』という都市伝説の形成プロセスやら面白い切り口の部分もありますし、その手の都市伝説ホラー的な題材が好きであれば割と見どころのある作品と言えるかも?


 強く推すにはちょっと弱いですが、気になるようであればチェックしておいて良い程度の一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「ハングリー/湖畔の謝肉祭」(20点/スラッシャー)

■■■「ハングリー/湖畔の謝肉祭」■■■
(20点/スラッシャー)


 2007年、イングランド南部の寂れたアクアパークのロッジに訪れた3人の男女が、何者かによって惨殺されるという事件が発生する。


 そして20年余り経過した現在。
 野外フェスへと向かう事となった6人の若い男女が、田舎道を車を走らせていたところ、道に迷ってしまい廃墟と化したアクアパークへとたどり着く。


 しかし、その場所は殺した人間の皮で作ったマスクを付けて犠牲者の肉を貪り食う恐るべき食人一家の棲む場所だという事を、彼らはまだ知らなかったのだった…

 


 食人一家の暮らす湖畔のアクアパークの廃墟へと訪れた男女が、悪魔のような食人一家の襲撃を受ける…という、イギリス製のゴア系スラッシャーホラー映画。


 登場する殺人鬼が『田舎町に暮らす犠牲者の皮で作ったマスクを付けた食人一家』という時点で、もう既にどこかで聞いたような設定の話という印象がありますが、そういうパクリ的な要素とは関係ないレベルで色々とダメダメな感じの超低予算ホラー映画って感じの作品です。


 映画の内容に関しては、いきなりこんな事を言うのも何なのですがぶっちゃけて言うと『低予算スプラッターホラーの悪い部分を煮詰めたような映画』という印象。


 序盤は、お約束のごとく若者たちが無駄にバカ騒ぎしたりエロい事をしたりとダラダラと過ごすシーンが無駄に長く、なかなかお話が進まなくてテンポが悪いです。


 そして中盤以降になってようやく殺人鬼が登場した後も、『暗くて何をやってるか判然としないシーン』やら『全く迫力の無い襲撃シーン』やら『血糊でごまかしているだけで面白味のない残虐シーン』やら、低予算ホラーにありがちな『見どころの無いシーン』が延々と続きます。


 殺人鬼も悪魔のいけにえ」のオマージュと言えば聞こえが良いですが、『死人の皮膚で作ったマスク』を付けてるだけで何の面白味も無い連中で、外見にも正確にも殺害方法にも各自の個性らしきものが全くないため、最後まで観終わった後でもそもそも何人組の殺人鬼だったのかすら判然としないレベル。


 主人公たちの方もあまり個性が立っておらず、キャラ同士の人間関係とかがサッパリ分からないせいで感情移入も難しく、仲間が殺されようが救出に向かおうがとにかく盛り上がりません。


 お話のラスト10分ぐらいになって、ようやく主人公たちが反撃を開始して少しだけ盛り上がる展開があるのですが、正直に言ってしまうとそこまでのシーンを全て早送りで観てしまっても支障が無いような内容なのは困りもの。


 個人的にオチのブラックな感じは割と嫌いではなかったので、せめて『もうちょっと本編中に見どころがあればなぁ…』という感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、どうにも見どころが無くて退屈な『超低予算のZ級スプラッターホラー映画』って感じの作品ですね。


 ガチで『低予算スプラッター映画の悪い方のテンプレート』をなぞったような内容なので、色々とツッコミを入れる目的で観るのであれば、まあ悪くない作品と言えるかも?


 まあでも、よほど『特殊な目的』でも無いようであれば全くオススメしないレベルの映画ですので、普通にゴア系ホラー映画が好きな人でもスルーしてしまっても問題の無い一本ではないかと思いますよ。

映画感想:「シン・クロコダイル」(55点/生物パニック)

■■■「シン・クロコダイル」■■■
(55点/生物パニック)


 ハンターのチアン・ポンは、街の有力者であるチャーの依頼でアフリカで捕獲した巨大な人食いクロコダイルの『ギュスターヴ』を輸送する事となる。


 しかし地元であるチャイナタウンを移送中に巨大な地震が発生し、チャイナタウンを津波が直撃。
 街は一瞬にして水に飲まれて全ての建物が水没してしまう。


 街の住人たちと共になんとか災害を生き延びたチアン・ポンだったが、移送中だったギュスターヴが檻から脱走。
 ワニに追われた住人達は近くのスーパーマーケットの中に逃げ込むが、津波と洪水による水位の上昇と人食いワニによって更なる危機へとさらされてしまうのだった…

 


 津波で水没した中国の下町にアフリカで捕らえた人食いワニが逃亡し、避難した街の住人達が脅威にさらされる…という、中国製の生物パニック映画。


 最近にわかに流行している、中国製の生物パニック映画とかモンスター映画の新作ですね。


 津波で水没した街で避難した住民たちが人食いザメ(今回はワニ)に襲われるという「パニック・マーケット」をリスペクトした系の作品なのですが、つい先日に発売されたタイ製の映画も同じような設定だったので、最近の生物パニック映画の界隈ではこういうのがトレンドになってるんでしょうか?


 ただ設定は「パニック・マーケット」だけど、内容的には「クロール -凶暴領域-」の方の影響を受けている印象が強くてリスペクトしたっぽいシーンもあったりするので、そちらの影響の方が強い作品かも?
 (他にも、ラスト辺りの展開で「アリゲータ」をリスペクトしたっぽいシーンもあったりするので、割と色んな生物パニック映画のごちゃ混ぜ感?)


 そんな感じで内容としては、割と『あちこちからネタを引っ張ってきた二番煎じ感のある生物パニック映画』となっているのですが、映画としての完成度はそこまで低くなくて、割と良くまとまっている作品という印象。


 非常にテンポの良い作りなうえに要所要所にそれなりの見せ場があり、緩急のバランスが取れているのは良い感じ。


 山場となるシーンも場面毎に見せ方に工夫がされており、観ていて退屈させないようになっているのは良く出来ています。


 ただ他の生物パニック映画のリスペクト的なネタが多いので、全体的に『どこかで観たようなシーン』が妙に多いのはちょっと気になる部分かも?


 登場人物のキャラクターも良く立っており、主要キャラの各人に見せ場がキチンと用意されていて盛り上がる展開になっていたり、予想外のキャラが活躍するシーンがあったりするのも何気に良い感じ。


 矢鱈とパニックを起こして迷惑をかけまくるアホとかがあまり居ないのも、観ていてストレスが溜まらないのも良いですね。


 ただラストの展開が、もっと盛り上がるのかと思いきや意外と地味で、怪物の退治方法も矢鱈とアッサリしてるのは物足りない部分かなあ…


 あと、伝説の人食いワニである『ギュスターヴ』が妙に小さいワニ(全長3.5mぐらい?)として描かれてるのは、正直言ってちょと不満点でしたよ。
 (現実の『ギュスターヴ』って、推定6m強ぐらある超巨大な人食いワニのはずなので、もっとデカい迫力のある描き方をして欲しかった。)

 


 総評としましては、『そこそこ良く出来た生物パニックもののサバイバルアクション映画』という感じの作品ですね。


 普通に楽しめるレベルの見どころのある生物パニック映画なのですが、やや『どこかで観たようなシーン』が多くて、本作ならではの個性に乏しいのは残念なところ。


 気になるようであればチェックしておいても損は無いレベルの作品だと思いますので、この手のジャンルが好きであれば『お好みで』という感じの一本ではないでしょうか?

映画感想:「ジョーズ・リベンジ」(50点/生物パニック)

■■■「ジョーズ・リベンジ」■■■
(50点/生物パニック)


 妻をサメに食われるという事故で失ったダイバーのワン・レイは、リゾートホテルでボーイとして働きながらもトラウマが原因で酒浸りの日々を過ごしていた。


 そんなある日、リゾートホテルを巨大な津波が直撃。
 津波から生き延びたワン・レイらの8人の男女は、なんとかして水没したホテルから安全な陸地へと脱出しようとするが、血の匂いに惹きつけられた巨大な人食いザメがホテル内部へと侵入してきてしまい…

 


 津波で水没したリゾートホテルに人食いザメが出現し、生き延びた人々がなんとかして危機から脱出しようと試みる…という、タイ製のパニックホラー映画。


 冒頭の粗筋からしホラーとかパニック映画が好きな人ならばなんとなくデジャブを感じるような設定かもしれませんが、2012年に作られた佳作パニックホラーである「パニック・マーケット」津波で水没したスーパーマーケットにサメが出現する)という映画にプロットやらが矢鱈と良く似ている作品ですね。


 細かいストーリーとかキャラクターとかは全く違うのですが、演出とか設定とかにも妙に似ている要素が沢山あったりするので、もしかしたら「パニックマーケット」をリスペクトして作られた作品なのかも?


 ただ「パニックマーケット」は、サメ以外にも強盗やら蟹の大群やらが出現してみたりと割とお馬鹿な要素やハッチャけた部分の多い内容だったのですが、本作は割とオーソドックスなパニック映画に仕上がっているような印象。


 津波発生』~『ホテルからの脱出』という以外に特に余計な要素は殆ど無くて、ダラダラした部分がなくて非常にテンポ良くお話が進んでいくのは悪くありません。


 ピンチのシーンや演出も非常に分かりやすいですし、登場人物は少ないながらもキャラが良く立っているので、観ていて冗長に感じる要素とかが無い点は良く出来ていると言えるでしょう。


 ただテンポが良いという以前に、そもそも尺が全体で60分程度しか無いので、全体的にアッサリ風味でややボリューム不足。


 見せ場なんかはそれなりに考えて作られているのですが、地味なうえにオーソドックスな要素が多くてあまり捻りや個性的な部分が感じられないのも、ちょっと物足りないんですよね。(特に最初の津波のシーンとかは、もうちょっと迫力が欲しかったところ…)


 また『主人公の奥さんがサメに食われるエピソード(水中結婚式の最中に食われる)』だけは矢鱈と個性的な割に、そのエピソードを元にした主人公のトラウマが本編にあまり活かされていないのも気になったところかなぁ…


 あと、タイトルにジョーズ・リベンジ」と付いていますが、ジョーズ側にも人間側にもリベンジ(復讐)するような要素が全くないので、何をもってこのタイトルを付けたのかちょっと謎でしたよ。

 


 総評としましては、オーソドックスで平均点という感じの内容ながらも『ちょっと盛り上がりに欠ける低予算パニックホラー映画』という感じの作品ですね。


 悪くは無いのですが特に推す程の要素もあまり無い感じで、ぶっちゃけて言ってしまうと『地味になった「パニック・マーケット」みたいな映画』というのが正直なところ。


 気になっているのであれば観るのを止めるような事は無いですが、慌ててチェックするような作品でも無いので、レンタルで安くなるかどこかでサブスクリプション入りしたタイミングぐらいに観ておけば問題ない程度の一本ではないかと…

映画感想:「デストイレ Ⅱ 復讐の悪魔便器」(20点/オカルト)

■■■「デストイレ Ⅱ 復讐の悪魔便器」■■■
(20点/オカルト)


 マーカス神父の協力で、『悪魔のトイレ』との戦いになんとか勝利したベトナム帰還兵のブレットは、それから数年後、レーサーとして成功し世界を転戦して駆け巡っていた。


 『悪魔のトイレ』との死闘のあと、ブレットはトイレの製造会社を訴え、その会社が倒産する事で『悪魔のトイレ』はこの世から消え去り、彼らの周りに平和が戻ったと思われていた。


 そんなある日、マーカス神父から連絡を受けた彼は、『悪魔のトイレ』が再び現れたから力を貸して欲しいという相談を受ける。


 『悪魔のトイレ』との戦いのトラウマが未だに消えない彼は、最初は神父からの依頼を断るが、彼の元へ再び『悪魔のトイレ』が襲撃に現れた事から、神父と協力して再び『悪魔のトイレ』との戦いを決意するのだった…

 


 ベトナム帰還兵の男性と『悪魔のトイレ』との戦いを描いた、トイレ・エクソシズムを題材としたオカルトホラー映画の第2弾。


 『世界で唯一のトイレ・エクソシズム映画』の新作となる本作ですが、そもそも『トイレ・エクソシズム映画』って何やねん…というのに加えて『世界で唯一なのは他に作る人が居ないだけだろ!!』とか、キャッチフレーズの時点で色々とツッコミどころ満載の作品です。


 そもそも前作からし『クソ・オブ・クソ映画(トイレだけに)』みたいな内容だったのに、何でコレの続編を作ろうと思ってしまったのか…そして日本のメーカーも何でコレを配給しようと思ってしまったのか…と疑問が尽きませんよ。
 (まあ、日本のメーカーはコンマビジョンだから仕方ないね。)


 とまあ続編が作られた事へのツッコミはさておき肝心の映画の内容に関しては、ぶっちゃけて言うとつまらないなりにも『前作に比べると少しは観れる内容になったかも?』というのが正直な印象。


 お話としては、『トイレとの戦いによって重傷を負いつつもなんとか「悪魔のトイレ」に勝利して平穏な暮らしを手に入れていた主人公が、数年後に再び「悪魔のトイレ」が出現した事を神父から知らされ再び戦いを挑む事となる…』というようなストーリー。


 …って、確か前回のラストで主人公は『悪魔のトイレ』に首を斬られて死んでたような気がしていたのですが、どうやら『なんとか生き延びて戦いに勝利していた』事になっているようです。


 でも前作のラストのエピローグのシーンで、主人公の家が売られて『悪魔のトイレ』が新たな住人を脅かす事を暗示するようなシーンがあった気がするので、『あのシーンは何だったんだよ?』という疑問が湧いてしまうのすが…まあ、そんな細かい事を気にしてはならない作品だという事なのでしょう。


 映画としては、前作と同様に『超低予算のZ級オカルト映画』という感じの内容なのですが、前作に比べると最初から『悪魔のトイレ』の存在がつまびらかになっている事もあり、全体的にテンポの良い作品に仕上がっているのは良い点だと言えるでしょう。


 ちなみに今回の舞台は『前作とは別の悪魔のトイレ』との戦いとなっているのですが、撮影現場のトイレが『どうみても前作と同じトイレ』という、割り切った省コストっぷり。

 更には、主人公が『旅先で泊まったホテルのトイレ』までもが、『どうみても前作と同じトイレ』で撮影されているため、設定と映像のギャップに観ていて脳がバグりそうになります。


 というか低予算で手を抜くしして程があるだろ、撮影できる場所はそこしか無いのかよ!!(笑)


 ただ低予算は低予算なのですが、前作に比べてちょっとだけ小道具的なものが増えていたりと、『ほんのりと予算が増えてそう』なのはちょっと微笑ましいところですね。


 前作と同様にストーリーらしいストーリーは殆ど無くて、基本的に本編は『悪魔のトイレ』と主人公たちが戦っているだけの内容なのですが、前作に比べると超展開とかバカ度がちょっとアップしているのは良いところ。


 『悪魔のトイレ』と戦う神父の武器として、『祝福されしトイレットペーパー』やら『キリスト・ワイパー(キリストのクリーニングシート)』やら新たな小道具が登場しているのはなかなかに良い感じ。


 また対する悪魔のトイレの攻撃も、前作の『あからさまな合成でトイレが火を噴いたり爆発したりする』だけじゃなくて、『トイレットペーパーが絡まってきて首を絞める』とか、ちょっとした小技が増えているのもバカバカしくて笑わせてくれます。


 作品の見どころは、あいかわらずの『悪魔のトイレ』を相手にガチの悪魔祓いを演じる『神父役の俳優さんの熱演』なのですが…

 今回は普通の悪魔祓いのように『聖書を読む』のに加えて『キリスト・ワイパー』でトイレを拭いたり、『キレイになれ、キレイになれ!!』と叫びながら聖水をふりかけたりするシーンもあったりして、あまりのシュールな絵面に思わず爆笑してしまいましたよ。(どう見ても『熱心にトイレ掃除をしてる神父さん』にしか見えない。(笑))


 あと、あいかわらずネタのつもりなのか何なのか『放屁の音を延々と聞かされる』シーンも健在で、しかも今回は何故か『放屁の時間を計測するタイマー』が画面に表示されるという謎の新機能付き。

 いや、あのシーンって好評だったのかよ、あと誰のための新機能なんだよ!?


 とまあバカバカしいのは良いですし、話だけ聞くと面白そうに見えるかもしれませんが、色々ととにかく酷い出来ですし『悪魔の便器』とのバトルに関しても前作以上にグテグテな感じですし、前作と同様に『もうちょっと色々とどうにかならんかったのか?』という感想を抱いてしまうような作品でしたよ。

 


 総評としましては、あいかわらず『最底辺レベルの超低予算オカルトホラー映画』という感じの作品ですね。


 あまりにも酷すぎる出来なので、とてもじゃないですが人にオススメするような内容ではないですが、『ネタ映画を求めているのであれば前作よりは見どころのある作品』に進歩した印象。


 尺も相変わらず60分程度と短い尺の作品ですので、そういう『ツッコミ系のネタ映画』を探しているのであれば、2本続けて視聴してみるのも良いかもしれませんよ。
 (あまりの酷さにブチ切れられても困るので、アクマで自己責任で…)

 

映画感想:「呪詛」(80点/オカルト:オススメ)

■■■「呪詛」■■■
(80点/オカルト:オススメ)


 とある事件をきっかけに心身を病んで親権を失い娘を里親に出していたリー・ルナオンは、6年間の療養を経てようやく回復し娘のドゥオドゥオと共に暮らせる事となる。


 幼い娘と共に生活をはじめた彼女だったが、それと同時に彼女たちの周りで不気味な現象や奇妙な事故が相次いで起こるようになっていく。


 それは、6年前にルオナンがとある場所で土着の宗教にまつわる『恐るべき禁忌(タブー)』を破った事に端を原因を発するものだった…

 


 かつて『恐るべき禁忌(タブー)』を破った女性が、その呪いによって母娘ともに恐るべき運命に翻弄されていく…という、台湾製のオカルトホラー映画。


 ネットフリックス限定配信一部のホラーファンの間で話題となっている本作ですが、『台湾で一番怖い映画』という触れ込みだけの事はあって、確かにコレは前評判に違わないレベルで良く出来た作品です。


 サスペンス要素が強めなのであまり本編のストーリーには触れずに感想を書きますが、お話としては『とあるオカルト好きの女性が、6年前にとある土着宗教の禁忌を破って「禁じられた場所」へと取材に行くんだけど、そのことが原因で母娘ともどもに恐るべき呪いに囚われてしまう…』という感じのストーリー。


 POV的な要素もあって『なんちゃって実録系作品』のテイストが強めの内容なのですが、そこまで主観視点は多くないのでカメラ酔いが苦手な人でもあまり問題は無さそう…


 実録系のテイストを活かす事で上手に閉塞感やら緊張感を醸し出しているのですが、その効果によって全体に流れる『どうやっても事態が悪い方向へと進んでいきそうなプレッシャーとストレス』が尋常じゃなくて、割と本気で途中から続きを見たくなくなるレベルなのは凄いですね。


 演出も含めて、色んな意味で『実録系作品』である特徴を効果的に活かしたオカルト映画だという印象。


 お話の組み立ても非常に上手く、リアルタイムで進んでいく『現在の呪い』の時間軸と、並行して語られていく『過去に起こった事件』による謎解きを組み合わせる事で、謎が徐々につまびらかになっていく構成も面白いです。


 ただ、割と予告も無く『時間軸が現代と過去を行ったり来たりする』部分があったりして、ちょっと混乱する要素があるのは気になるところ。


 お話の組み立てに加えて、ビジュアル的な怖さも非常に良く出来ており、とにかく視聴者の生理的嫌悪感を掻き立てるような演出が多いのも良く出来ています。


 アジアの辺境に伝わる不気味な土着信仰や原始宗教を題材とした作品なのですが、とにかく土着信仰特有の『ねっとりと絡みつくような不気味さ』が良く出ており、一部の映像が苦手な人には辛い部分があるかも?(虫とか集合体とか…)


 土着信仰の『触れる事はおろか、考える事すらしてはならない神』という設定も良い味を出していますし、主人公と視聴者の関係性やら画面の残像効果やらを利用した演出も良く出来ており、映像表現もストーリーも含めてホントに良く考えて作られた作品だなと感心させられましたよ。


 オチの落としどころも非常に上手くて、ラストの展開はやや予想できてしまう部分もあるものの『そう来たか』という感じで、ラストまで非常に満足度の高い作品でしたよ。

 


 総評としましては、とにかく不気味で嫌悪感の強さがハンパない『非常に良く出来た傑作オカルトホラー映画』って感じの作品です。


 割とガチで『数年に一本出るレベル』の良作なので、オカルトホラーが好きな人であれば間違いなくオススメできる映画だと言えるでしょう。
 (できれば前情報とかあまり知らずに観た方が楽しめる内容だと思うので、レビューとかを読まずに観る方が良いかと…)


 逆に、ホラーが苦手な人とかちょっと精神を病みがちな人とかだと、割と『ハンパないストレス』を感じる可能性があるので、なるべく精神が健康な時に観る事をオススメする一本ですよ。