NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シー・フォー・ミー」(65点/サスペンス:結構オススメ)

■■■「シー・フォー・ミー」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)


 元ジュニア代表のスキー選手でありながら病気で視力を失った少女ソフィは、他人に頼ることなく生きていくために視覚障がい者である事を逆手に取って、お手伝いに訪れた金持ちの家から金目の物を盗み出すという処世術で利益を上げていた。


 そんなある日、留守中のペットシッターとして郊外の豪邸に訪れた彼女は、そこでも盗みを働こうと画策するが、そんな矢先に深夜に彼女が眠っている間に、屋敷に隠された巨大金庫を狙った武装強盗団が屋敷へと侵入してくる。


 異変に気づいた彼女は警察に電話するも、強盗たちに彼女の存在に勘づかれてしまった事から、強盗たちと対決するために視覚障がい者用アプリ「シー・フォー・ミー」を通じて知り合った、元軍人のベテランFPSゲームプレイヤーのケリーに助けを求めるが…

 


 富豪の屋敷で留守番中に強盗団の侵入を受けた視覚障がい者の少女が、リモートでベテランFPS(主観視点のシューティングゲーム)プレイヤーの助けを得て強盗と対決する…という、サスペンススリラー映画。


 『目の見えない女性が悪党と戦う』というプロットから、「暗くなるまで待って」みたいな感じのサスペンスかと思いきや、どちらかというとスリラー要素よりも『視覚障がい者の少女とFPSプレイヤーのバディもの』という感じのお話でしたよ。


 先述のとおり、『目の見えない女性が主役のサスペンス』という意味ではプロットとしてはそこまで目新しさは無いのですが、スマホのカメラを使ってサポートを受けながら悪党と対決する』という設定はなかなか斬新で面白いです。


 また、設定以外の部分でも非常に良く練られた作品で、特にサスペンス要素が予想以上に良く出来た良作という印象。


 お話としては『視覚障がい者の少女が豪邸で留守番してたら、いつのまにか強盗団が侵入していました』という感じの流れなのですが、相棒となるFPSプレイヤーの女性がスマホのカメラの映像を頼りに、FPSの操作ばりに主人公をサポートしながら戦っていく』という展開は、荒唐無稽な設定の割には意外と説得力もあって面白いです。


 ストーリーの流れも『主人公が強盗とバトルする』という単純な展開ではなくて、主人公が強盗に懐柔されそうになったり予想外に警察が絡んできたりと、予想外の展開が多くて非常にテンポ良く最後まで先の展開が全く読めない作りで楽しませてくれます。


 主人公の『視力を失ったせいでスキー選手になるという夢を失い悪事に手を染めてしまった少女』というキャラの立て方も上手いですし、相棒となるFPSプレイヤーの元軍人女性』三者でありながら無理なくお話に絡んでくるという部分の構成が非常に上手くて、普通に感心させられてしまいました。


 あと、主人公役の女性が『実際に成人してから視力を失った女優』の方らしく、演技に非常にリアリティがあるのも良いですし、地味な部分では『強盗団の正体』とかも意外とシッカリと伏線が仕込まれており、その他のネタも含めて細かい部分まで非常に丁寧に作られている印象。


 ただFPSが題材という事もあってか、悪党との対決がほとんど銃撃戦に終始しているのはちょっと物足りない部分かなぁ…


 ラストの対決も妙にアッサリしてたので、もうちょっと他のギミックやトラップ的なものを活かした要素や派手な展開があっても良かった気はしますよ。


 とまれ、少女の成長を描いたストーリーと爽やかなオチも良く出来ていましたし、人間ドラマとしてもサスペンスとしても完成度が高くて予想以上に楽しめた作品でしたよ。

 


 総評としましては、全体的に非常に丁寧に作られた『良作サスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。


 本作ならではの個性や派手さという部分ではちょっと物足りない部分もあるものの、逆に設定やらストーリーも含めて『安心してオススメ出来るタイプの映画』という印象です。


 普通に良く出来た作品だと思いますので、その手のホームインベージョンもの等のサスペンスが好きであれば、とりあえずチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。

 

映画感想:「カラダ探し」(65点/オカルト:オススメ)

■■■「カラダ探し」■■■
(65点/オカルト:オススメ)


 女子高生の森崎明日香は、7月5日に不気味な現象と共に学校内で居るはずの無い小学生ぐらいの少女の姿を目撃。
 少女から『私の身体を探して』という奇妙なメッセージを伝えられる。


 異常な現象に恐怖を感じる彼女だったが、その日の深夜0時を迎えた瞬間に、幼なじみの高広を含むあまり接点のない5人のクラスメイトと共に学校の閉鎖中の礼拝堂に居る事に気づく。


 突然の事態に混乱しつつも学校から出ようとする彼らだったが、そんな彼らの前に血まみれの少女『赤い人』が出現。
 『赤い人』は彼ら6人を次々と惨殺してしまう。


 しかし、殺されたと思った明日香が目を覚ますと、7月5日の朝に時間が戻っているという異常な現象が発生。


 同じ現象に巻き込まれたオカルトマニアのクラスメートから、自分たちが『カラダ探し』という奇妙な儀式のようなものに巻き込まれており、『殺されてバラバラにされた少女の身体のパーツを全て集めないと、この時間のループからは抜け出せない』という驚くべき話を聞かされるが…

 


 『バラバラにされた死体を探して集める』という『カラダ探し』と呼ばれる奇妙な怪異に巻き込まれ、同じ一日を延々と繰り返して殺され続ける事となった若者たちが、なんとかして謎を解いて時間のループを抜け出そうとする…というオカルトサスペンス映画。


 カラダ探し』という、都市伝説的な謎の儀式を題材にした映画なのですが、どうやら原作はマンガらしくて実際の内容の方もマンガ的なテイストが強めの作品ですね。


 劇場で公開された時から割と評価が高かったので気になっていたのですが、マンガ的テイストの「スタンド・バイ・ミー」とか「イット」みたいなノリの作品という感じで、『Jホラーって、こういう方向性も行けるんだ!』と素直に感心させられるような内容でしたよ。
 (実際の中身の方も『死体探し』が主人公たちの目的だったり、『架空の都市伝説』が題材となっていたりするあたり、「スタンド・バイ・ミー」や「イット」をリスペクトしてるっぽい雰囲気を感じます。)


 お話としては、『クラスカースト底辺の陰キャ主人公が「カラダ探し」という都市伝説的な怪異に巻き込まれて、同じ日を繰り返しながら延々と殺される事になるんだけど、この現象から逃れるためには、深夜の学校で「バラバラにされた少女の死体」を集めなければならない事が判明し…』みたいな感じの展開。


 『都市伝説』と『タイムループもの』というそれぞれのアイデアは月並みなんだけど、それらを組み合わせる事で組み合わせる事で『そりゃ面白くなるよね』という感じのプロットに仕上げている辺りは、なかなか良く出来ている印象です。


 全体的にお話が非常にテンポ良く進むのに加えてに、イムループものという特徴を活かして主人公たちが何度も何度も襲われまくるので、ホラー的な見せ場が十分にあるのも嬉しいところ。


 特に、本作に登場する怪異である『赤い人』がメチャクチャ『空気の読めるモンスター』で、ホラー映画のお約束的に『絶対にここで襲って来るだろ!』みたいなシーンで、必ず襲撃を行って来るという徹底した空気の読め具合で観ていて非常に痛快です。


 また終盤になるとこのモンスターが予想以上のパワーアップを見せて、派手なアクションを繰り広げるようになってくれるのも良い感じ。


 モンスターも個性が出ていて良いのですが、主人公たちも原作がマンガ作品らしくキャラが良く立っておりスクールカースト底辺の主人公たちが徐々に団結力を発揮して自信を取り戻していく』みたいな展開は、コテコテながらもカタルシスがあって面白いです。


 ただ、映画の尺の都合もあるのでしょうが『お前ら急激に仲良くなりすぎだろ』みたいな部分があったり、前半の『カラダ探し』のシーンがダイジェスト版みたいな感じで割とアッサリした作りだったりするのは、ちょっと残念なところ。


 でも、終盤の『謎解きパート』に突入して以降の怒涛の展開も楽しいですし、伏線が回収されてるんだかされてないんだか分からないような『細かいツッコミどころ』やら粗削りな部分も少なくないものの、それを気にさせないようなパワーを持った作品という感じで、ラストの展開も無駄に熱くて良い感じだったので、なかなかに満足度の高い映画ではありましたよ。


 あと余談ですが、橋本環奈は確かに可愛いし若そうな外見ではあるのですが『流石に主役級で高校生の役はそろそろ厳しくなってきたかなあ?』と改めて感じた作品でした。(笑)

 


 総評としましては、『なかなかに良く出来た都市伝説テイストのオカルトサスペンス映画』って感じの作品ですね。


 マンガ的なノリではありますが、都市伝説ものやらジュブナイルホラーやらが好きであれば割とハマれる内容ではないかと思うので、そういうのが好きであれば普通にチェックしておいて損はない一本ではないかと…


 ただ、グロシーンで直接的な描写はあまり無いものの、割と激しいシーンが多くてモンスターも怖めのデザインですので、青春ジュブナイル系とは言えどもホラーが苦手な人はちょっと注意が必要かもしれません。

 

映画感想:「デッドゾーン -殲滅領域-」(30点/モンスター)

■■■「デッドゾーン -殲滅領域-」■■■
(30点/モンスター)

 

 謎のウイルスの蔓延により人類のほとんどがゾンビ化した未来。

 政府は健康な市民のみを避難させ、放射能爆弾によって街のゾンビを殲滅する作戦を実行。
 その汚染地域は『デッドゾーン』と呼ばれ危険地帯として指定されていた。


 しかし、その『デッドゾーン』の中にあるCDCのウイルス研究所で『ゾンビウイルスのワクチン』が開発されていたという情報が発覚。


 その真相を突き止めて実在するようであればワクチンを回収するために、『ボス』の率いる特殊部隊の5名のチームが『デッドゾーン』へと派遣される事となる。


 だが、その場所は放射能によって突然変異を起こした危険な新型ゾンビが徘徊する恐ろしい場所と化していたのだった…

 


 ゾンビウイルスの蔓延する未来世界で、放射能汚染された汚染地域に極秘任務に訪れた特殊部隊の面々が突然変異の新型ゾンビの脅威にさらされる…という、アクション映画風味のモンスターパニック映画。


 『ゾンビウイルスが蔓延した未来世界で、核爆弾(中性子爆弾)でゾンビを殲滅しようとしたら突然変異でスーパーゾンビが誕生しちゃいました』みたいな感じの設定のお話なのですが、なんかその設定って「Fallout76」ってゲームで聞いたことあるわ…


 というか、その他にも突然変異ゾンビはバイオハザードの『リッカー』みたいな感じだし、街の雰囲気とかは「レフト・4・デッド」みたいな感じだし…と、何か『色々なゾンビゲームの影響』をめっちゃ受けてる印象を受けるような作品です。


 ゲームの影響を多分に受けている事もあってか、絵面としてのビジュアルが全体的にカッコいいのは本作の良いところ。


 主人公たちのコンバットアーマーも、やや低予算な雰囲気はあるものの割とシャープな印象でカッコいいですし、格闘シーンなんかもそこそこ気合が入っている印象。


 画面の構成やら見せ方も、ゲーム的なスタイリッシュなイメージにこだわって作っているような印象を受けます。


 とまあ、こう書くと『割と良さげな雰囲気のアクション系のゾンビ映画のように聞こえるのですが、その他の部分が軒並み微妙な内容なのが困りもの。


 まずストーリーらしいストーリーは殆ど存在せずに、お話としては『特殊部隊の面々が放射線で汚染された地域を淡々と探索してるだけ』という内容。


 まあゾンビものと言えどもアクション映画寄りの作品なので、バトルシーンが多ければそれでも面白くなりそうな感じになると思うですが、意外と出てくるゾンビの数も少なくて、ダラダラと街中をウロついているだけの時間が多くてどうにもテンポが悪い。


 『突然変異ゾンビ』も登場するのは1匹のみで、ラスト付近まで出し惜しみされた割にはたいして面白味のないデザインですし、特にモンスターとしての魅力が感じられないのは残念なところ。


 どうせ『ゾンビが放射能で突然変異している』という設定にするなら、もっと手が付けれないような凶悪ゾンビの群れでも出した方が良かったんじゃないかなぁ…


 特殊部隊の隊員たちも、隊長とヒロイン以外は個性が薄くてあまり印象に残らない感じですし、アクション要素に着目してもドラマ部分に着目しても全体的にどうにも盛り上がりません。


 狙ってる方向性は分かるのですが、もうちょっと『観ていて楽しい内容』に出来なかったもんかなぁ…という感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、『どうにも盛り上がりに欠ける微妙な出来のアクション系のソンビ映画』という感じですね。


 ゲーム風味のテイストとかは悪くないのですが、あまりにも内容が薄すぎてそういうノリに期待してる人にもちょっとオススメ出来ない感じかなぁ…


 『ゲームっぽいプロットがよほど好き』とか『予告で観てよほど気になっている』とかでも無ければ、普通にスルーしてしまっても問題の無い一本ではないかと思いますよ。

映画感想:「ザ・シスト/凶悪性新怪物」(30点/モンスター)

■■■「ザ・シスト/凶悪性新怪物」■■■
(30点/モンスター)


 1962年の12月。
 医師であるガイ博士は、自分で開発したレーザーと怪しげなパワーを利用したおでき除去マシン『ゲット・ゴーン』で特許を取るために、特許審査員に向けておできを除去するデモンストレーションを行う事となる。


 デモのために職員のプレストンの背中にできたおできを薬物で巨大化させた彼は、危険性を示唆する看護師のパトリシアの警告も聞かずにデモンストレーションを実行。


 しかし暴走したマシンの影響によって、おできは独自の生命を持った怪物へと進化し、病院の職員や特許審査員たちへと次々と襲い掛かるのだった…

 


 新型のおでき除去マシーンの暴走により誕生した『おできモンスター』が病院の職員たちを襲う…という、モンスターパニック映画。


 今までも色々な原因でモンスターが誕生する映画が撮られてきましたが、もしかしたら史上初かもしれない『おでき』から誕生したモンスターが人間を襲うというお話です。


 まあ、『おでき』から誕生したモンスターというのは確かに史上初かもしれませんが、男性の尻が独立して怪獣化する「尻怪獣アスラ」とかに比べるとまだ理解できる範囲だと思うので、むしろ本作に限らず現在のB級ホラー映画界のカオスっぷりの方が常識を逸脱している印象。


 内容的にはB級というよりもD級ぐらいの超低予算映画っぷりで、ストーリーの方もハチャメチャ『野心に燃えるマッドサイエンティストの医師が、レーザーでおできを除去するマシンを開発しておできの除去のデモンストレーションを行ったところ、おできが怪物化して人間を襲い始めました』みたいなお話ですね。


 一応、おできを除去する際に、怪しげな薬でおできを巨大化させていたり、除去マシンに『宇宙エネルギー』みたいな謎のパワーが使われていたりして、その辺が原因でモンスター化してるみたいなのですが、あまり深く説明はされておらずに『細かい事は気にすんな!!』みたいな、ノリとイキオイで作られたホラー映画っぽいスタンス。


 実際のところ『おできモンスターが出現したので、なんとかして生き延びて病院から脱出する』という以外にはストーリーらしいストーリーも殆ど無くて、暴れるモンスターから逃げ回る人間たちの姿がダラダラと描かれているだけといった構成です。


 モンスターに関しては『腫瘍がそのまんま着ぐるみ怪人化』したような、もし「バロムワン」の怪人に『おできゲルゲ』が存在したら、きっとこんなデザインだろうみたいなモンスター(若い人には分からんか?)で、なかなかグロくて尖ったデザインではある印象。


 コイツがお約束な感じに触手やら溶解液とかを使って人間を襲いまくるのですが、登場人物が少ないせいなのか予算の都合なのか意外と出番は控え目で、見た目の割にはいま一つ印象が薄いのは残念なところ。


 ストーリーに関しては、むしろ暴れ回るモンスターよりも『異常に独善的なマッドサイエンティストの医師』と、『常識人で医師に苦労ばかりかけられている看護師(主人公)』の対立の方がむしろメインに描かれている感じで、このキチ●イ医師とクビを宣告された看護師が内輪もめして『相手を殺さんばかりの大乱闘』を繰り広げるシーンの方が本編の最大の山場で見どころだったりします。(笑)
 (乱闘シーンのあまりのガチっぷりに思わず爆笑してしまいました。)


 まあ、どう考えても『モンスターの設定とインパクトのみで一本釣りしてる一発ネタ映画』みたいな感じなのですが、その割にはモンスターの暴れっぷりが足りない印象はあったので、もうちょっとシッカリとモンスターを暴れまくらせていただきたかったところではありますよ…

 


 総評としましては、奇抜な設定の割には『ちょっと物足りなさの残るグロ系モンスターパニック映画』って感じの作品ですね。


 80年代風の低予算モンスター映画が大好きでクソ映画が好きな人であれば、たぶん『おできから生まれたモンスター』という設定のみでもチェックしておく対象になっていそうな気がするので、そういうのが大好きな人は割り切って観ておくのもアリかな?


 ただ、普通にモンスター映画が好きな人の場合は、正直言って微妙な出来でオススメできるようなレベルでは無いので、急がないのであればレンタルが安くなるか、どこかのサブスク系サービスにでも来るのを待っても良いかも…って感じの一本でしたよ。

映画感想:「X エックス」(40点/スラッシャー)

■■■「X エックス」■■■
(40点/スラッシャー)


 1979年のテキサス。
 女優のマキシーンと、その恋人でマネージャー兼プロデューサーのウェインは、他の俳優や監督たちと6人で自主製作のポルノ映画の撮影のために人里離れた片田舎にある牧場を訪れる。


 牧場主の老夫婦に挨拶を済ませた彼らは、牧場主たちの監視するような不気味な態度に異様なものを感じつつも無断でポルノ映画の撮影を開始するが、その牧場主たちは実は高齢の連続殺人鬼だったのだった…

 


 1980年頃のテキサスで、殺人夫婦である牧場主の老夫婦の元に訪れた若者たちが恐るべき体験をする事になる…というスラッシャーホラー映画。


 カルトを題材としたサクラメント 死の楽園」のタイ・ウェスト監督の撮った作品という事もあり、どことなくジットリとした感じの独特のテイストが感じられる内容です。


 お話としては『ポルノ映画の俳優と製作スタッフが老夫婦の経営する牧場で映画をゲリラ撮影するんだけど、実はその老夫婦たちが高齢の殺人鬼でスタッフ達が次々に命を狙われていく…』みたいな感じの展開。


 80年頃のアメリカ南部の田舎町が舞台で、泊まりに来た客をワニに食わせるシーンがあってみたりと、シチュエーション的に「悪魔の沼」辺りをリスペクトしてそうな雰囲気を受けるような内容です。


 全体的に湿度の高い『嫌な感じのテイスト』が満載の作品で、80年台のスラッシャーホラー的を思い起こさせるようなノリに加えて、主人公たちがポルノ映画を撮影していたりする辺り、『死と性』といった感じのものが作品のテーマになっている印象。


 容赦なく若者を殺しまくる老夫婦のバイオレンスっぷりはなかなかインパクトがあるのですが、それ以上に『ジジババのラブシーン』の方が色んな意味でキツいという、別の意味で観てて辛い映画だったりします。(笑)


 また、ラスト付近の『殺人鬼の婆さんからの主人公へのセリフ』とかから、作品テーマ性も分かりやすく、映画としての湿度の濃さもあって色々とインパクトは強めの作品ですね。


 ただ、バイオレンスさやスプラッタ描写は思ったよりも強めではあるのですが、いかんせん登場人物が少なくて犠牲者も少ないため、見せ場があまり多くなくてやや物足りなさを感じさせられてしまうのは残念なところ。


 また序盤のポルノ映画の撮影シーンが無駄に長くてお話が動き出すのが遅いため、個人的には観ていて『ポルノシーンはもうええわ』って感じでどうにも冗長さを感じてしまったのは困りもの。


 主人公と老夫婦のキャラをシッカリと掘り下げたかったのかもしれませんが、もうちょっとお話の展開が早くて犠牲者が豊富でも良かった気がします。


 殺人鬼の殺害シーンもグロい割にアッサリしてるので、もうちょっと犠牲者の人数とバリエーションを増やして欲しかったかなぁ…


 あと、個人的な要望としては『裏の沼に住むワニちゃん』は、もうちょっと出番が欲しかったところですよ。(笑)

 


 総評としましては、雰囲気やプロットは悪くないものの『ちょっと物足りなさの残るスラッシャーホラー映画』という感じですね。


 作品のテーマ性やら老夫婦の殺人鬼といった題材、ジトっとした感じのテイスト等と悪くない部分も多いのですが、ちょっとテンポの悪さと冗長さが目に付くのは残念なところ。


 強く推すには弱いですが、本作のプロットやら80年代的なホラーのノリが好きであればチェックしてみても良い一本かもしれませんよ。

 

映画感想:「MAKO 死の沈没船」(30点/サスペンス)

■■■「MAKO 死の沈没船」■■■
(30点/サスペンス)


 ドキュメンタリー映画の映画賞の受賞を惜しくも逃したラナは、次の映画コンテストに向けて新作映画の製作を開始する事となる。


 新たな映画の題材がなかなか決まらないなか、新人スタッフであるガラムから30年前に沈没して400人以上の死者を出したという大型客船『セーラムエクスプレス』と、その沈没場所に近づくと『ダイバーがエネルギーを吸い取られたかのように生気を失ってしまう』という奇妙なウワサに興味を持ち、次回の映画の題材にする事となる。


 映画のスタッフたちと地元のダイバーであるムラドを含む9人で、撮影場所となる沈没船の下見のためにダイビングを行った彼女たちだったが、撮影中に突如として巨大なサメが彼らを襲撃し、スタッフの一人を食い殺すという事故が発生。


 とっさに船の中に逃げ込んだ彼らは、その場所が巨大な人食いザメの群れの巣窟となっている事を知るが…

 


 ドキュメンタリー映画の撮影のために曰くつきの沈没船の下見に訪れたスタッフたちが、巨大な人食いザメの群れに襲われるという生物パニック風味のサスペンススリラー映画。


 『エジプト製のサメ映画』という、なかなかに珍しいシチュエーションの映画ですが、実際の中身の方はサメ映画というよりも人間ドラマが中心のサスペンススリラー映画という感じの作品です。


 お話としては、『映画撮影のために曰くつきの沈没船の下見にダイビングに訪れたスタッフたちが、人食いザメの群れに襲われて沈没船の中に閉じ込められてしまう』みたいな感じのストーリー。


 『400人以上の死者を出した曰くつきの沈没船』のプロットやらアイデアは悪くないと思うのですが、正直な感想を言ってしまうと色んな意味で中途半端で作りの良くない作品という印象です。


 まずパッケージとかからして、いかにも『生物パニック映画』のような雰囲気をかもし出している割には、実際の中身の方は人間ドラマが中心となっており、登場人物が妙に多いうえに人間関係が無駄に複雑なのが困りもの。


 群像劇的なノリの作品を作りたかったのかもしれませんが、主人公の映画監督の女性は旦那にギリギリで映画賞を横取りされたみたいな背景があったり、映画のスタッフ同士も人間関係が良好では無くて妙にギスギスしていたり、沈没船の調査を提案した新人や現地のダイバーもちょっと訳ありな感じだったりと、キャラの人間関係の設定が矢鱈とややこしいです。


 そして、そんなややこしい人間関係を描いている割には中盤からのシーンは殆ど水中撮影のシーンとなってしまい、見辛い水中カメラ映像に加えて全員がダイビングスーツとマスクを着用して誰が誰だか判別がつき難くなってしまうため、お話の流れがとにかく分かり辛くなってしまっているんですよね。


 更に『その設定とかエピソードってホントに必要だったか?』とツッコミを入れたくなるような本編の流れに関係の無い要素が多く、どうにも話が散漫で何を描きたいのか釈然としません。


 パニック映画として観ると、水中の映像やら沈没船の雰囲気やらは悪くないのですが、『曰くつきの沈没船』と『人食いザメ』も、いかにも『本作のメイン要素』のように描かれている割には実際にはどっちの要素も薄めで、むしろ『海底の沈没船の中でクルーたちが内輪もめしている』のを延々と見せられているみたいな印象が強くて、危機感や緊張感があまり感じられずに観ていてモヤモヤさせられてしまいましたよ…


 そもそも、映画の撮影のために『スタッフ9人でダイビングする』という設定からして色々と無理がありすぎで、『おまえら全員がスキューバダイビングの資格持ってる経験者なのかよ?』とか『いまどきなら潜るのは最低限の人数で水中ドローンとかでも下見できるだろ?』とか、ツッコミを入れたくなったのは自分だけ?


 オチも『なんのこっちゃ』みたいな終わり方でしたし(スタッフが死にまくってるのに、どうやって映画の完成に漕ぎつけたんだ?)、全体的に何か釈然としない気分の残る映画でしたよ。

 


 総評としましては、どうにもモヤモヤした気持ちになる『微妙な出来のB級生物パニック映画』という感じでした。


 設定とかがゴチャゴチャしすぎててサスペンスとしても微妙ですし、サメの出番も少なくてサメ映画としても微妙なので、ちょっとオススメするには辛い映画という印象です。


 まあでもエジプト製のサメ映画というだけでもレアな作品ではあるので、レアさに惹かれて観てみるのも悪くないかもしれませんが、そうでもなければ普通にスルーしてしまっても問題の無い一本ではないかと…

 

映画感想:「ビースト」(50点/生物パニック)

■■■「ビースト」■■■
(50点/生物パニック)


 黒人の医師であるネイトは、病死した妻の弔いと傷心を癒すために二人の娘たちと共に、妻の故郷で出会いの場所でもある南アフリカの自然保護区を訪れる。


 そこで旧友で保護区の管理官であるマーティンと合流した彼は、娘らと共に彼の仕事とアフリカの自然を観てまわるが、そんな矢先にライオンによって壊滅させられたと思しき小さな集落を発見。


 異常な事態を察知した彼らは、集落の生存者を探して救助を行おうとするが、それは密猟者によって群れの全てを殺された怒れる巨大な雄ライオンの仕業で、彼ら自身もライオンの襲撃を受けて故障した車の中に閉じ込められて、救援を呼ぶ手段も無いままに孤立してしまうのだった…

 


 アフリカに旅行に訪れた父娘が、人間への復讐に燃える狂暴なライオンによって車に閉じ込められて危機に陥ってしまう…という、サバイバル系の生物パニック映画。


 あらすじだけ聞くと、なんとなく「クジョー」のような『狂暴なライオンに閉じ込められた車の中』が舞台のワンシチュエーション系のスリラー映画のような印象を受けますが、実際には車の中が舞台なのは序盤だけで、舞台の転換も結構あって割と普通のアフリカが舞台のサバイバル作品ものっぽい内容です。


 お話としては、『医師の親子が復讐心に燃える執念深いライオンに追いかけまわされるんだけど、仲間を救おうとしたり密猟者に遭遇してピンチに陥ったりしつつも、なんとかして危機を乗り越えようとする』みたいな感じの展開。


 基本的には『ライオンに追い回される親子』の遭遇する危機がメインとなっているのですが、この親子が『母親の死』に関して確執を持っており『家族のドラマ』的なテイストも強めといった感じの内容。


 『家族の死を顧みなかった父親』である主人公『家族を殺されて復讐に燃えるライオン』の姿が対照的に描かれる事で、人間ドラマ的な要素を掘り下げている印象です。


 …とまあ作品の狙いや表現したい方向性は分かるのですが、それが本作の中で上手く機能しているかと言われると微妙なところなのが困りもの。


 メインの登場人物である主人公と娘の二人も掘り下げがイマイチで、主人公が妻の死に対してどれぐらい責任を感じているのかも釈然としませんし、危機を乗り越えて娘との絆を取り戻すみたいな部分に関しても『そこまで信頼が築かれたか?』と聞かれると、いまひとつピンと来ないレベルなんですよね。


 ライオンに関しても『矢鱈と執念深い』という以外はキャラがあまり立っていないですし、『群れの仲間を殺された悲哀』のようなものも特に描かれておらずに印象が薄め。

 ぶっちゃけ、『主人公もライオンももうちょっと魅力的に描かれてればなぁ…』と思う部分が多いです。


 ライオンの襲撃シーンも『CGの完成度が非常に高くてリアル指向』なのは良い感じなのですが、リアルにこだわっているのは良いものの『危機感を煽るような演出』があまりないせいで正直言ってどうにも迫力不足。


 もっと派手な演出があっても良かったんじゃないかなぁ…というのが正直な感想です。


 ラストのライオンの撃退の仕方も妙にアッサリしてますし、全体的に盛り上げるためのもう一工夫が欲しい感じの作品でしたよ。

 


 総評としましては、映像の完成度とかは高いのですが『どうにも物足りなさの残る生物パニック映画』というのが正直なところ。


 予告とかを観て『パワフルな迫力のある猛獣映画』を期待している場合は、ちょっと肩透かしを喰らわされる恐れがあるので、その辺りは注意が必要かも?


 まあ、物足りなさはあるものの悪くないレベルの完成度ではあるので、そういったジャンルが好きであれば、とりあえずチェックしておいても良いレベルの作品かもしれません。