（４５点／サスペンス）
閑静な住宅街で夏休みを毎日自堕落に過ごす高校生のダニエルは、仲の良かった姉であるベスが大学から帰省し、共に実家で過ごす事になるが、そんな矢先、親友のジェイが姉と付き合っている事を知り嫉妬を感じる。
しかしそんなダニエルに、新しく地域を受け持つ事となった郵便配達人である不気味な男・ダリウスが『姉とジェイとの仲を裂くために協力してやる』と申し出てくる。
最初は、あまりの胡散臭さに相手にしていなかったダニエルだったが、海岸で姉とジェイがキスをしているところを目撃した彼は、ショックのあまりダリウスの元へと訪れる事となる。
しかしこの郵便配達人こそは実は恐るべき殺人犯で、彼がダニエルへと近づくのには驚くべき真の目的があったのだった…
あまりにもしょっちゅう名前が出てくるので、このブログを読まれている方はいい加減に覚えてしまったかもしれませんが、Ｂ級映画の配給でお馴染みの配給会社である「アルバトロス・コア」からリリースされた、サスペンス映画の新作です。
一応、「案山子男」、「殺戮職人芝刈男」に続く、職人ホラーシリーズの第３段らしいのですが、別に前述の２つの映画とは、ストーリーも設定も何の関係もありませんし、そもそも本作は厳密にはホラーですらありません…
パッケージやらタイトルだけ見ると、「殺戮職人芝刈男」のように、『郵便配達人が郵便に関する器具を使って人を殺しまくる映画』かと思いますが、実際にはそんな内容では無く、別にレターオープナーで人間を切り刻んだり、荷造りの紐で絞め殺したり、集配車で轢き殺したり、死体をポストに投函したり…といったようなアホなノリのスプラッタ描写が出てくる事はありません。
内容的には、『頭のおかしいストーカーまがいの郵便配達人によってもたらされる恐怖を描いたサスペンス映画』と言う、まあ割とありきたりなお話です。
予告のキャッチコピーが…
＞死の宣告は定形外。
＞その殺し、当日消印有効。
といった感じで、相変わらずなブッチ切りのセンスの良さを発揮してる訳ですが、予告でハッタリ効かせ過ぎなのも、相変わらずのアルバトロス・コアらしい感じ。
明らかに予告やパッケージのインパクトに内容が負けてて、肩透かしもいい所なものの、コレで映画がツマんなければ救いようが無い訳ですが…
映画そのものは普通にそこそこ面白いという、その辺も相変わらずなアルバらしいクオリティ。
（いや、たまに救いようがないクズも混ざってますが…）
単なるストーカーもののサスペンス映画かと思いきや、中盤までは殺人鬼よりも主人公の少年の行き過ぎたシスコンっぷりの方が怖かったり、ただの変態かと思われた郵便配達人の正体が実は…といった意外な展開が仕込まれていたりと、キャラクターの描き方やプロットはなかなか良く出来ております。
緊張感や間の持たせ方等は、ちょっと荒削りな部分もありますが観れないレベルでも無いですし、ラストとか『ちょっとネタを消化しきれてないかな？』と思う部分もあるものの、唐突過ぎて中途半端極まりないオチも、この話の救いの無さを象徴してるようで悪くは無いです。
大げさなタイトルの割に、殺しのシーンが意外と少ないのは…まあ、実際にはホラーじゃ無くてサスペンス映画なので致し方ない所かなぁ…。
もうアルバの映画の、この手の肩透かしには慣れました。（笑）
あと、なんだか分からないけど、この映画、無意味にお姉ちゃんの裸が出てくるシーンとか、乳を揺らせて走るシーンとかのサービスカットがやたらと多いです。
最初の２～３回までは、『またサービスカットか…』程度に思いながら見ていたのですが、あまりの露骨なサービスっぷりに４～５回目になると『サービスカット、キターーーー！！』って感じで、思わず笑いがこみ上げてきてしまったのは私だけですか？
もし、笑いを取ろうと狙ってやってたんだとしたら、ある意味たいしたものですが。（笑）
総評としましては、サスペンス映画としてはギリギリ及第点かな？といった感じの悪くは無い映画です。
敢えてお金を払ってまで観るほどの映画でも無いですが、ＴＶとかで放映されたら、それなりには面白いので普通に観ても良いレベルだとは思います。
日本の２時間もののサスペンスドラマなんぞよりは、ずっと面白いですよ。
スプラッタ系のスラッシャー映画かと期待したら、全然違う内容で憤慨する人も居るかもしれませんが、まあそこは『アルバトロス・コアだから…』という事で大目に見て、次からは騙されないように気を付けるか、騙されても寛容な心を持つように心がけましょう。（笑）
