NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「キャビン・フィーバー 」(60点/感染パニック)

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■■■「キャビン・フィーバー 」■■■
(60点/感染パニック)

 ポール、カレンら5人の若者たちは、夏休みにキャンプを楽しもうと、田舎町の森の奥にある山小屋へと遊びにやってくる。
 しかし彼らが遊びに来たその夜に、彼ら山小屋へと一人の血まみれの男が迷い込みんでくる。

 錯乱状態にあった男をなんとか追い払った彼らだったが、その翌日からカレンは体調不良を訴えだし、やがて皮膚は爛れ、全身の傷口からとめどもなく血と膿が流れ出すと言う、おぞましい病状へと陥ってしまう。

 彼らは、なんとか街へと助けを求めに行こうとするが、誰がこの病気に感染しているかも分からないと言う疑心暗鬼から仲間同士で対立しあうようになり…


 山小屋で謎の感染症に感染した若者達の味わう恐怖を描いた、閉鎖環境型のパニックホラー映画。

 「キャビンフィーバー」と言うのは、『閉鎖環境における過敏症』と言う意味らしいのですが、この映画の場合『山小屋(キャビン)で発熱(フィーバー)する映画』って言うダブルミーニング的な意味の方が、映画の内容をより明確に表しているかも?

 山小屋と言う閉鎖空間で仲間が謎の病気に感染して、脱出する手立ても無く疑心暗鬼に陥って仲間同士で対立したり自暴自棄になったりしていく様子は、閉鎖環境型ホラーでは定番ながらも、なかなかツボを押さえた作りになっていて面白いです。

 またこの病気が、全身の皮膚が爛れて崩れ落ち、傷口から膿と血を流しながら吐血して死んでいくという結構エゲツないもので、この不気味な表現が恐怖感を煽ります。

 ただ、ちょっとシナリオに雑な部分が多く、『意味不明で投げっぱなしかな?』と感じるのが惜しい所。

 『謎の感染症』も結局は詳しい事は分からずに謎のままですし、やたらと凶暴になって病気の患者を襲いまくる大型犬とかは、あまりにも唐突で何だか訳が分からないので『必要なかったのでは?』という気もします。

 やる気の無い不良警官なんかのサブキャラや、閉鎖的な田舎の人々は、ホラー映画好きならば思わずニヤりとするようなキャラクターで結構良い味を出してるんですが、やはりストーリーへの絡み方はちょっとばかし唐突。

 「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」へのオマージュ的なオチも含めて、ホラー大好きな監督が撮ったのは分かるのですが、なんか『無理矢理に色んなホラーのテイストを映画に取り入れました』風の部分も感じられるので、この辺の脇キャラと『謎の感染症』にもっと何らかの繋がりがあれば、ストーリーにも深みが出て、もっと面白くなったかもしれません。


 総評としましては、ツッコミどころや不満点も少なくないながらも、B級ホラー好きの監督が趣味全開で撮った映画的な雰囲気がある、なかなかにツボを押さえて作られた掘り出し物的なホラー映画です。

 低予算なB級ホラーながらも、本国では結構なヒットとなり話題を呼んだというのもなかなか納得の出来ですので、B級ホラー好きならばとりあえず観ておいても損は無い一本でしょう。

 逆に普通のバイオハザード物の医療系パニック映画だと思って観ると、ちょっと肩透かしを食らう(というか、何じゃコリャ?と思う)かもしれませんので要注意です。

 しかし、Jホラーの「感染」も、これぐらい予算が使えて病気を不気味に表現出来れば、もっと怖くなったんだろうになぁ…とか思うと、『向こうの低予算映画』と『日本の低予算映画』の違いに、ちょっと切ない気分になったのは私だけですか?