NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「バタフライ・エフェクト」(70点/サスペンス)

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■■■「バタフライ・エフェクト」■■■
(70点/サスペンス)

 まず最初に…
 本作は奇抜な設定とアイデアが命とも言えるような作品ですので、ネタバレを防ぐ為に前半はネタバレ無しの感想を、後半は若干ネタバレありの感想を書いております。
 純粋にこの映画を楽しみたいと言う人は、特に感想の後半部分は読まないようにご注意下さい。

 バタフライ・エフェクトというのは、カオス理論における仮説の一つで、1つの小さな現象が引き起こした効果が、色んな影響を経て最終的には大きな現象を引き起こすと言うもの。

 例えば、『日本で蝶が羽ばたいた影響が様々な現象の連鎖を経て、最終的には地球の裏側のブラジルでの台風を引き起こす事になる』というような物。
 (日本人に馴染みの深い言い方をすれば『風が吹けば桶屋が儲かる』のスケールの大きい版みたいなもの?)

 まあ、実際のカオス理論を元に言うと、小さな現象の『ゆらぎ』によって引き起こされる事象の影響範囲の広さというのはある程度決まっているので、日本中の蝶が一斉に羽ばたいたとしてもブラジルの天気に影響を与えるなんて事は有り得ないのですが…

 って、そんな事を説明しても、ややこしい上に長くなるだけなので割愛。


 本作はバタフライ・エフェクトというこのタイトルが示すとおりに、『現象の因果関係』という物をアイデアとし、作中に上手くトリックとして取り込んだ作品です。

 主人公の取る行動によって未来の変わっていく様をSF的な味付けを使って描いて居るのですが、非常に奇抜な設定のお陰で先の展開が全く読めないという部分を上手くサスペンス要素と絡めて描いており、まさにハラハラドキドキの連続。

 こういう奇抜な設定の場合、アイデア倒れになってしまう事が多いのですが、きちんとエンターテイメントとしても成立させているのが非常に上手い所。

 SFとしてみると、『若干設定を消化し切れてないかな?』と疑問に思う部分も無くもないですが、オチの付け方もなかなか上手いですし、まあ許容範囲内でしょう。

 この手の、『アイデアで勝負』タイプの1発ネタ的な作品としては十分に及第点の、なかなかに良く出来た秀作。

 オチでビックリ系のトリック映画(この映画の場合オチで驚く訳じゃないけど)が好きならば、相当オススメの一本だと言えるでしょう。

 ただ、面白い作品ではあるのですが、先にネタを知ってしまうと驚きが薄れてしまうので、観ようと思っているならなるべく情報を仕入れずに…可能ならパッケージの裏も読まずに鑑賞する事をオススメしますよ。


 さて、ここから先は少々ネタバレを含む感想(決定的なネタバレは避けますが)になりますので、これからこの映画を観ようと思ってる人は読まないようにして下さい。

***ネタバレ警告***

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 この先は若干ネタバレありの感想となりますので、映画を未見の方はご注意下さい。


 映画のストーリーは簡単に言ってしまうと、とあるきっかけから『過去の特定の時点に向かってタイムトラベルを行える』という自分の特殊能力に気付いた主人公が、歴史を変えて自分の愛する人を救う為に過去へのタイムトラベルを繰り替えす…といったようなお話です。

 失敗した人生のやり直しを行う…というアイデアとしては、最近の映画ではラン・ローラ・ランが同じようなアイデアの秀作でしたが、あちらが『特定の1日を頭からやり直す』といった感じだったのに対して、こちらはゲーム的な言い方をすると『人生のセーブポイントまで戻って選択肢を選びなおす』といった感覚。

 面白いのは、主人公のタイムトラベル能力は過去の『選択肢を選ぶ瞬間』にしか戻る事が出来なくて、過去で『違う選択』を行った直後またすぐに現代へと戻されてしまうと言う事。

 現代に戻ってみるまで、自分の行った選択の影響がどのように現れているかが分からず、主人公は強制的に『歴史の書き換わった後の世界』へと戻されてしまうため、主人公は自分の運命がどうなっているかも分からずに、先の展開が全く読めないという非常にスリリングな展開となっているのは、アイデアの勝利といった所でしょう。

 お話の流れに関しても、最初に主人公の不可解な行動を提示して、後半にその謎解きを持ってくるというオーソドックスな作りながら、序盤からの話のテンポも悪くないですし、タイムトラベルを行うたびに要所要所へと見せ場をキチンと配してあり全く中だるみせずに最後まで観れるって点も非常に良く作られています。

 タイムパラドックスとか、どないなっとんねん?』とかって、細かいツッコミどころも無くはないですが、まああんまりそういう部分を気にしないでも良いような話ですし、それを言い出したら『タイムトラベル出来る能力』って時点で十分ムチャクチャな設定ですしね…

 総評としましては、謎解き物としてのアイデアも非常に面白いですし、ストーリーや演出も十分に及第点。

 大作とは行かないまでも十分に面白い小気味良い佳作といった感じの作品ですので、トリック系のサスペンス映画が好きならば十分に観ておく価値のある作品だと思います。

 ちょっとSF風(というか超能力風?)の設定が馴染めないとダメかもしれないですが、そういう話に抵抗が無ければ是非!!

 ちなみに見終わった後に一つだけ、『お父さんも助けてやれよ…』とか思ったのは俺だけ?
 (まあ、そこまでやってると収拾が付かなくなりそうだけど…)