■■■「ヒューマン・キャッチャー」■■■
(60点/モンスターホラー:結構オススメ)
『23年ごとの春、23日間にわたり、それは食べる。』
ある日の午後、農場で父の手伝いをしていた少年ビリーは、父親の目の前で突如あらわれた巨大なコウモリの翼を生やした怪物にさらわれて殺されてしまう。
その日以来、父のタガートは息子の仇を討つために怪物を倒す為の準備を始める…
その数日後、ハイスクールのバスケットボールチームのメンバーを乗せたバスが、人里離れた田舎道を走っている途中で、突然にパンクして立ち往生してしまう。
バスのタイヤには生き物の骨で作られた謎の手裏剣のような物が刺さっており、不気味さを感じる一同だったが、近くに民家も無い田舎道で発炎筒を焚いて救助を待つ事となる。
しかし彼らは自分たちが怪物の『食料』として選ばれてしまった事に、まだ気付いていなかった…
フランシス・F・コッポラが製作総指揮を行ったという事で、鳴り物入りで公開された都市伝説ホラーである「ジーパーズ・クリーパーズ」の続編に当たるモンスターホラームービー。
実はこの映画、前作があまりにも微妙・オブ・ジ・イヤーな内容だった為に、気になりつつもスルーしていたのですが…
いやはやどうして、前作の低調ぶりがウソだったかのような、良い意味でB級テイスト全開なモンスター映画に仕上がっています。
前作は、序盤で都市伝説風のサスペンス映画かと思わせておいて、後半は実はモンスターホラーでした。という妙な展開に加えて、モンスターの襲撃シーンのあまりの盛り上がりの無さや、スピード感の無い冗長な展開、意味不明のラスト…と、あまり良い所の無い映画だったのですが、今作はノリ自体が全くの別物。
前作で基本設定を語っている事もあって、今回は余計な説明は殆ど無くて最初からアクセル全開!!
開始後5分ぐらいから、いきなりモンスターが出没しまくり、人間襲いまくりで視聴者を全く飽きずに楽しませてくれます。
モンスターに関しても、前作では『結局お前は何がやりたいんだ?』って感じで、どうにも魅力薄だったのですが、今作では滅茶苦茶パワフルなモンスターへと進化しており、全身に銛を何回も撃ち込まれようが、手足をもがれようが、頭を半分ふっとばされようが、どんなムチャクチャな事をされてもスグに復活してきて、ひたすら人間を食うためだけに執拗に追跡してくる執念深さは、ある意味で感動的。(笑)
特にバスの窓から獲物となる人間を選んで舌なめずりをするシーンなんかは、キャラ立ちすぎで爆笑物ですし、もう怖いを通り越して思わず笑えてしまう『やり過ぎホラー』のノリが全開の、まさに快作というか怪作?といった感じです。
逆にストーリーなんかは、有って無いが如き話になってしまっていますが、変にサスペンス的な要素を加えるよりも、モンスターを魅力的に描く事に注力したのは正解でしょう。
登場人物のキャラの立て方もなかなか上手くて、特にモンスターに殺された息子の復讐をするために、執拗にモンスターを追跡する主人公の親爺は非常に良い味。
オチの付け方も上手いですし、まさにお手本的なB級モンスターホラー映画の快作と言えます。
前作と同じ監督が撮ってるのに、これ程までに全くテイストの違う作品になっているとは思わなかったので、正直に驚きを隠せませんでした。
前作で足りなかった部分を補完したかったのか、はたまたB級テイストを追求する事に目覚めたのか…
こうして、前作とあわせて2本で1作のセットの作品と考えると、前作もそう悪くは無かったのかなぁ?と思えてくるのが、この作品の凄いところですよ…。
総評としましては、普通のホラーを求めている人にはどうだろう?ってノリながらも、『B級モンスターホラーってのは笑って楽しむ物だ!!』と割り切って観れる人には、かなりオススメの作品です。
特に前作を観て、どうにも『モンスターの活躍が食い足りない!!』という事で不満を感じていた人には、是非とも観ておいて欲しい1本と言えるでしょう。
逆に普通に怖い映画を観たい人は、この映画は絶対に観てはいけません。
ホントに1ミクロンも怖さのカケラも無いようなバカ映画ですから。(笑)
とりあえず、「エルム街の悪夢」や「13日の金曜日」の、3作目以降のバカなノリが大好き!!ってタイプの人には結構オススメ出来る作品ですので、そういうノリを求めている人は是非。