NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「レクイエム」(55点/ノワールアクション)

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■■■「レクイエム」■■■
(55点/ノワールアクション)

 マフィアの凄腕の用心棒として裏の世界で生きてきた男、ベン・アーチャー。
 しかし彼は、争いと暴力に明け暮れる毎日に疲れを感じ、この仕事からそろそろ引退する事を決意していた。
 そんな矢先、入国管理局に勤める彼の妻がキムと名乗る一人の身元不明の少女の身柄を引き受ける事となり、自宅へと少女を連れ帰ってくる。
 しかしその少女こそは、アメリカ進出を狙うチャイニーズマフィアの首領のである父親の元から逃げ出してきた一人娘だったのだ。

 そんな事は気付かずにいつも通りに暮らしていた彼らの元を、キムを連れ戻す為に訪れたチャイニーズマフィアが襲撃。
 ベンの留守の間に妻は殺され、何とか逃げ延びたらしい息子とキムは行方不明となってしまう。

 彼は、息子を助け出し妻の仇を取るために、単身でチャイニーズマフィア達と戦う決意をするが…


 木曜洋画劇場のアホな予告の影響もあってか、最近めっきりイロモノ俳優のイメージが根付きつつあるジャン=クロード・ヴァンダム主演のノワールアクション映画。

 ヴァンダミングボタンなるページなんかも作られて、バカ映画マニアの間では変な人気の出つつある彼ですが…
 【※:http://www.geocities.jp/cedar0079/van_n.html
 この映画は意外にも裏社会に生きる影を背負った主人公という非常にマジメな役どころ。

 正直な所、ヴァンダムって決して演技の上手い役者ではないですし、レプリカントでは『少々頭の弱いキャラ』とかってのがしっくりとハマってたような彼ですが、この映画では演技の方も相当ガンバってます。

 特に序盤で、妻を殺された彼が亡き妻の写真を片手に号泣するという、ヴァンダムらしからぬ名演技を披露するシーンがあるのですが…
 普段の彼の役柄とのギャップや、木曜洋画劇場の予告シーンが脳裏を過ぎってしまい、失礼な事とは思いつつも笑いそうになってしまったのは、俺だけでしょうか?(ついつい『あのハッスルマッチョ・ヴァンダムが、裏社会で! 男泣き!!』とかって予告を想像してしまったよ…)

 いやいや、ヴァンダムにもこんな演技が出来るんだ…と素直に驚きました。
 ホントに色んな意味でも、このシーンは必見です!!

 しかし、そんなマジメなシーンのある映画なのに、中国マフィアの暗殺者が、何故か日本刀を振り回して襲い掛かってきたりと、あからさまに勘違いシーンがあったり、散々盛り上げたラストが『えっ、マジ?』ってぐらいに唐突なオチだったりと、どうにもA級になりきれないB級っぽさが漂ってしまう辺りが、いかにもヴァンダムらしいと言うか…

 前述のようにストーリーに関しては全体的にシリアスな内容のため、少々マジメで長回しなシーンが多くて作品全体のテンポはあまり良くなく、アクションシーンもやや少な目でアクション映画としては少々物足りない印象を受けるのは、ちょっと辛いところ。
 格闘シーンの切れ味は流石はヴァンダムって感じなんですが、普段のスーパー・ヴァンダミングアクション全開なノリを期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?

 あと、ノワールムービーを意識した作りのせいか結構残酷な拷問シーンとかも出てきたりしますので、そういうのが苦手な人は要注意です。

 総評としましては、良くも悪くも今ひとつヴァンダムらしくない作品です。

 普段の格闘アクションシーン全開のバカ映画を期待するならば、ちょっと期待ハズレかもしれませんが、ヴァンダムってこんな演技も出来るんだ…と言った、ヴァンダムの意外な一面を見たい人なら一見の価値はある一本かも?

 個人的にはヴァンダムって好きな俳優なので、アクションだけじゃなくてこういう役柄も出来るんだ、という意味で役柄を広げる為にはこういう映画も必要かな…と思いますし、もっと彼には色々と頑張って貰いたいものですよ。