■■■「オープン・ウォーター」■■■
(70点/生物パニック:オススメ)
スーザンとダニエルの2人の若い夫婦は、忙しい仕事の合間を縫ってスケジュールを立て、カリブ海の島へのバカンスに出かける事となる。
どうしても仕事の事が頭から離れない2人は、夫婦の間に微妙に距離を感じながらもひと時の休暇を楽しんでいた。
休暇の途中でスキューバダイビングへと参加し、ボートで沖合いへと向かいスキューバを楽む彼らだったが、ツアーのスタッフのミスによってボートは彼らを残したまま帰港してしまい、2人は海の真ん中で置き去りにされてしまう。
2人は360度見渡す限り陸地の見えない海の真ん中でなんとか救助を待とうとするが、やがて彼らの周りを取り囲むように無数のサメが姿を現し…
サンダンス映画祭にて公開され、実話をベースとした最も恐ろしい映画として話題を集めた、生物パニック系のホラー映画。
いやー、怖いとのウワサは聞いていたので劇場で観ようか迷った作品だったのですが、確かにコレは怖い!! ホンッッッットに怖い映画です。
海の真ん中で取り残されて右も左も分からない状況で、周囲にはサメの群れ。
もし、自分がこんな状況に置かれたら…と思うと、恐怖のあまり身震いがします。
極限下に置かれたパニック状況、大海原の真ん中に取り残される孤独感、極度のストレスから来る夫婦間の軋轢。
時折、船が近くを通りかかるものの、全く彼らの事に気付いてくれないといった演出も2人の焦燥感や孤立感を上手く表しており、ストーリー自体は比較的緩やかな展開ながらも、終始に渡り緊張感を持たせる事に成功しており、最後までダレずに描ききっているのは見事。
特に、雷鳴の轟く闇夜のシーンはホントに怖くて、緊張感のあまりに胃が痛くなりそうになることウケアイです。
映像のほうは低予算ムービーらしく特撮なんかは殆ど使われておらず、2人の夫婦の視点を中心として、時折ハンディカム的な視点なんかも交えつつ時系列に沿って2人の運命を追って行くといった感じ…
下手に凝った映像表現や演出なんかは使用せずに淡々と話の流れを描いている所が、逆にドキュメンタリーの再現フィルムっぽくリアリティがあって良い感じに仕上がっています。
どことなく「ブレアウィッチ・プロジェクト」に通じるような演出や感覚とも言えるかも…。
ただ、主人公の夫婦たちが視点の中心という事もあって、本編の半分以上はカメラが波間に浮かんでフラフラと揺れているような状態ですので、酔いやすい人はちょっと注意が必要かもしれません。
個人的にはブレアウィッチ程は酔いそうにならなかったので、大概の人は平気だと思いますが…
ちなみに、一応はサメの登場する生物パニック映画と分類されていますが、「ジョーズ」みたいなサメが主体の映画ではなく、パニック状況下におかれた2人の夫婦が体験する恐怖を主体として描かれたお話ですので、人間ドラマとか極限状況でのパニック映画とかのテイストが非常に強い内容です。
いわゆる、普通の生物パニックやホラー映画と期待して観るとちょっと感覚が違うと思われますので、そっち方面は期待しない方が良いでしょう。
残酷描写なんかも無いも同然ですので、そういうのが苦手な人は逆に安心して観れる内容ですね。
総評としましては、賛否両論ある所も多いようですが色んな意味で一見の価値はある映画だと思います。
特にブレアウィッチのような実話ベース風味のホラーが好きな人なら、十分にハマると思いますので、その辺の作品が好きな人なら間違いなく観ておいて損は無いでしょう。
個人的には、『久々にホントに怖い映画を観た!!』って感じの良作でしたので、かなりオススメ出来る作品です。
普通に『怖い映画』を求めてる人には、是非とも観ておいて欲しい1本ですよ。