■■■「エクソシスト ビギニング」■■■
(45点/オカルトホラー)
「エクソシスト」での悪魔祓いの25年前に当たる1949年。
戦争でのトラウマから、信仰を捨てて考古学者になったメリンは、ある人物からの依頼で、ナイロビの砂漠の真ん中で砂に埋もれた形で発見された奇妙な教会の調査に向かう事になる。
教会の中へと入ったメリンは、そこで逆さ吊にされたキリスト像というアンチキリストを暗示するような不気味な光景を目撃。
そもそもキリスト教が布教される前のナイロビに、何故このような教会があるのか?といった謎を追う内に、メリンは驚くべき真実を知る事になるのだった。
映画「エクソシスト」で活躍したメリン神父が、25年前にナイロビで遭遇した恐るべき出来事を描いた、例えるなら「エクソシスト0」とでも言うような位置付けに当たるオカルトホラー映画。
「エクソシスト」と言えば、『悪』そのものの顕在化と言ったテーマを描いたオカルトホラーの傑作な訳ですが…
正直言って、どうも本作はこのシリーズの主題を取り違えてるなぁ…って感じです。
なんといいますか…この映画……
驚くほどに『怖くない』のですよ。
物語の序盤はメリン神父のトラウマやらといった伏線をベースに、割と淡々と話が進むのですが、冗長なばっかりでたいした盛り上がりも無いですし…
怖がらせようという演出も、単にビックリさせようと言うのだけが目的の、安物のショッカー映画のような稚拙な演出ばっかですし…
後半は、それなりに盛り上がって面白くはなるのですが、逆に盛り上がりすぎて『コレはコレで、何か違うだろう?』といった感じ。
とりあえず、『悪魔憑きを現在の特撮技術を駆使して描くとこうなりますよ。』的なラストの映像は見ごたえがありますが、それだけが見所ではなぁ…
少なくとも、「エクソシスト」シリーズの名を冠するには、どう考えても役不足な内容です。
これだったら、駄作と名高い「エクソシスト2」の方がマダ好きかも?
「ディープ・ブルー」(サメ映画)の時も思ったのですが、レニー・ハーリン監督の撮る映像って、どこか『嘘臭い』ところがあって、別にそれが一概に悪い事では無いのですが、リアリティを要求されるようなホラー映画には『正直言って向いてないのでは?』と思わざるを得ません。
逆にファンタジーとかだと、効果的に活かされそうな気がするのですが…
総評としましては、「エクソシスト」シリーズが好きな人は、ハッキリ言って見ない方が良いかも?ってレベルの作品です。
特に1と3が好きな人が観ると、間違いなくガッカリします。
ただ、逆に今までのシリーズを観た事が無い人や、特に旧作に思い入れが無い人ならば、それなりの水準で楽しめるとは思いますが…
それでも、この『怖くなさ』と序盤のダルさは如何ともしがたいかな?
ちなみに、私はこの作品がどうして「エクソシスト」の1作目に繋がるのか、最後まで良く分かりませんでした。
いや、メリン神父の過去を語った話だって言うのは分かるのですが、結局、一作目の悪魔憑きの少女とパズスに何か繋がりがあるんでしょうか?
っていうか、この世界は悪魔って言えばパズスしか居ないんですかね?