NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「EVIL エヴィル」(55点/オカルト)

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■■■「EVIL エヴィル」■■■
(55点/オカルト)
 
 10年前に幼い息子を喪った科学者のアンドレは、それを切欠に死後の世界の実在を証明する研究を開始。
 
 呪術師が異界と交信するための霊薬を元にした幻覚剤である『セラム』を開発する。
 スポンサーの意向により、6名の研究チームで郊外の廃屋での最終臨床実験を開始した彼らだったが、投薬の開始直後から奇妙な現象が彼らを襲うようになり、更には投薬を行ったメンバーは『霊の姿』が見えるようになっていく。
 
 そんな最中、アンドレは亡くなった息子の霊との再会を果たすが、そこで彼らは自分たちが遭遇した霊たち以外に、霊たちによって『笑い男』と呼ばれる『邪悪な何者か』が存在する事を知らされ…
 

 死後の世界と交信できるドラッグである『セラム』を開発した研究スタッフたちが、臨床実験の最中に正体不明の邪悪な存在に襲撃される…という、
オカルトホラー映画。
 
 いわゆる『心霊実験』をテーマとした、割とありがちな幽霊探索系のオカルトホラー映画っぽい設定ですが、呪術師の用いる霊薬をベースに幻覚剤を作成して、それを元に異界と交流しようとするというのは、割と個性的な設定の作品という感じかも?
 
 お話としては『とある科学者が、亡くなった家族に再び逢いたいがために霊と交流できるドラッグを開発するんだけど、臨床実験の最中に死者の霊以外の『邪悪な存在』を引き寄せてしまう事となり…』という感じの展開。
 
 序盤は割と普通の『霊の存在を証明しようとするオカルトホラー』っぽい展開でお話が進むのですが、中盤あたりから『邪悪な何者か』の存在が判明してからの展開は、なかなか予想外で意外性もあって面白い構成ですね。
 
 ややネタバレになってしまいますが、怪物はいわゆる『シェイプシフター』(ドッペルゲンガーみたいな変身モンスター)なのですが、こいつがとにかく矢鱈と狂暴でパワフルなんですよ。
 
 襲撃シーンとかも割と迫力があって、怪物との対決に突入していく終盤の展開も非常にスピーディで良い感じ。
 
 中盤以降はオカルトホラーというよりも完全に『モンスター映画』と化してしまうのですが、序盤の『正統派オカルト映画』っぽい展開からの落差も良く出来ており、良い意味で予想を裏切られました。
 
 ただ、モンスターが暴れだしてからの後半以降の展開は面白いのですが、前半のオカルト要素がイマイチな感じの出来なのは残念なところ…
 オカルトっぽい雰囲気の見せ方があまり上手くなくて、幽霊も普通の人間みたいに普通に平然と登場するので、ホラー的な気分がいま一つ盛り上がりません。
 
 主人公たちのキャラ付けも少し弱くて、全体的に登場人物が印象に残らない感じなのも困りもの。
 もうちょっとキャラを濃くするか、主人公とヒロインぐらいはバックボーンをもうちょっとシッカリと描いた方が良かった気がしますよ。
 
 モンスターの『シェイプシフター』も、『他の人間に変身できる』みたいな能力を持っている割にはそれが特に有効活用されておらず、単に狂暴なだけの怪物みたいな扱いになっているのも残念なところかなぁ?
 
 
 総評としましては、あまり期待していなかった割には『意外と良く出来たオカルト映画…に偽装したモンスターホラー映画』という感じの作品でした。
 
 プロットやら構成は面白いので、全体的にキャラクター等もう一捻りの魅力があれば佳作と成り得た作品だと思うので、なんとも勿体なさを感じる一本という感じ。
 
 まあでも、物足りない部分もあるものの普通に楽しめるレベルの内容ではあると思うので、気になるようであればチェックしておいても損はないB級作品だと思いますよ。