NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ラスト・ドア」(30点/モンスター)

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■■■「ラスト・ドア」■■■
(30点/モンスター)
 
 移民反対運動が過激化するローマ。
 過激な移民反対グループの活動メンバーであるエンリコは、その日も収容所の前で反対デモに参加して移民たちへの虐待を続けていた。

 そんな最中、突然の移民たちとの乱闘が発生するが、『襲撃を受けて倒れた人間が次々とゾンビと化して他の人間を襲い始める』という異常事態が発生。
 彼はとっさに移民の収容所に助けを求めて、屋内へと逃げ込むことに成功するが、屋外は完全にゾンビに支配されてしまい脱出する事が出来なくなってしまう。

 自分の身柄を隠しつつ、移民たちと共にバリケードを築いて施設に立てこもる彼らだったが、やがて食料は底を尽きて、更にはゾンビに噛まれた仲間の体調が徐々に悪化していき…
 
 
 移民反対派の差別主義者の男性がゾンビの襲撃を受けて移民の収容所に逃げ込むが、やがて立てこもっている彼らの食料も尽きてゆき…という感じの閉鎖環境型のモンスターホラー映画。

 『移民に反対する差別主義者がゾンビの群れに襲われて移民の収容所に逃げ込むが…』みたいな感じの設定の、社会派ドラマ的なテイストのあるゾンビ映画ですね。

 ただ、導入部分の展開からもっと社会問題的な要素の強い作品なのかと思いきやそうでもなく、お話の流れとしては『ゾンビによって建物に閉じ込めたコミュニティが、やがて食料も尽きて、負傷した仲間はゾンビ化してゆき…』みたいな感じで、むしろ普通の閉鎖環境型のゾンビ映画としてのテイストの方が強いような展開。

 別に普通のゾンビ映画的なノリでも構わないのですが、その割にはお話の展開が物凄く遅くて、普通のゾンビ映画として観ると『とにかく退屈で盛り上がらない内容』なのは困りもの。

 導入部分の差別主義者のクソ野郎っぽい主人公が、移民たちに嘘をついて収容所に逃げ込むという流れは面白いのですが、導入部分以外でその要素もあまり活かされている訳でもなく、それ以降の序盤~中盤への流れも見せ場もなくてひたすらダラダラしてる感じなのですよね。

 終盤のゾンビが収容所に侵入してきてからの流れはそれなりに盛り上がるのですが、ゾンビの侵入も『極限状態でのコミュニティの対立がゾンビの侵入を許してしまう』みたいなお約束のノリじゃなくて、『そろそろ尺が足りなくなったのでバリケードを突破して侵入しますね』みたいな感じのノリで、なんか盛り上がりに欠けます。

 またゾンビ映画の要素がイマイチなぶん、代わりに『人種間の対立』や『移民たちの苦悩』といった社会問題的な要素が強く描かれるのかと思いきや、そっちはそっちでそこまで深く描き込まれてもいない感じなんですね。

 一応、セリフとかの端々にそういった要素は感じられますし、イタリア人の主人公が、移民たちに助けてもらって改心するのかと思いきや、『自分が危機に陥ると自分と助けてくれた人たちを平気で見捨てるエゴまる出しのクソ野郎』で、これが今のイタリアの情勢を風刺したものなのか、もしくは移民に反対して国際社会から孤立する事への警鐘なのか…といった感じではあるのですが、それならそれでもうちょっと分かりやすい描写があっても良かったんじゃないかなぁ?

 なんとなく、ゾンビ映画として観るにしても社会派の作品として観るにしても、どうにも中途半端な感じの作品という印象でしたよ…
 
 
 総評としましては、全体的に盛り上がりに欠ける『いま一つな感じのゾンビ映画としか言いようが無いような作品です。

 非常にダラダラとしてダルい印象を受ける内容なので、正直あまりオススメするような要素は無いですが、一応は社会派的なノリの作品ではありますので、そういった要素が好きであればチェックしてみるのも良いかもしれません。

 個人的には急いで観る必要は全く感じられない映画でしたので、気になる場合でもネット配信なりを待って、そちらで観れるようになってからチェックしてみれば良い程度の一本ではないかなという感じでした。