NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ラ・ヨローナ ~泣く女~」(60点/オカルト)

f:id:uei_nanigashi:20190923015138j:plain

■■■「ラ・ヨローナ ~泣く女~」■■■
(60点/オカルト)

 17世紀のメキシコで、愛する夫に浮気をされて嫉妬に狂ったことから、夫の愛する自分たちの子供を殺し、その罪に嘆き苦しんで自らも川に身を投げて死んだヨローナは、死んだ子供の身代わりとして『子供をさらう泣き女の霊』となり、伝説として語り継がれていた。

 1973年のロサンゼルス。
 児童相談所に勤めるアンナは、自分が担当する母子家庭の母親のパトリシアが、子供たちを外から鍵のかけられた部屋に監禁しているのを発見。
 彼女は『ラ・ヨローナ(泣き女)が自分の子供たちを狙っている』と主張するが、虐待と判断され子供たちは施設に保護される。

 しかし施設に入れられた筈の子供が、その日の夜に川で溺死するという事件が発生。

 最初は伝説の存在を信じて居なかったものの、パトリシアから話を聞かされて『ラ・ヨローナ』が次に自分の子供を狙っていると知ったアンナは、教会のペレズ神父に助けを求めるが…
 

 死んだ子供の代わりに子供をさらうと言う、伝説の悪霊『ラ・ヨローナ』によって命を狙われた母子が味わう恐怖を描いた、オカルトホラー映画。

 一応、アナベル」や「死霊館のシスター」と同様に「死霊館」シリーズと世界観を同一とする『死霊館バース』に属するオカルトホラー映画の新作で、メキシコの伝説の「ラ・ヨローナ」という『子供をさらう泣き女』を題材をしたお話です。

 ただ死霊館バース』といっても、世界観を同一にしてるってだけでそこまで今までのシリーズとの共通点は無く、作中にペレズ神父やアナベル人形がチラっと登場する程度で、今までのシリーズを知らなくても特に困るような事はありません。

 逆に、他の『死霊館バース』の作品のような『世界観の繋がり』をもっと感じたかったシリーズのファンの人は、ちょっと肩透かしを食らうかも?

 映画の中身の方は「死霊館」シリーズという事を気にせずに観るならば、割と普通のレベルのオカルトホラー映画という感じの作品です。

 お話としては児童相談所の職員が、とある事件をきっかけに自らの子供たちの命を伝説の「ラ・ヨローナ(泣き女)」という悪霊に狙われるようになり、オカルト研究の専門家であるラファエルに助けを求める事になるんだけど…』みたいな感じの展開。

 オカルトとしてのツボはそこそこ押さえており、序盤の怪奇現象とかのビジュアルや怖がらせ演出はシッカリと作られている印象。

 怖がらせ方の演出としては割と月並みなネタが多いのですが、「ラ・ヨローナ」の『不意打ち』スキルがなかなか高くて、ビニール傘の透けた向こう側に居たり、カーテンの陰から突然出てきたりとか、意表を突く登場が多くて意外と楽しませてくれます。
 不意打ちが多い割には、この手の映画にありがちな『過剰なショッカー演出』に頼ってない感じなのも良いですね。

 また悪霊の「ラ・ヨローナ」は、バックボーンとなるストーリーがシッカリしていることもあってキャラがキチンと立っていますし、ビジュアルのデザインもなかなか良く出来ていて、不気味なんだけどどかか幻想的な白いドレス姿やら、アップになると意外と迫力のあるご面相やらで、なかなか楽しませてくれます。

 ストーリーも序盤はやや地味なものの、中盤以降の「ラ・ヨローナ」との対決に突入してからの展開は非常にスピード感があって盛り上がりますし、見せ場とかの演出やらもソツが無くて良く出来ている印象。

 ただ、逆に「ラ・ヨローナ」と対決する元神父のラファエルが、ちょっと没個性的でいま一つ魅力を感じられないのは残念な部分で、『このキャラの活躍する続編を観たい』と思えるほどのキャラにはなってない感じなんですよね…

 また事件のきっかけも主人公の自業自得っぽい部分があって、それに伴う終盤の展開もちょっと蛇足な感じですし、ラストの解決の仕方も物凄い『力技』って感じで、『そんなんでいいんか?』と思わずツッコミを入れたくなってしまいましたよ。(笑)
 

 総評としましては、佳作というほどではないものの『そこそこ良く出来たオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。

 強く推すほどの要素もあまりないですが、良くまとまった感じの内容で普通に楽しんで見られるレベルの映画だと思いますので、その手のジャンルが好きであればチェックしておいても損はないでしょう。

 死霊館」シリーズとの関わりという部分はあまり濃くないためシリーズの新作として観るには弱く、シリーズを追っている人には物足りない部分もあるかもしれないので、逆にその辺は気にせずに楽しんだ方が良い映画かもしれません。