NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アムピトリテ 脱出不能な女たち」(50点/モンスター)

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■■■「アムピトリテ 脱出不能な女たち」■■■
(50点/モンスター)

 太平洋の洋上で違法漁業を取り締まる、グウェンら7人の女性らによる自警団「アムピトリテ号」のクルーの面々は、密漁を行う中国の漁船を追跡するうちに陸地から何百マイルも離れた深夜の太平洋の海上で漂流する一人の男性を救助する。

 救助された男性は、冷たい海上を何時間もさまよっていたとは思えない生命力で一命を取り留めるが、目を覚ましたとたんに何者かに取り憑かれたかのように暴れだし、船員の一人を刺して船内のどこかへと逃げ込んでしまう。

 彼女たちは姿をくらませた男性を捕らえようと捜索を開始。

 発見された男性は恐怖を感じた船員の一人によって刺殺されてしまうが、少し目を離した隙に殺したはずの男性の死体が船上からまたしても姿を消してしまい…
 

 陸地から何百マイルも離れた深夜の洋上で漂流している男性を拾った女性7人による自警団のチームが、救出した男性に取り付いていた謎の寄生生物によって脅威にさらされる…という、モンスターパニック映画。

 Amazonのプライムビデオで発見したのですが、『こんな映画、他で発売されてたっけ?』と思って検索してみても、Amazonのサイトぐらいしかマトモにヒットしないという謎のタイトルで、あまりにも正体不明の作品のため逆に気になって鑑賞してしまいました。

 ただ、こんな特異な公開形式のタイトルなので、よっぽど聞いた事が無い映画会社の作品なのかと思いきや、低予算のB級ホラーやサスペンスでおなじみの『SYFY』による新作で格別に出来が悪いというような内容でもなかったため、なんでこんなAmazonプライム限定みたいな公開形式なのか、ちょっと謎です。Amazon専用に製作されたタイトルでもないし、敢えて独占するほどの作品でも無いし…)

 お話としては、『女性7人による自警団が中国の密漁船を追う最中に、深夜の海上で偶然発見した漂流する男性を救助するが、男性が正体不明の謎の触手型の寄生生物に寄生されており、更にその寄生生物が船内に逃げ出した事から船員たちが未曽有の恐怖にさらされる事になっていく…』みたいな展開。

 ノリとしては、いわゆる閉鎖環境型のモンスターパニック映画で、洋上版の「物体X」とかそういう感じのプロットの作品ですね。

 ただ寄生生物といっても、人間の身体を乗っ取ったり同化したりというタイプでは無いので、『怪物vs人間』がメインの割とオーソドックスなストーリーといった感じ。

 主人公たちは『密漁船を追う自警団』みたいな設定なのですが、なんで女性ばかり7人なのかも不明ですし、何の権限で密漁船を追いかけまわしているのかも不明。
 7人しかクルーが居ないにしては矢鱈とデカい船に乗っていたりと、どうにも設定に謎の部分が多い印象で、なんか『いかにも脚本のために作られた設定』という感じで設定にアバウトさを感じます。

 7人のキャラクターもいま一つ個性が薄くて、ぶっちゃけ最後まで人間関係とか良く分からないような状態だったので、全体的に世界観の作り込みは弱めですね。

 ただ、肝心の『触手モンスター』の方は、サイズ的にはタコ程度の大きさしかないもののなかなかに不気味で、中途半端に寄生した人間をコントロールするという妙なリアルさや、銃で撃たれようが火で焼かれようが死なないという異常なまでのタフさも含めて、なかなか怖くて良い味を出しています。

 恐怖演出も割と秀逸な部分が多く、特に犠牲者の解剖シーンの緊張感とかはなかなかのものでした。

 ただ触手モンスターは良い味を出しているものの、予算の都合もあってか怪物の出番がそこまで多くなくて、それ以外のシーンはややテンポが悪くて全体的にちょっと冗長さを感じてしまう作りなのは残念なところ。

 一応は要所要所に見せ場みたいなのを作ってはいるのですが、前述のとおり主人公たち7人の個性が薄くて魅力があまりないため、怪物の登場しないドラマ部分がいま一つ盛り上がらなくて、間延びした印象になってしまっているんですよね。

 この辺がもうちょっとシッカリと作られていたら、もっと面白い作品になったんじゃないかと思うので、その辺りは残念なところ。

 あと、ラストの展開がややアッサリしすぎでちょっと盛り上がりに欠ける印象があったので、最後ぐらいはもうちょっと派手な展開があっても良かったんじゃないかなぁ?
 

 総評としましては、低予算でやや冗長ながらも『まあまあ観れるレベルの閉鎖環境型モンスターパニック映画』って感じの作品です。

 いかにも紋切り型なモンスター映画ではありますが、逆にそういった『紋切り型の閉鎖環境型モンスターパニック映画が好きな人』であれば、それなりに楽しめる内容ではあると思います。

 Amazonプライムビデオ専用という謎の配信形態ではありますが、逆にプライムビデオ会員であれば特に追加料金もなく気軽に楽しめるので、気になるようならチェックしてみても良いかもしれません。