■■■「ハイルシュテッテン ~呪われた廃病院~」■■■
(50点/オカルト)
(50点/オカルト)
霊安室で死体と一緒に写真を撮ったりといった、過激な悪ふざけで知られる動画配信チャンネル「イタズラTV」のテオたちは、次の動画の企画として『ベルリン郊外にある心霊スポットの廃墟となったサナトリウム(ハイルシュテッテン)で24時間過ごす』という肝試しを行う事となる。
その場所は、戦時中にナチスによって患者たちに人体実験が行われ、殺人事件や戦後も謎の自殺者を多く出しているという噂のある不気味な場所だった。
ライバル配信者のベティやテオの元恋人で霊感のあるマーニーも加わり、暗視装置や熱探知カメラも準備してサナトリウムでの撮影を開始した彼らだったが、病院内の心霊スポットを巡るうちに彼らの周りで徐々に奇妙な現象が起こり始め…
過激な映像で知られるYoutuberの面々が心霊スポットとして有名なサナトリウム(ハイルシュテッテン)で肝試しの動画撮影を開始したところ、その場所で恐るべき事態に遭遇する…というオカルトサスペンス映画。
ノリとしてはモキュメンタリー映画的なスタンスを取った作りで、いわゆるドイツ版の「グレイヴ・エンカウンターズ」みたいな感じの作品です。
この手の作品は少し前に比べると減ったものの、低予算映画ではまだ人気のあるジャンルといった印象。
最近のモキュメンタリー作品のトレンドとして、本作でも主観映像をそこまで多用しない観やすい映像作りがされており、観ていてもカメラ酔いとかしないように配慮されているのは良い感じですね。
お話としては、いわゆる心霊スポットを舞台とした『廃墟探索型のオカルトモキュメンタリー』といった感じのノリで、心霊スポットとなる廃墟の映像やら不気味な雰囲気がシッカリと撮られており、廃墟探索ものとしての需要がシッカリ満たされているのは悪くないです。
心霊現象が起こり始めるまでに、あまりダラダラと無駄に引っ張るようなシーンもなくてサクサクとお話が進んでいくので、非常にテンポ良く楽しめる作りなのも悪くない印象。
また『患者106号』といった、貞子のような『呪いの主』となるキャラクターが設定されていたり、『蛾』を使った独特の演出がなされているのも、雰囲気作りとして良く出来ていて面白いです。
ただ、テンポの良さや雰囲気づくりは悪くないのですが、肝心の『怪奇現象』があんまり発生しないうえに、物凄く一瞬づつの小出しでイマイチ盛り上がらないのは残念なところ…
その『怪奇現象』が物凄い一瞬なのに対して、主人公たちが勝手にパニックに陥って大騒ぎしているだけのシーンが妙に長くて、正直言ってどうにも物足りなさを感じてしまいます。
またややネタバレになりますが、終盤でちょっとしたドンデン返し的な展開があったりするのですが、その内容が矢鱈と唐突で『なんじゃそりゃ?』って感じの展開のは難点かなぁ?
ラストも終盤の強引でパワフルな展開の割には妙にアッサリした感じで、いま一つ盛り上がりに欠ける終わり方でしたし、どうにも全体的に物足りなさの残る内容でしたよ…
総評としましては、悪くは無い作りではあるのですが、前述のとおり『悪くは無いものの物足りなさの残るオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。
心霊スポット探索型のオカルトホラーとしては及第点を満たしており、そこそこ良く出来ている部分もあるのですが、いまひとつストーリーがネタや設定を活かしきれていない感があるのは残念なところ…
まあでも、廃墟探索系のオカルトホラーとかが好きであれば、まあまあ楽しめる内容ではあると思うので、そういったノリの好きな人であれば新作としてチェックしてみても良いかもしれませんよ。