■■■「パージ:エクスペリメント」■■■
(55点/サスペンス)
(55点/サスペンス)
NFFAは、犯罪率を下げるための貧困層の不満のガス抜き施策として、『一年に一度、一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる』という「パージ法」を立案。
全米での適用に先駆けて、ニューヨークのスタテン島の島内だけに限定して『パージの夜』を試験運用する事となる。
パージの開催に対して猛烈な市民の抗議活動の続く中、スタテン島を根城とするギャングのリーダーであるディミトリは、敵対組織や恨みを持つものからの『パージに便乗した襲撃』に備えて防衛体制を整えつつあった。
同じころ、ディミトリの元恋人であり犯罪からは足を洗ったナイアは、『パージの夜』に参加する事で$5,000が報酬として得られると知らされたことから、弟や他の貧民層の仲間たちと共に教会に立てこもって一晩をやり過ごすという計画を立てるが…
アメリカで『一年に一度、一晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる』という『パージの夜』が施行される事となり、その試験に参加する事となった人々が体験する恐怖の一夜を描いた、アクション風味のサスペンススリラー映画。
全ての犯罪が合法になる『パージ(浄化)の夜』という設定で人気の「パージ」シリーズの最新作で、『パージの夜』の最初の試験運用が行われたとある島での出来事を描いた内容となっています。
時間軸的には「パージ」シリーズの前日譚となるエピソードで、いわゆる「パージ・ゼロ」に該当するようなお話と言えば分かりやすいかも?
(ちなみに原題は、そのまんま「THE FIRST PURGE」。)
シリーズとしては既に人気の作品であるため改めて語るような要素も無いですが、前作あたりで既にやりたいネタはやりきってしまったような印象もあったせいか、最新作では『最初のパージの夜』が舞台というちょっとした変化球で来た印象。
『最初のパージの夜』が舞台だけあって参加者が全体的に消極的で、参加者を煽って試験を成功と見せかけるために、政府が民間人に偽装した暗殺者や襲撃部隊を送り込んでみたりと、ちょっと捻りの効いた内容になっているのは良いですね。
また、最初のパージでありながら『敢えて犯罪を犯したいために参加しているキ〇ガイたち』の『キ〇ガイ濃度』が高めで、参加者が全般的に良い味を出しているのも面白いところ。
ただ、設定的に『最初のパージが人々の心理にどのような影響を与えたか』といった社会派的なネタになるのかと思いきや、最終的には『政府のヒットチームvs地元のギャングの対決』みたいな展開になってしまい、単なるアクション映画的なノリになってしまっているのは残念なところかも?
でもまあ、政府と戦うギャングの面々が良い味を出しておりアクションシーンも無駄にカッコ良いので、派手で面白いという点では割と良く出来ているんですけどね。(本シリーズの方も、最後の方の作品では派手でお馬鹿なネタが多くなってたし…)
ただのストリートギャングのクセに強すぎだろ!!ってツッコミどころもありますけど…
あと、シリーズがひと段落ついたせいもあってか本作から監督が今までと変更になっている模様で、それに伴って予算が削減されたのか、前作等に比べて全体的に小ぢんまりとして地味な印象を受けるシーンが多くなったのは残念なところかなぁ?
(小ぢんまりとしてしまったせいか、ちょっとマンネリ感も強いです。)
そういや、昨年あたりから製作されたTVシリーズの方の「パージ」はまだ観てないのですが、そっちの評判はどんな感じなのかしらん?
総評としましては、シリーズの最新作(前日譚)としては『そこそこ楽しめるレベルに良くまとまったアクション要素強めのサスペンス映画』って感じですね。
前日譚とはなっていますが、ノリとしては今までのシリーズを観ている事が前提っぽい部分が多いので、リブート企画というよりは『シリーズを何本か観ている人向けの内容』という印象。
予算的な問題もあるのかやや安っぽさは感じるものの、シリーズが好きであれば本作もまあ普通に楽しむことが出来ると思いますので、シリーズのファンであればチェックしておいても良いのではないかと思いますよ。