NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ガール・イン・ザ・ミラー 」(45点/サスペンス)

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■■■「ガール・イン・ザ・ミラー 」■■■
(45点/サスペンス)

 美少女でありながらも極度に内向的な性格から、自宅では両親から疎ましがられ学校ではイジメられる、高校三年生の少女マリアは、自分に対して自己嫌悪を抱きながら暮らしていた。

 そんなある日、バスルームで鏡を見ていると鏡の中の自分が自分と違う動きをし、話しかけてくるという奇妙な現象が発生。

 彼女は自分の事をアイラム(AIRAM)と名乗り、マリアを『悲しみから救いたい』と言って、マリアにもっと自分に自信を持つようにアドバイスがするようになる。

 アイラムの言葉を聞き徐々に自信を取り戻していくマリアだったが、プロムの夜に酷いイジメを受けた事からショックを受けた彼女は、アイラムに促されるままに鏡の自分にキスをしたところ、鏡の中のアイラムと人格が入れ替わってしまう。

 そして肉体の支配権を得たアイラムに操られた彼女は、自分を虐げた相手への復讐を企てていくのだった…
 

 『出産の際に死産した双子の姉妹』が、鏡の中から別人格として話しかけて虐げられた少女に復讐を企てさせるという、サスペンススリラー映画。

 いわゆる『多重人格系のサスペンス映画』なのですが、サイコスリラーというにはややリアリティが薄いですし、オカルトテイストも弱めな印象なので、どちらかと言うとダークファンタジー的な雰囲気の作品と言えるかも?

 『死産した双子の姉妹』がもう一つの人格となって鏡の中から語り掛けてくるという設定は、ちょっと月並みな印象ながらも悪くないですし、もう一つの人格の助言によって『自分に自信を持てない主人公が自信を取り戻していく』という流れや、
鏡とキスをしたら人格が入れ替わるという設定も、ちょっと捻りが効いてて面白いです。

 また、『アイラムの正体』と『死産の秘密』に関しては、割とパンチが効いててなかなか怖くて良い感じですね。
 主人公がかなりの美少女なのもポイントの高い部分と言えるでしょう。

 ただプロットやキャラクターは悪くないのですが、肝心のストーリーの部分がちょっとイマイチなんですよね…

 特に全体的にお話のテンポがゆっくり目で、観ていてどうにも冗長に感じる部分が多いのは困りもの。

 主人公や周辺のキャラを丁寧に描く序盤は、展開のスローさや地味さもそこまで気にならないのですが、サスペンス要素が強くなる後半でも派手な要素が殆ど無くてお話がまったり進行なため、終盤はテンポの悪さを感じてしまうんですよね。

 主人公の復讐劇も『そんな無計画な作戦で思惑どおりに話は進まないだろ…』とツッコミを入れたくなる部分が多く、サスペンスとして観ているとちょっとモヤっとしてしまいます。

 多重人格的な題材の割には、もともとの主人格の「マリア」が後半では物凄く影が薄くなってしまうのも微妙な感じですし、ラストとかも描きたい方向性は分かるのですが、ちょっと投げっぱなしすぎてどうにもスッキリしないんですよね。

 主人公である『二人の人格』の心象を掘り下げたいのか、サスペンスとして描きたいのかがハッキリせず、どっちつかずな印象になってしまっているので、もうちょっと方向性をハッキリと描いた方が良かったんじゃないかなぁ?
 

 総評としましては、色んな意味で『スッキリしなくて物足りなさを感じるサスペンススリラー映画』という感じの作品です。

 雰囲気づくりやらプロットやら悪くない部分もあるのですが、そういった要素が活かしきれていない感じで、ちょっとオススメするには弱い内容というのが正直なところですね。

 まあでも冗長な部分を我慢すれば、まあまあ普通に楽しめるレベルの作品ではあると思うので、設定とかが気になっているようであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。