■■■「生き人形マリア」■■■
(55点/オカルト)
(55点/オカルト)
ある日、幼稚園のスクールバスが交通事故にあい、多くの子供たちの命が失われるという痛ましい事件が発生する。
事故で娘を喪ったフェイス、フリオ、ステラらの3人は悲しみに暮れるが、そんな彼らの前に精神科医のマノロと名乗る男性が現れ、新しいメンタルセラピーの医療実験だと言って、彼らのそれぞれの家に亡くなった娘の姿に似せた等身大の人形を置いて帰る。
最初は『娘の姿に似せた人形』に強い抵抗感を抱き猛反発していた彼らだったが、人形の持つ怪しい魔力のようなものにに惹きつけられるように徐々に人形を受け入れるようになっていき、博士の実験は成功したかのように思えた。
しかしその人形が現れてから、彼らの周りで徐々に不気味な事件が起こるようになっていき…
事故で娘を亡くした三組の家庭にメンタルセラピーのために『娘の姿に似せた人形』が贈られるが、実はその人形は恐るべき呪いの人形だった…という、フィリピン製のオカルトサスペンス映画。
いわゆる、この手のジャンルでは定番の『呪いの人形系ホラー』ですが、フィリピン製の作品という事もあってやや目新しい印象を受けるテイストの作品になっています。
人形ホラーというと、やはり『人形の怖さ』が最大のキーポイントとなる訳ですが、等身大人形の不気味さという観点ではまあまあ良く出来ている印象。
最初は単なる「マネキン」にしか見えない人形が、お話が進むに合わせて徐々にリアルっぽく不気味な存在に変化していくという演出はなかなか上手いです。
ストーリーも一筋縄では行かない感じで、呪いのターゲットになった3組の家庭がそれぞれに闇のようなものを抱えて居たり、『過去に幼稚園で起こった事件』を軸にしたサスペンス的な展開があったりして、なかなか凝った作りになっているのは良い感じ。
人形もそれぞれが『お前ら全員チャッキーかよ!!』とツッコミを入れたくなるぐらいに狂暴で、襲撃シーンも大の大人を引きずり回したり持ち上げたり、人形のクセに車を乗り回したりとか、矢鱈とパワフルなうえにバリエーションに富んだ襲撃方法で色々と楽しませてくれます。
3つの家庭を舞台として並行してお話が進んでいくだけあって、お話の密度が高くテンポも非常に良くて退屈せずに観れるのも悪くないですね。
ただ、この『3つの家庭』を舞台としているせいもあって、お話が妙にゴチャゴチャしてて、人間関係とかが若干分かり辛い印象を受けるのは困りもの。
特に終盤の展開は、矢鱈と唐突なうえに詰め込みすぎで異常に展開が早い部分が多く、ラストがちょっとグテグテ気味な感じになってしまっているのは残念なところです。
もうちょっと終盤に尺を取るか、ペース配分を考えて作った方が良かったんじゃないかという気がしました。
あと呪いの人形に関して、人形が『等身大人形』という設定だけあって、動き回るシーンでは実際の子役が仮面か何かをつけて演じているっぽいのですが、人形の動きが滑らかすぎて逆に『人形っぽさ』があまり感じられなくなってしまって、襲撃シーンとかでの怖さが薄くなってしまっているのは残念なところかなぁ?
流石に、パペットで全編のアクションシーンをやるのは辛いので仕方ない部分ではあると思うのですが、この辺はもうひと頑張りして欲しかった感じではありますよ。
総評としましては、そこそこ良く出来た『人形ものオカルトホラー映画』って感じですね。
フィリピン製という事でテイストは目新しいですし、中身の方もそこまで突き抜けた個性とか怖さのようなものは無いものの、全体的に手堅くまとまった作品という印象です、
強く推す程ではないですが、人形ホラーとかが好きであれば普通に楽しめる内容だと思いますので、チェックしておいても損は無いのではないでしょうか。