■■■「モンスター・フェスティバル」■■■
(55点/スラッシャーホラー)
(55点/スラッシャーホラー)
幼い頃に亡くした母親の影響でホラーマニアとなった青年ダックは、人気ホラー映画監督の仕掛けるホラー映画の世界を再現するホラーファンの祭典『流血の祭』に友人たちと共に参加する事となる。
全国からホラーファンが集まった広大な会場で盛大なオープニングセレモニーとともにイベントは開始されるが、オープニングのラストで手にチェーンソーを持ち殺人鬼に扮したスタッフたちが次々と観客たちを殺害し始めるという異常事態が発生。
監督がオープニングセレモニーで語っていた『法則に従え』という言葉を思い出したダックは、ホラー映画の知識を元に『ホラー映画の法則』に従って、この殺戮ショーの会場から脱出しようとするが…
ホラーの祭典の会場で本物の『殺戮パーティ』に巻き込まれたホラーマニアの青年が、ホラーの知識を活かしてなんとかして会場から脱出しようとするという、パロディ系のスラッシャーホラー映画。
いわゆる『参加したイベントがリアルな殺戮イベントでした』というネタと『ホラーマニアがホラー知識を用いて殺人鬼の襲撃を生き延びる』というネタを合体させた、合わせ技的なホラー映画ですね。
パロディ系のホラー映画としてはどちらも割とありがちなネタではあるのですが、両方を合体させた事によって新たな面白さが生み出される…
となっていれば良かったのですが、どうにも『二番煎じの月並みな作品』という印象を脱しきれてない感じなのは残念なところ。
まあ、『ゾンビ映画』や『学園スラッシャーホラー』といった様々なホラー映画を題材にした巨大なイベント会場といった設定やら、『ホラーマニアの主人公』といった各々の設定は悪くありません。
お話のテンポも割と軽快で、ゾンビ映画のパロディやら「SAW」のパロディやらといった有名ホラー映画のパロディのシーンもたくさん用意されており、ところどころで面白い部分もあるのですが…
なんというか、それぞれの内容が『薄い』感じで、いま一つ盛り上がりに欠けるんですよね。
色々なジャンルのホラー映画のネタを元にしたパロディは悪くないのですが、どうにも『ホラーのツボ』が上手く押さえられていない感じなんですよ…
主人公の生き残るための『ホラー映画の法則』もあまり有効活用されておらず、中途半端で観ていてどうにも物足りませんし、主人公たちの仲間が殺されるシーンも妙にアッサリしてて全体的に盛り上がりに欠ける感が強いのが辛いところ。
でも終盤のドンデン返し的な超展開は、強引すぎてムチャクチャな部分もあるものの個人的には割と嫌いじゃなかったかなぁ?
冒頭に登場する『謎の殺人鬼』の正体とか、会場に『殺人鬼』を大量に集めるための『仕掛け』がキチンと説明されていたりする辺りとか、意外とシッカリと伏線が回収されている辺りとかは、なかなか良かったです。
(まあ、超科学とか超理論でツッコミどころ満載な部分はさておき…)
ただ、なんというか全体的に『色んなネタを詰め込みすぎて散漫になってしまった』ような印象を受けたので、『ホラー映画の法則』をネタにするならもうちょっとネタを絞り込んだ方が良かったんじゃないかなぁ?というのが正直なところでした。
あと、「モンスター・フェスティバル」というタイトルの割には、モンスターはゾンビと吸血鬼ぐらいしか出てこなくて意外と扱いが薄いので、その辺は要注意です。
総評としましては、悪くは無いんだけどパロディ映画としてもお祭り映画としても『どうにも物足りなさの残る殺戮ショーものホラー映画』という感じです。
ネタとして楽しめる部分も無くはないもののイマイチな部分も多いので、推すにはちょっと弱い印象。
気になっているのであれば観るのを止めることもないですが、急がないのであれば安くなってからか、ネット配信等を待ってみても良いかもしれません。