■■■「スペルズ/呪文」■■■
(60点/オカルト)
(60点/オカルト)
交通事故で母を亡くし保護者を失ったオルガとアルチョムの姉弟は、2人で森の奥にある古びた寄宿学校で生活する事となる。
しかし事故のショックからまだ立ち直れない幼いアルチョムは、行く先々で母の姿を目撃し、姉に『母を助けて欲しい』と懇願する。
オルガは学校で知り合った友人たちと共に、弟が母を目撃したという地下室に侵入するが、その場所で巨大な鏡と『魂と引き換えに悪霊が願いを叶えてくれる』という都市伝説である『スペードの女王』の儀式を行った痕跡を発見。
彼らは冗談半分にその鏡の前で都市伝説の儀式を行うが、果たしてその翌日に『嫌いな義母に死んでほしい』と願った一人の友人の願いが、『父との無理心中』という不幸な形で結実。
恐るべき現実に恐怖した彼らはなんとかして自分たちの願いを取り消そうとするが、母に会いたい一心のアルチョムは悪霊の力に徐々に取り込まれていき…
お話の設定と「QUEEN OF SPADES: THROUGH THE LOOKING GLASS」という原題を聞いた時に『この映画、以前にどこかで観た事があるかも?』という記憶がよぎったので調べてみたのですが、どうやら本作は2015年にロシアで製作された「ミラーズ 呪怨鏡」(原題「QUEEN OF SPADES」)の続編に当たる作品のようです。
前作が特に不評だった訳でも無さそうなので、なんでわざわざ別作品のようなタイトルを付けるんだろうと疑問に思ったのですが、前作とは日本での販売会社が変わってしまっているのでその辺が原因なのかも?
ちなみに前作の感想はコチラ。
ただ、お話としては同じシリーズで世界観や設定を共有した作品という感じですが、ストーリー的には特に前作との繋がりのようなものは無くて、時系列的にも前日譚なのか後日談なのか良く分からない程度の薄い関連性という印象。
本作中でも都市伝説の『スペードの女王』の設定やらバックボーンやらはしっかりと語られるため、前作を観て居なくてもなんの問題もなく楽しめる内容になっています。
お話としては、『母を失った姉弟が寄宿学校に入る事になったところ、そこで『スペードの女王』という都市伝説に関わる奇妙な鏡を発見し、冗談半分で願いをしたところ、恐ろしい形でそれが実現していく』みたいな感じの展開。
いわゆる、学園を舞台にした『青春系のオカルトサスペンス映画』というノリではあるのですが、『事故死した母親と母の死を受け入れられない幼い弟』という家族ドラマ的な要素を付加する事でストーリーに独自性を持たせているのは良い感じですね。
また『悪魔(悪霊)が願いを叶える』系の作品ではお約束的な展開ではありますが、『本人の望んでいない形で願いが叶っていく』という流れがなかなか嫌らしくて良く出来ており、本作の一番の見どころとなっています。
『森の奥の古びた寄宿学校』というロケーションと寂れた独特の雰囲気も良い味を出していますし、『スペードの女王』の秘密に迫っていく謎解き部分も普通に面白くて、手堅くまとまっている感じです。
ただ中盤までの展開は非常に面白いのですが、終盤にかけての展開が矢鱈と駆け足な感じで、ちょっと詰め込みすぎな印象を受けたのは残念なところ。
尺が80分程度の作品なので、どうせならもうちょっと尺を長くしてホラー描写にボリュームを持たせてほしかったですよ。
あと、『スペードの女王』のバックボーンやキャラクターは良い味を出していると思うのですが、ビジュアルやらの印象が薄くていまひとつ記憶に残らない感じだったので、ビジュアル面はもうちょっと頑張って欲しかったかも?
また終盤の展開は先が読めなくて面白かったのですが、ラストがちょっとアッサリしすぎな印象を受けたので、もう一捻りあっても良かったかなぁ…
総評としましては、全体的に『手堅く良く出来た都市伝説系オカルトサスペンス映画』という感じの作品ですね。
いわゆる青春ものの『都市伝説系オカルト映画』とかが好きであれば、割と普通に楽しめる内容だと思いますので、そういうジャンルの新作を求めているのであればチェックしておいて損はないと思います。
続編ものですが前作を観て居なくても全く問題ありませんので、『気になるようであればお好みで』という感じの一本だと言えるでしょう。