■■■「アナベル 死霊博物館」■■■
(55点/オカルト)
(55点/オカルト)
超常現象研究家のウォーレン夫妻は様々な心霊事件を解決し、その事件に関わった様々な呪われた品物を鍵のかけられた地下の倉庫に保管しており、なかでも強力な呪いを持った『アナベル』の人形は神父の立会いの下で厳重に封印されて保管されていた。
そんなある日、一人娘のジュディを残してひと晩外出する事となった夫妻は、ホームシッターのメアリーに世話を任せて行く事となるが、彼女らのもとへと遊びに訪れたメアリーのクラスメイトのダニエラが好奇心から地下の保管庫へと侵入。
アナベルを封印されたガラスケースから取り出してしまう。
やがて封印からアナベルの恐るべき呪いのパワーによって、地下室に保管された呪いの品々に取り憑いていた悪霊たちが次々と目を覚ましていき…
ベビーシッターの少女がウォーレン夫妻の地下室に封印された呪いの人形「アナベル」の封印を解いてしまった事から、とんでもない事件に巻き込まれていく…という、オカルトホラー映画。
お話としては『様々な呪いのアイテムが厳重に保管されたウォーレン夫妻の家で、幼い娘とベビーシッターの女子高生が一緒にお留守番をする事になるんだけど、ベビーシッターのクラスメイトが好奇心から地下室の呪いのアイテムの封印を次々と解いてしまい、そりゃもうとんでもない事態に…』という感じのストーリー。
ウォーレン夫妻の幼い娘と女子高生のベビーシッター2人が主役という事もあってか、全体的に非常にマイルドでむしろ『ほのぼのテイスト』すら感じさせるという、シリーズとしては異色の作品となっています。
ぶっちゃけ他の作品のようなシリアスさは殆ど無いうえに、むしろコメディ的な要素が強めなので、今までの「死霊館」シリーズのノリを期待していると肩透かしを食らわされてしまうような内容ですが、だからといって面白くない訳では無くて、『青春系コメディホラー』的な作品としては割と良く出来ていたりします。
全体的にゆったりしたテンポながらも、家族愛とかを題材とした作品のテーマ性も分かりやすく、ウォーレン夫妻の娘も可愛いですし、主人公のベビーシッターの女子高生やそのボーイフレンドもキャラが良く立っています。
うっかりアナベルの呪いを解放してしまう主人公の友人も、その切っ掛けが『事故で亡くなった父親に会いたい』という健気な理由で好感が持てますし、まったりした空気の漂うファミリー向けやティーン向けの作品として観るならば割と好感触。
最大の見どころである、アナベルの呪いパワーによって次々と呪いのアイテムが力を取り戻していくという『呪いのアイテム展覧会』みたいな展開は面白くて、『このアイテムはどんな呪いを見せてくれるんだろう』とワクワクしながら楽しませて貰いました。
終盤の狼男や鎧武者まで登場するハチャメチャな展開もなかなか馬鹿馬鹿しくて良かったですし、『手探りゲーム』のキモさにはちょっと戦慄させられてしまいましたよ。(笑)
ただティーン向け作品のような方向性だけあってホラー要素が全体的に薄めで、怖さがほとんど感じられないのは困りもの。
呪いのアイテムの描写も食い足りないレベルですし、お話のテンポがゆっくり目なせいもあって、全体的にちょっと冗長さを感じさせられてしまうんですよね。
せっかく呪いのアイテムもバリエーションをあれだけ取り揃えてるんだから、もっと色々と「ナイトミュージアム」ばりに大暴れさせて欲しかったです。
あと、メインである筈のアナベルの影が非常に薄いのも、ちょっと残念な部分かなぁ?
もし可能なら、同じような題材で『ホラー要素を増し増しにした大人向けの続編』なんかを作って貰いたいところですよ…
総評としましては、『割と良く出来たまったりテイストのティーン向けホラー映画』という感じの作品ですね。
いつもの「死霊館」シリーズのノリを期待してると物足りない部分が多いですが、『お祭り映画的な「死霊館」のスピンオフタイトル』として観るならば『まあこういうのもアリかな?』という感じの一本と言えるでしょう。
映画としての完成度は低くないので、シリーズが好きな人であれば物の試しに観ておいても損はない作品ではないでしょうか?