NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ホール・イン・ザ・グラウンド」(50点/サスペンス)

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■■■「ホール・イン・ザ・グラウンド」■■■
(50点/サスペンス)

 アイルランド郊外の森のそばで、幼い息子のクリスと共に暮らすシングルマザーのサラは、ある日、些細なことから親子喧嘩となってしまう。

 息子が森の中に逃げ込んでしまった事から、彼を追って森の中に入った彼女は、そこで森の奥に巨大な『陥没穴』が出来ている事を発見。

 それ以降、森の奥から帰ってきた息子が、今までとは明らかに違う態度を取ったり、深夜に徘徊したりと異様な行動を取るようになっていった事から、彼女は息子の様子に違和感を感じるなっていく。

 そんなある日、『精神に異常をきたして自分の子供を殺した』とウワサされる近所の老女から『これはあなたの息子じゃない』と指摘された事を継起に、彼女は息子が何者か別の存在と入れ替わってしまったのではないかと疑惑を抱くが…
 

 森の奥の『陥没穴』に近づいて以降、息子の様子が別人のように豹変してしまった母親が、『息子が何者かに入れ替わってしまったのではないか』と疑惑を抱く…というサスペンススリラー映画。

 アイルランド郊外の森を舞台として『森の中で姿をくらませて帰ってきた息子が別人のようになっていた?』という感じのストーリーなのですが、欧州映画だけあって空気感や雰囲気を大事にする『雰囲気映画』的なテイストを持ったサスペンスという感じの作品ですね。

 静謐な森の中の一軒家でひっそりと暮らす主人公の親子と、森の奥にぽっかりと空いた不気味な『巨大な陥没穴』といったシチュエーションが、日常の中に唐突に現れた非日常という雰囲気を感じさせて、なかなか良い味を出しています。

 奥深い森の雰囲気もなかなか良い感じで、なんとなく幻想的なテイストを連想させてくれるのも面白いです。

 お話としては『息子は本当に何者かと入れ替わってしまったのか、もしくは精神に異常をきたしているのは母親の方なのか?』というところが焦点となって進んでいくサスペンスといった感じで、サイコスリラーとしては割とお約束な展開なのですが…
 母親が離婚(父親のDVが原因?)を切っ掛けにやや精神を病んでいたり、『かつて同じような体験をして息子を殺した老女』が登場したりと、舞台装置として面白い仕掛けが用意されていてお話を盛り上げてくれるのは良い感じ。

 ただプロットそのものは悪くないのですが、雰囲気映画的なテイストの関係もあってストーリーの展開が非常に遅く、全体的に冗長な印象を受けるのは困りもの。

 中盤あたりまでの『主人公が自分の息子に疑惑を抱く』という流れにしても、派手な事件とかは殆ど起こらずに母親が感じる『違和感』に関してもパンチが弱いため、盛り上がりに欠けてどうにも退屈です。

 それに対して、終盤の『えっ、そんな展開アリなの?』っていうぐらいの唐突な展開はちょっと度肝を抜かれましたが、やや唐突過ぎる感もあったので、もうちょっと前振り的な仕込みがあっても良かったかなぁ?

 ラストもアッサリしすぎてやや投げっぱなし気味な終わり方ですし、全体的にちょっと物足りなさの残る作品でしたよ…
 

 総評としましては、そこそこ観れるレベルの『雰囲気映画風味のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 欧州映画の独特のテイストやら空気感が好きであれば、まあまあ楽しめる内容だとは思いますが、逆にあのまったりしたスローテンポな雰囲気が苦手だとちょっと辛い作品かも?

 出来は悪くはないので気になっているなら『お好みで』という感じですが、そこまで推すほどの内容でも無いので、特に急がないのであれば定額制の動画配信サービスとかで観れるようになるのを待っても良いかもしれませんよ…
 (なんとなくネトフリとかが好みそうな感じのタイトルですし…)