■■■「ゾンビプーラ」■■■
(55点/モンスター)
(55点/モンスター)
予備役兵士として人里離れた森の奥の軍事基地に配属されたカユ伍長は、平和で特にやる事もないことから、真面目に任務も行わずに怠惰な毎日を過ごし、マジメ一辺倒な鬼上官のリー軍曹に目を付けられていた。
ある日、仮病を使ってサボろうとした彼は友人のターザンと共に救護室を訪れるが、そこで瀕死の兵士が運び込まれてくる現場に遭遇。
実はその兵士は正体不明のゾンビウィルスに感染しており、救護に当たった兵士を襲撃し、瞬く間に感染を広げて救護室は阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまう。
偶然、現場に居合わせたリー軍曹と共になんとか難を逃れた彼らは、生き残った仲間と共になんとかしてゾンビまみれになった基地から脱出しようとするが…
『凸凹コンビの閉鎖環境からの脱出を描いたコメディ風味のゾンビ映画』という事で、最近の映画のシチュエーションとしては割とあちがちな感じの系統ではありますが、なんでも『シンガポール初のゾンビ映画』ということで一部で話題になった作品のようです。
割とありがちなプロットのとおり、ストーリーの方も非常にオーソドックスな感じで『突然発生したゾンビパンデミックから主人公たち一行が脱出を目指す』という、ほぼそれだけの内容。
ただ、ゾンビ映画としてはそんなに目新しい要素も無い感じではあるのですが、シンプルな内容ながらも全体的に非常に丁寧に作られた印象を受ける作品という印象。
不真面目だけどやる時はヤル系の主人公と、真面目で堅物だけど実はコンプレックスを抱えて悩んでいる鬼上官という、主人公たちキャラもしっかりと描き込まれており、凸凹コンビとしてキャラが良く立っていますし、ドラマとしても悪くない感じ。
ゾンビたちの、軍人としての生前の記憶のせいで『国家を聞くと起立して立ち止まってしまう』やら『障害物コースを観ると反射的にレースを初めてしてしまう』という設定やらも、なんとなく「ショーン・オブ・ザ・デッド」的なノリで少し面白いです。
また、お話のテンポも非常に良くて、殆どダレる事もなくサクサクと最後まで観れるのも、なかなか良くできています。
ゾンビの出現の理由に関して全く言及が無いのは割とありがちなパターンですが、しっかりと『謎解き要素』的な部分もあって、お話が盛り上がる構成になっていたのも悪くない印象。
ただ悪くない部分は多いのですが、ちょっと弾け切れてないかな…という部分も多く感じられるのは残念なところかなぁ…
ゾンビの襲撃シーンや残虐描写も非常に地味ですし、山場となるようにシーンもあまり無いです。
またドラマ的に良く出来ているかと言われると、主人公たちの成長を描くドラマとしては、やや物足りない部分がありいま一つ盛り上がりません。(鬼上官のコンプレックスとか全く解消されてないし。)
もっとゾンビと対決するシーンとか、『主人公たちがカッコ良く見えるようなシーン』も、シッカリと描いて欲しかったところです。
オマケ程度で登場する『敵役キャラ』にもそこまで魅力が感じられないですし、ドラマ的な部分も含めて、全体的にもうちょっとカタルシスがある作りでも良かったんじゃないかなぁ?
総評としましては、そこそこ良く出来た『コメディ風味のゾンビものパニックホラー映画』という感じの作品ですね。
やや物足りない部分もあるものの『コメディ系のゾンビ映画』とかが好きであれば、普通に観れる内容だと思います。