NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「カット/オフ」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「カット/オフ」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)

 検死官であるポールは、ある日、身元が分らないように偽装された奇妙な女性の死体を解剖する事となる。

 死体の解剖中に頭の中から『謎のカプセル』を発見した彼は、カプセルを開いて中を確認するが、その中には彼の娘であるハンナの名前と携帯電話の番号が記された紙を発見。

 驚いた彼が慌てて娘へと電話をかけたところ、娘は何者かによって拉致監禁されており『警察に通報したり指示に従わなかったりすると殺される』という驚くべき事実と、犯人からの『エリックを探してその指示を受けろ』という謎のメッセージを受け取る。

 彼は動揺しつつも、攫われた娘の手がかりを探すために再び携帯に電話をかけたところ、偶然にも携帯電話を発見したリンダと名乗る女性が電話に応答し、電話のそばに『エリック』らしき人物の死体があるという状況を告げられる。

 死体が海上の孤島である『ヘルゴラント島』にある事を知った彼は、死体に隠されているであろう手がかりを確認するためにその場所へと向かおうとするが、『ヘルゴラント島』は折からの嵐の接近によって上陸する事すら出来ないような状況だった…
 

 謎の殺人鬼によって娘を誘拐された検死官の男性が、偶然にも事件に巻き込まれた女性・リンダと共に娘を救出するために奔走する…というドイツ製のサスペンススリラー映画。

 割とハズレの作品が多い印象のTSUTAYA先行作品ですが、なかなかどうして今回はかなり『当たり』の類の作品ですね。

 お話としては『謎の殺人鬼によって娘を誘拐された検死官の男性が、犯人の残した手がかりを追って娘を救出しようとするんだけど、手がかりのある場所が嵐の接近によって近づく事もできない海上の孤島であることから、旧友の事務員や偶然事件に巻き込まれた漫画家の女性たちと電話でやり取りしながら謎を追って行く』というようなストーリーで、かなりミステリー要素が強めのサスペンススリラーという感じの内容です。

 謎の殺人鬼によって『敢えて残された手がかり』を主人公たちが追って行くという、『主人公と殺人鬼の頭脳戦』という感じのプロットはややありがちな印象ではあるものの、主人公が現地に赴くことが出来ないことから、現地の協力者と電話でやりとりしながら死体の検死や解剖を行ったり、その脇で主人公は主人公で別の手がかりを追跡してパラレルでお話が進んで行ったり…といった具合に、なかなかに捻りが利いた面白い構成になっているのは良いですね。

 『解剖』を題材とした謎解きもいかにも科学捜査って感じで面白いですし、犯人の残した『手がかり』を追ううちに徐々に事件の全貌が明らかになっていくという構成も、ベタな感じではあるものの良く出来ています。

 『謎解きミステリー』がメインの展開のため、あまりストーリーに関しては触れる事ができませんが、『孤島』と『主人公の居る場所』という2つの舞台を中心にパラレルで進んでいく謎解きが非常にテンポが良く、謎解き要素やらアクションシーンやら要所要所に見せ場となる部分も多く準備されており、全く退屈しない作りとなっているのも好印象。

 主人公たちのキャラクターも良く立っており、逆恨みで娘の命を狙われる検視官の主人公とその相棒となる新米インターン医師事件に偶然巻き込まれた漫画家の女性とその相棒となる旧友の事務員という2組の『バディ』が事件を追って行く流れが、バディものとしても面白く描かれているのも良いですね。

 ただ、ミステリーとしては若干粗削り…というか展開が強引すぎると感じる部分もあり、事件の謎解きの手がかりとなる情報が後出しで追加されたり、犯人が唐突に登場したりする印象のはやや残念なところ。

 また、主人公たちが『犯人の想定どおりに行動しすぎ』な感じで、『そんなに上手くは事件が進まないだろ?』とツッコミを入れたくなる部分も若干ある感じ…

 ラストも矢鱈とブツ切りな印象だったので、もうちょっとキレイな終わり方でも良かったんじゃないかなぁ?

 でもまあ、ラスト辺りまでちょっとしたドンデン返し的な要素が仕込まれていたりと、全体的に先の読めない展開でなかなか面白かったです。
 

 総評としましてはなかなか良く出来た『ミステリー要素強めの佳作サスペンススリラー映画』って感じの作品です。

 謎解き系のミステリーとかサスペンスドラマとかが好きならば普通に楽しめる内容だと思いますので、気になるようであればチェックしておいて損はない一本でしょう。

 140分強と尺が長めの作品で、やや気合を入れて鑑賞する必要があります(片手間に観てたら訳が分からなくなりそう)ので、その点だけは要注意かも?