(55点/サスペンス)
1986年、両親と共にサンタクルーズの遊園地に遊びに来ていた少女アディは、両親とはぐれた隙に遊園地のミラーハウスへと迷い込み、そこで『自分とそっくりの少女』に遭遇。
そのショックから強いトラウマを受けて、失語症に陥ってしまう。
そして現在、トラウマから回復した彼女は結婚して二児の母となり、夫のゲイブと二人の子供と共に休暇を過ごすために、再びサンタクルーズへと訪れる事となる。
しかし休暇先で不気味な現象が相次いだことから、過去のトラウマが蘇り、悪いことが起こるのでは無いかという妄想に駆られる彼女だったが、そんな矢先に深夜に彼女たちの家に不審な4人組が襲来。
その4人は、他ならぬ『彼女と彼女の家族そのもの』だった…
過去に自分自身の『分身』に遭遇した女性とその家族が、その数十年後に正体不明の『自分たち自身の分身』の襲撃を受けるという、サスペンスホラー映画。
お話としては、『海岸の町にバカンスに訪れた家族を”自分とそっくり同じ姿の何者か”が襲撃する』という、ストーリーだけを説明すれば本当にそれだけのお話という印象。
以前に『自分とそっくりのもう一人の自分(ドッペルゲンガー)』に遭遇した主人公の過去のエピソードなんかを交えつつ話が進んでいくのですが、割と序盤から有無を言わさずにドッペルゲンガーの襲撃を受けて、あとはひたすら『自分やご近所さんの分身と戦い続ける』みたいな展開なので、非常にテンポが良くて退屈しないのは悪くないですね。
野生生物のように狂暴で『いかにも話が通じ無さそう』なドッペルゲンガーたちも、なかなか不気味で良い味を出しています。
ただテンポが良くてサクサク観れるのは良いのですが、割と終盤あたりまでドッペルゲンガーたちのバックボーンに全く説明がないため、彼らの目的が判然とせずに微妙にモヤってしまうのは困りもの。
背景が良く分からないままイキオイで流して観れるほどのパワフルさも無いですし、サスペンスとしても謎解き的な要素もあまりないので、中盤までの『訳が分からないままひたすら戦い続けているだけの展開』にちょっとダラダラした印象を受けてしまいました。
あと最後まで見ても、ドッペルゲンガーたちが何者だったのかも釈然としないですし、ラストのドンデン返し的な要素も『だから何だよ』って感じの印象。
総評としましては、ちょっと捻りが効いてそこそこ良く出来た『ドッペルゲンガーを題材としたサスペンススリラー映画』ですね。
そこそこ悪くない部分もあるのですが、「ゲット・アウト」のようなもうちょっとパンチが効いた作品を期待してたので、ちょっと肩透かしだったかなぁ?
映画そのものの完成度は低くないですし、作品テーマとしては面白い内容ではあると思うので、設定とかが気になるようであればチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。