NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アップグレード」(55点/アクション)

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■■■「アップグレード」■■■
(55点/アクション)

 近未来。
 高級スポーツカーを取り扱うメカニックのグレイは、ある日、顧客へと車を納品後に妻と夜のドライブをしていたところ、謎の集団の襲撃を受け、妻を殺害されたうえに自分自身も『全身麻痺で首から下が全く動かなくなる』という重傷を負わされてしまう。

 事件から3カ月後、なんとか退院しつつも絶望の日々を送る彼の元へ、元顧客である義肢や軍事技術を扱う『エロン社』のCEOから、最新のAIチップである『ステム(STEM)』を脊髄に埋め込んで制御することで全身のコントロールを取り戻すという、非合法な最新技術の治験に極秘で協力して欲しいと打診を受ける。

 半信半疑で手術を受ける事となった彼だが、果たして最新AIが肉体をコントロールする事によって、人間離れした『驚異的な運動神経』や『遠隔で他のAIをハッキングできる』という超人的な能力を獲得。

 それ自身が意思をもったAIの『ステム』と協力して、彼の妻を殺した謎の集団に復讐を果たすべく、超人的能力を駆使しての事件の調査を開始するが…
 
 
 謎の組織による襲撃で妻を殺され自信も全身麻痺となった男が、最新のAIチップを肉体に埋め込む事によって超人化して、妻を殺した何者かに復讐を果たそうとする…というSF風味のアクション風味のSFサスペンス映画。

 いわゆる近未来を舞台としたアクションSF作品なのですが、『事故で全身麻痺になった男性が脊髄にAI操作による制御チップを埋め込む事で、肉体の制御を取り戻しつつ超人的な能力を得る』という、いかにも『ありそうな未来』を描いたなかなか面白いプロットの作品です。

 『超技術や遺伝子操作で超人化』というと、いかにもアメコミ的で非現実的な印象を受けますが、『AI制御のサポートで肉体の動作を最適化』だと『近い将来に実現するかも?』というようなリアリティが感じられるのが面白いですね。

 また主人公をサポートするAIがナイトライダー」のKITよろしく独自の知性を持っており、目的を達成するためには敵を殺すことも厭わない(いとわない)冷酷なAIと、超人的な力を持ったものの人間的な心もった主人公が、会話をしつつやりとりする様子なんかが『バディもの』的なノリで描かれるのも良い感じ。

 また主人公がAIで肉体制御することから、人間の運動能力の限界のようなパワフルさを発揮しつつ『ロボットダンスのような人間離れした動きで戦う』という設定も面白いですし、主人公に敵対する謎の集団も『ハイテク兵器やナノマシンを体内に内蔵したサイポーグ兵士』だったりと、サイバーパンク超人バトル的なノリも熱くて面白いです。

 ただ設定やらプロットは抜群に良い感じなのに、肝心のストーリーの部分がいま一つな感じなのは残念なところ…

 謎解き的な部分に主人公の能力が活かされる部分は殆ど無くて、意外性を狙ったっぽい『事件の真相』的な要素も、やや唐突すぎてちょっとグテグテ気味。

 超人バトル的なアクションシーンもちょっとボリューム不足ですし、お話にしてもアクション要素にしてもカタルシスが薄くて、どうにも物足りなさが残る印象なんですよね。

 オチもなんかスッキリしない終わり方ですし、題材は良いのだから変に捻るよりの、TVシリーズ化とかを目指して王道を行くようなストーリーの方が良かったんじゃないかなぁ?
 

 総評としましては、そこそこ良く出来た『サスペンス風味のSFアクション映画』って感じの作品です。

 不満点もあるものの、サイバーパンク的なノリとか個性的な設定とか色々と見どころのある内容ではありますので、気になっているならばチェックしてみても損はない一本だと言えるでしょう。

 いわゆるTSUTAYA先行』系のレンタルビデオの作品なのですが、個性的で光る部分もあるものの物足りない部分も多いという、いかにも『TSUTAYA先行/独占』作品にありがちなノリのタイトルでしたよ…