NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブライトバーン/恐怖の拡散者」(55点/サスペンス)

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■■■「ブライトバーン/恐怖の拡散者」■■■
(55点/サスペンス)

 カンザス州の田舎町のブライトバーン。

 不妊のため子宝に恵まれないことに悩むトリとカイルの夫妻は、ある日、森の中に墜落してきた宇宙船のポッドのような奇妙な物体のなかで発見した赤ちゃんを、人間ではないと知りながらも『天からの授かりもの』だと考え、ブランドンと名付けて自分たちの子供として育てる事となる。

 それから10年後、聡明で健康な少年へと成長したブランドンだったが、12歳になった直後からまるで何者かに操られているかのように粗暴で反抗的な態度を取るようになっていく。

 最初は思春期による反抗期ではないかと考えていた夫妻だったが、彼が徐々に『普通の人間ではない超人的なパワー』を発揮するようになり、更には町で不審な行方不明事件や事故死が連続して起こるようになっていったことから、ブランドンの態度に疑いを抱くようになるが…
 

 宇宙から訪れた超パワーを持った少年は、実は人類を恐怖へと陥れる邪悪な存在だった…という設定の、SFサスペンスホラー映画。

 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン製作による作品で、『宇宙から落下してきた少年時代のカル=エル(スーパーマン)が、実はとんでもない悪党だったら』みたいな設定の作品ですね。

 プロットを観れば分かる通りに、基本的には「スーパーマン」をモチーフとしたブラックジョーク的なノリの映画として作られており、『宇宙から謎のカプセルに入って落下してきた子供を田舎町の夫妻が育てる』という設定から始まり、超人である少年の発揮する能力も、空を飛んだり超パワーを発揮したり目から光線を発射したり…といった具合に、そのまんま「スーパーマンなのが笑わせてくれます。

 ただアメコミのパロディ的なテイストの内容から、てっきりアメコミの『ヴィランもの』のようなアンチヒーロー的なノリのアクション映画かと思いきや、実際の中身の方はかなりガッツリと作りこまれたしたホラー映画という感じの印象。

 ゴア的な描写が割と強めのなかなかの残虐ファイトっぷりで、予想以上にガチのホラー映画として楽しませてくれます。

 少年のアメコミヒーローを歪(いびつ)にデフォルメしたようなコスチュームもなかなか不気味で良い味を出していますし、全体的にブラックなユーモアを感じさせてくれるのは良い感じ。

 ただプロットは抜群に面白いのですが、肝心のストーリーの方がサスペンスホラー映画として面白いかと言われると、やや微妙なところなんですよね…

 少年が『スーパーマンばりの超能力』を持っているという設定の割には全体的にお話が小規模で、ほぼ主人公夫妻の周辺のみで完結しているため、どうにも地味な印象。

 超能力もそこまで効果的に虐殺に発揮されずに、やや物足りなさを感じてしまう内容だったので、ホラーとして描くならもっと超パワーを使いまくって残虐行為を行いまくって欲しかった。

 お話の展開も冗長とはではいかないものの少しスローテンポな感じで、全体的に勢いに乏しく盛り上がりに欠けるのも辛いところ。

 『少年スーパーマンが悪役として殺人を繰り広げる』という設定なら、もうちょっと派手な展開があっても良かったんじゃないかなぁ?

 また、どうせ「スーパーマン」を題材としたブラックジョークとしても描くなら、『そこまでやったら怒られるぞ』ってぐらいに、もっと徹底してパロディ的なネタを仕込んで欲しかったですよ。

 なんかイデアとしては面白いのですが、どうにも物足りなさを感じる部分の多い作品でしたよ…
 

 総評としましては、そこそこ良く出来た『スーパーマンのブラックジョーク的なSFサスペンスホラー映画』という感じの作品ですね。

 物足りなさはあるものの題材としては面白い内容ですし、作品そのものの完成度も低い訳ではないので、気になるようならばチェックしておいても損はない一本だと思います。

 ただ作品の題材の割にはゴア描写が強めで、割とガチのホラー的なエグいシーンが多いので、そういうのが苦手な人は要注意ですよ。