NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ドント・イット THE END」(55点/モンスター)

 f:id:uei_nanigashi:20200406080156j:plain

■■■「ドント・イット THE END」■■■
(55点/モンスター)

 20年前のモロッコ
 アリ、ナディア、ステファン、サミールの4人の子供たちは、ある日、不審な男に追いかけられて、怪物が出現するという噂のある『フランス屋敷』と呼ばれる洋館の廃墟へと逃げ込むが、その場所で巨大な目玉を持つ黒い怪物と遭遇。

 怪物の襲撃を受けた事が原因で、サミールが拉致されて行方不明となってしまう。

 それから20年後、それぞれにトラウマを抱えたまま暮らす彼らの周辺で、子供たちの失踪事件が続発。

 成年し刑事となったアリは、子供の失踪事件が過去に自分たちの遭遇した事件と関係があると考え調査を開始するが、そんな矢先に20年前に行方不明となっていたサミールが、事件の重要参考人として彼らの前に姿を現し…
 

 少年時代に『子供を食らう怪物』に遭遇した子供たちが、大人へと成長し再び怪物と対峙し怪物を撃退しようとする…という、ロッコ製のモンスターもの風味のオカルトホラー映画。

 1年ほど前に「ドント・イット」という『「イット」類似タイトルっぽい邦題の作品』が発売されており、そちらの続編っぽいタイトルがついていますが、当然のように前作とは何の関係もないお話です。(そもそも、前作はモロッコの映画じゃないし…)

 確かに本作はお話のプロットやらに「イット」を髣髴(ほうふつ)とさせる部分が多く、実際に「イット」に影響を受けて『モロッコ版イット』を目指して作られた作品ではないかという気がするので、むしろ「イット」っぽいタイトルを付けるのに相応しい内容という印象ですね。
 (というか、なんで『続編っぽいタイトル』にしたのかの方が謎。)

 お話としては、『過去に怪物に遭遇した事で仲間の一人が行方不明となった子供たち4人が、再び怪物が出現したことを契機に集合し怪物と対峙する事となる…』というような展開。

 前述のとおり割と「イット」を意識したっぽい部分が多くて、少年時代の怪物と遭遇するシーンやら、怪物との遭遇を契機に少年たちが『約束』をするシーンがノスタルジックに描かれてみたりといった具合に、なんとなく「イット」を連想させるシーンが多く描かれます。

 ただ、主人公たちの過去のシーンと現在のシーンの時間軸を行ったり来たりしながらお話が描かれるという構成のため、お話がちょっと分かりづらくて微妙にストレスの溜まる原因になってしまっているのは残念なところ。

 展開にも謎解きにも『なんじゃそりゃ?』って感じのシーンが多くて、観ていてどうにもモヤモヤしてしまいます。

 お話の構成は微妙ながらも、主人公たちと対峙する「ブガタトゥ」という子供を食らう怪物の存在感は素晴らしく千と千尋の神隠し」のカオナシを滅茶苦茶リアルにしたようなデザインも不気味で怖いですし、子供を丸呑みしようとする襲撃シーンなんかも非常にインパクトがあります。

 しかし、怪物の存在感は素晴らしいのですが主人公たちのキャラクターの方は微妙で、「イット」の主人公たちのように主体性がなくて『なんとなく事件に巻き込まれている』みたいな消極的な対応で、加えて怪物の方には弱点らしい弱点がなくて打開策がないせいで、主人公たちと怪物との戦いがいま一つ盛り上がりに欠けるんですよね。

 実際、『こんなのどうやってオチを付けるんだろう?』と思いきや、オチらしいオチのないモヤっとする投げっぱなし的な終わり方だし…

 「イット」を真似るのであればプロットだけじゃなくて、むしろ青春もの的な爽やかなところとかカタルシスとかを真似して欲しかったところですよ。

 ちなみに、本作に登場する「ブガタトゥ」という怪物に関しては、自分は聞いたことがなかったのでネットで検索してみたのですが、検索しても『この映画の感想』ぐらいしかヒットしなかったため元ネタ的なものが存在するのかは不明でした。(よほどマイナーな怪物なのか、もしくは翻訳の際に変な感じに翻訳されてしまっているのか…)
 
 
 総評としましては、お話の難解さとかも含めて『いま一つスッキリしない感じのオカルトサスペンス映画』という感じですね。

 『モロッコ版なんちゃってイット』って感じの内容ではあるのですが、「イット」のような爽やかさや人間ドラマ要素を期待していると肩透かしを食らう感じ。

 まあ『モロッコ版イット』という時点でかなりレアな作品ですし、怪物のデザインやらインパクトやらといったそれなりに観るべき要素もあるので、気になるようであればチェックしておいても良いかもしれませんよ。