NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ジョーズ キング・オブ・モンスターズ」(40点/オカルト)

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■■■「ジョーズ キング・オブ・モンスターズ」■■■
(40点/オカルト)


 幼いころに海難事故にあった事がトラウマで、毎日のように『サメに襲われる悪夢』を見るようになったエヴァは、恋人と共に精神科医であるノバク博士の開発したという『悪夢を防ぐ新薬』の治験に参加することとなる。

 治験に参加するために人里離れたロッジへと訪れた彼らは、その場所に集まった人々の全員が『自分と同じような悪夢』を見ていることに驚かされつつも、やがて治験を開始。

 しかし薬を飲んでからというもの、彼らの症状は改善されるどころか悪化し、悪夢の中で負った傷が現実のものになり、更には『夢の中からサメが現実に姿を現そうとする』という異常な現象を目撃。

 やがて、彼らの見ている『サメの登場する悪夢』には恐るべき秘密があることが判明する。
 

 人間の悪夢の中に棲むというサメの神『カウフフ』によって命を狙われた若者たちの味わう恐怖を描く、オカルトサスペンス映画。

 タイトルやら作品の紹介文を見ると、いかにも何十メートルもあるような巨大ザメの登場する怪獣映画かのような印象を受けますが、実際の内容の方はハワイに伝承として伝わる『カウフフ』という『人間の夢に入り込むというサメの神』が登場する、オカルト風テイストの強い作品ですね。

 ちなみに、作品の解説にある『体長10mで潜水艦をも破壊し、弾丸よりも鋭い25cmの牙であらゆるものを噛み砕く』みたいな要素は一切登場しなかったのですが、この作品解説を書いた人はカウフフに操られて白昼夢でも見ていたのじゃないかと、ちょっと心配になるレベル。
 (なお原題は「NIGHTMARE SHARK」なので、こちらの方がよほど映画の内容に忠実なタイトルという印象。)

 ちなみにB級ホラーでお馴染みのSyfyピクチャーズによる作品、『ハワイの伝承に登場するサメの神』を題材として扱うという、なかなか珍しい題材を扱った内容ですが、映画の完成度としては『低予算で微妙な方のSyfy作品』といえば、B級ホラーファンならなんとなく完成度の予想がつくのでは無いかと…

 お話としては、『幼いころからサメに襲われる悪夢に悩まされる女性が治療のために新薬の治験に訪れるんだけど、じつはそこに集められた人々は同じような悪夢に悩まされる人たちで、彼らはサメの神である「カウフフ」に取り憑かれており、彼らを集めた医師はカウフフの復活を目論んでいたのだった…』みたいな感じのストーリー。

 この『カウフフ』が人間の悪夢に入り込んで人間を攻撃して来るのですが、夢の中で傷を負うと現実にもダメージを受けたり、夢の中から現実に進出してこようとしたりと、まるでエルム街の悪夢のフレディのような攻撃を仕掛けてくるので、エルム街の悪夢ザメ」みたいな話とでも言えばイメージが湧きやすい印象かも?

 またこの悪夢ザメが、様々なシチュエーションで人間を攻撃してくるのはなかなか面白くて、地面の中を泳いで追ってきたり、砂漠に巨大な背ビレが出現したりするシーンは、なかなかインパクトがあって良い感じ。

 でもシチュエーションの豊富さの割には、肝心の『人間が襲われるシーン』がいま一つ少なくて、どうにも盛り上がりに欠けるのは困りもの。
 もっと登場人物を増やして、夢世界でバンバン人間を食いまくって殺しまくって欲しかったです。
 

 また、肝心のカウフフもカウフフを復活させようとするマッドサイエンティストも、いま一つキャラクターが薄くてやや面白みに欠けるのは困りもの。

 カウフフにしてもマッドサイエンティストにしても、設定の突飛さにキャラが負けてしまっている印象があるので、もっと濃いキャラ付けをした方が良かった気がしますよ。
 ストーリー全般に関しても、お話が核心に迫るまでが長めでやや冗長さを感じてしまう構成のは残念なところ。
 
 ちなみにラストは、唐突過ぎて何を言いたいのかサッパリ分からなかったのですが、あれ結局カウフフと主人公はどうなったのよ?
 (というかカウフフって磁石にくっ付くの?、実はナノマシンなの?)
 

 総評としましては、なんというか『いま一つな印象のサメものオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。
 
 題材やら設定には割と見るべきところがありますし、アイデアとしては悪くなかったと思うので、もうちょっとイキオイのある作品に仕上がっていれば、個性的で良い感じの作品になったんじゃないかなぁ…
 (もしそういう方向性の続編が作られれば…あるいは…?)
 
 特にオススメするような内容ではないですが、『悪夢ザメ』という設定はネタとしては悪くないので、サメ映画が好きでネタ映画として気になる人はチェックしておいても面白いかもしれませんよ。