■■■「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」■■■
(60点/アクション:結構オススメ)
(60点/アクション:結構オススメ)
捕虜仲間の戦車兵とともに、鹵獲(ろかく)された「T-34」に乗って戦うこととなった彼らだが、実弾は与えられず標的として撃破される予定だった。
しかし、奇策を講じて6発の実弾を手に入れる事に成功した彼らは、演習の合間にドイツ軍の隙を突いて収容所からの脱出計画を実行に移すのだった…
戦車好きのミリオタの間で高評価されたり、「ガールズ&パンツァー」でもお馴染みの上坂すみれがナビゲートする動画が制作されたりと、一部のファンの間で話題となった本作ですが、前評判に違わずなかなか良く出来た作品ですね。
戦争映画ですが、戦争の『悲惨さ』や『怖さ』といったものは一切描かれずに、ひたすらヒロイックな部分だけを強調して描いた一点突破的な内容の作品という感じです。
本作のウリとなる部分は、何といっても『戦車同士の戦いのカッコ良さ』の一言に尽きます。
『戦車の砲弾』の視点で描いた砲撃の映像とか、西部劇のクイックドロー(早撃ち対決)のような一騎打ちとか、随所に盛り込まれたとにかくカッコいい迫力満点の映像表現が痺れさせてくれます。
またカッコ良さに全振りしている割には、『T-34の主砲ではパンターの正面装甲は破れない』という史実を取り入れて居たりとリアルな部分もあったりして、敵を倒すために待ち伏せしたり不意打ちをかけたりと、知恵と工夫と度胸で状況を打開していくという展開も、なかなかカタルシスがあって良いですね。
(まあ現実には、あそこまで至近距離なら普通にパンターの正面装甲も撃ち抜けそうな気がしますけど…)
まあ厳密には『そんなアホな』ってシーンも多いのですが、この辺の嘘だと分かっていても楽しめるレベルの『フィクションとリアルのバランス』が非常に上手く取れており、『戦車好きの監督が作ったんだな』というのを感じさせてくれます。
主人公とライバルとなる敵の士官のキャラも良く立っており、ドイツ軍VSソ連軍の『ライバル対決』的な展開も熱いですし、『熱さ』と『カッコ良さ』に関してはホントにピカイチの作品だと言えるでしょう。
ただ非常に熱くて楽しい映画なのですが、若干の不満点を挙げるとしたら見せ場となる『戦車戦のシーンが思った以上に少ない』という事かなぁ?
山場となる部分はカッコ良いのですが、出来ればもうちょっと派手にドンパチするシーンを見せて欲しかったですよ。
あと、取って付けたような恋愛要素は蛇足だったと思うので、『あの辺のシーンは無理に必要なかったんじゃ…』って気がしたのは自分だけですかね?
総評としましては、『なかなか良く出来た戦車もの良作戦争アクション映画』といった感じの作品ですね。
『とにかくカッコいい戦車アクションもの』を観たいという人であれば間違いなくチェックしておいても損はない一本だと思います。
(「ガルパン」とか「World of Tanks」とかの、アニメとかゲーム的なノリが好きなら間違いなく楽しめるかと…)
ただ逆に『ヒロイックな要素』に全振りした作品であるが故に、いわゆる戦争映画的な『テーマ性』のようなものは皆無なので、そういうシリアスなノリに期待してる場合は要注意かもしれません。