NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デッド・シティ」(60点/モンスター)

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■■■「デッド・シティ」■■■
(60点/モンスター)

 妻を病気で亡くした免疫学者で医師のアダムは、新たな生活を始めるために幼いひとり息子のミゲルを義父母の実家に預けて、引っ越しの準備をしていた。

 その頃、ベネズエラの首都のカラカスでは、ドラッグを使った若者を発端として謎の感染症が発生。
 『患者に噛まれた人間を狂暴化させてゾンビのようにしてしまう』というそのウィルスは、またたくまに市中に広まり都市部は大パニックに陥ってしまう。

 郊外の自宅に居たためなんとか被害を逃れたアダムは、パニックによって音信不通となった義父母の元へミゲルを救出に向かおうとするが、そんな矢先に軍から疫学の専門家として事態の終息に協力して欲しいという依頼を受け…
 

 謎のゾンビウイルスのパンデミックに巻き込まれた医師が、離れ離れになった息子を探しつつ事態の終息を目指して奮闘する…という、ベネズエラ製のゾンビものモンスターパニック映画。

 ベネズエラ/メキシコという南米で制作されたゾンビ映画ですが、最近のゾンビものとしては逆に珍しい、ソンビ感染症によるパニックを大真面目に描いた正統派の作品です。

 お話としては『都市部でのゾンビウイルスのパンデミックを知った医師が、郊外にも押し寄せてくるゾンビの襲撃を逃れながら離れ離れになった息子を救うために旅をする(あとついでに治療法を研究する)』という感じで、いわゆるロードムービー的なパニック映画という印象

 ストーリーは全体的に到ってマジメに作られており、全体的にグロ度は控えめながらもパニックシーンにお金をかけて制作されているのが感じられますし、28日後....」のように全力疾走で襲ってくるゾンビの群れもなかなか迫力があって怖いです。

 主人公が『郊外の町で感染の拡大の様子を俯瞰的に体験する』という構成もなかなかリアリティがありますし、人の少ない郊外が舞台でありつつも要所要所で『街で起こっているパニックシーン』なんかが挟まれるため見せ場もそこそこありますし、ゾンビの襲撃シーンにスピード感があるためテンポ良くお話が進んでいくのは良い感じ。

 ただ、ロードムービーとしては主人公のキャラが若干弱めで、途中で出会う人たちも物凄くアッサリとバタバタと死んでいくので、やや盛り上がりに欠ける部分があるのは残念なところ。

 あと主人公の行動も、息子を助けに行きたいのか治療法を探したいのか判然としないため、お話の着地点がなかなか見えてこなくてちょっとモヤっとしてしまいましたよ。

 また、同じような展開のゾンビの襲撃シーンが何度も繰り返されるせいでちょっと冗長な印象を受けてしまったので、その辺はもう一工夫欲しかったかも…

 でも、本編終了後のパンデミック終息の世界での生存者へのインタビュー』を描いたっぽい『ドキュメンタリーフィルム的なオマケ映像』は、今のご時世だけあって非常にリアリティが感じられるうえに、社会派作品的な印象があって面白くて良かったです。
 

 総評としましては、『物凄くマジメにシッカリと作られた佳作レベルのゾンビものモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。

 軍隊の設定や科学設定とかにややツッコミどころもありますが、そういう部分を差し引いても良く出来ている部分が多く、なかなか楽しめる内容だと思います。

 ガチ系のゾンビ映画を求めている人にとっては、久々の良作となる作品だと思いますので、気になっているのであればチェックしておいても損はない一本だと思いますよ。