■■■「ウィッチクラフト 黒魔術の追跡者」■■■
(60点/オカルト:結構オススメ)
(60点/オカルト:結構オススメ)
魔女として育てられ、黒魔術の力を扱う能力を持ったセレナは、その不思議な力ゆえに周囲から不気味な存在と見られながらも、魔力を私利私欲のために悪用することなく、高校生の娘であるベレンと共にシングルマザーとしてつつましい生活を送っていた。
そんなある日、ベレンが友人のファティマたちと共にアルバイトをする事になるが、そのアルバイトは実はギャングによる地下売春組織の罠で、集まった少女たちは性奴隷として売られるために監禁されてしまう。
娘の危機を魔力によって察知した彼女は、警察に娘の危機を訴えるも取り合って貰えず、同じように組織によって誘拐されたファティマの父・リカルドと協力して娘たちの行方を追う事となるが…
魔女の力を操るシングルマザーの女性が、地下売春組織によって誘拐された娘を救うためにその黒魔術の力を解き放つ…という、オカルトサスペンス映画。
アルゼンチン製なうえにやや特殊な設定の作品ということもあってか、あまり話題にもなっていなかった作品ですが、なかなかどうして意外と良く出来たダークファンタジー風味のサスペンス映画となっています。
お話としては『バイトと称して少女たちを集め監禁するという地下売春組織によって娘をさらわれた黒魔術の力を持った女性が、同じように娘をさらわれた友人の父親と協力して娘の行方を追うこととなるが、そこには思いがけぬ巨悪が存在しており…』というような展開。
いわゆる『クライムサスペンス+ダークファンタジー』って感じの内容なのですが、どちらの方向にも割とガチな作りで、かなりシリアスなノリの作品という印象。
南米の社会の闇と黒魔術との対決というダークなテイストなんかも良く出ており、雰囲気映画としてもなかなか良く出来ています。
主人公が行使する黒魔術も『ヒーロー的な力』ではなく、アクマで『痛みや代償を伴うもの』で、娘を救う力を得るために色んなものを失いながらボロボロになりつつも売春組織に立ち向かっていくという主人公の姿は、鬼気迫るものがあって見ごたえがあります。
売春組織も実は背後で警察と繋がっていたりと意外に先の読めない展開で、サスペンスとしてもまあまあ面白いのも良い感じ。
ただ、キャラクターや雰囲気は非常に良い感じなのですが、低予算のせいか映像が全体的に安っぽくて、特に画面のエフェクトなんかが作りもの感まるだしでチープな印象が拭えないのは残念なところ。
あと『誘拐された娘』の側のキャラクターの描かれ方がやや薄くて、親子ドラマとしても弱くなってしまっているのも惜しいです。
ラストとかもちょっとアッサリしすぎな印象だったので、もうちょっと派手に盛り上がる展開があっても良かった気がしますよ…
総評としましては、意外と良く出来た『独特のテイストを持ったクライムサスペンス風味のオカルト映画』って感じですね。
なかなかダークでシリアスな内容なので、ダークファンタジーとかの系統の作品が好きであれば、楽しめる作品だと言えるでしょう。
とりあえず独特の世界観や雰囲気が気になっているようであれば、チェックしておいて損はない一本ではないかと…