■■■「グッド・シリアルキラー」■■■
(60点/サスペンス)
(60点/サスペンス)
高校で教師を勤めるエヴァンは、学校ではカウンセラーとして生徒たちに親身になって相談に乗り、自宅では妻と共に生まれたばかりの息子の面倒をみる妻をねぎらい、良き教師、良き夫として過ごしていた。
しかし、幼い頃に父親から虐待を受けていた彼は、生徒を虐待する親たちに対して怒りを抱くようになっていく。
そして、育児のストレスから過激な考えに取り憑かれてしまった彼は、生徒たちの虐待親を拉致して殺害するという狂気の殺人鬼と化していくのだった…
幼い頃に虐待を受けた教師が、生徒たちに虐待をおこなう『毒親』を殺す連続殺人鬼になっていく…という、サスペンススリラー映画。
割と常に安定した完成度の高い作品を提供してくれるブラムハウスによる新作サスペンス映画ですが、本作もまあまあ完成度の高い感じの内容になっています。
お話としては、『高校で生徒たちのカウンセラーを行う高校教師の男性が、過去に受けた虐待のトラウマと育児ストレスから過激な考えに取り憑かれていき、子供を虐待する親を狙う連続殺人鬼になっていく…』という感じの展開。
教師がトラウマとストレスにより徐々に狂気に駆られていくという、設定としてはありがちな感じの内容ですが、『生徒たちを虐待する親を殺すことでストレスを解消する』という設定はなかなかアクが強くて面白いですね。
もともと感情の希薄そうな主人公が、ストレスで徐々に変化していく姿もなかなか丁寧に描かれていますし、主人公が『毒親』を殺害する動機に関しても、『義憤に駆られて』というよりも明らかに『自分のストレス解消の大義名分のため』というサイコな感じなのが、ブラックでパンチが効いてて良い味を出しています。
単に『サイコな活動に歯止めが効かなくなり、徐々に行動が過激になっていく主人公』を描いた作品かと思いきや、中盤から予想外の展開に突入していくのも先が読めなくて面白いですね。
ただ主人公の立ち位置が善とも悪とも取れない印象なのに加えて、無味乾燥で微妙にキモい不気味なキャラクターのせいであまり感情移入が出来ずに、観ていていま一つ盛り上がりに欠ける感があるのは残念なところ。
また、お話は非常にスピーディでテンポも良いのですが、殺害シーンも日常シーンも同じようなペースで展開していくので見せ場に乏しくて淡々とした印象を受けてしまいました。(まあ、淡々と殺人が行われていくのが怖い部分ではあるんですけど…)
ラストのオチも捻りが効いてて悪くはなかったですが、どうせああいうオチにするなら、もうちょっとブラックな要素が強くても良かったかも?
総評としましては、ブラムハウスらしい『なかなか良く出来た佳作サスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。
強く推すにはやや弱い部分もありますが、そこそこ捻りも効いててサスペンスとしては悪くない一本だと思います。
『手の付けれない毒親を教師が殺害してまわる』という設定が既に個性的で面白いですので、そういった設定に惹かれる部分があれば、チェックしておいても損はないかもしれません。