■■■「エスケープ・ルーム」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
イリノイ州のシカゴの街。
内気な理系女子学生のゾーイ、気鋭の投資家のジェイソン、冴えないフリーターの青年ベン、イラク帰りの帰還兵アマンダ、中年のトラック運転手マイク、ゲームマニアの青年ダニーという6人の面々は、旧友や知人からミノス社という謎の企業が主催する「エスケープ・ルーム」という脱出ゲームの招待状を受け取る。
オフィス街の一室に集められた彼らは、『ゲームをクリアした勝者は1万ドルが与えられる』という簡単な説明のみを受け、鍵のかかった部屋に閉じ込められた状態でゲームをスタート。
セオリーに乗っ取り、部屋に隠された謎を解くための手がかりを集め、パズルをクリアしてステージを進めていく事となるが、各ステージに仕掛けられたトラップは参加者の命を奪おうとするような危険なものばかりだった。
彼らは恐怖を感じつつも、なんとかして死の罠の仕掛けられたゲームからの脱出を目指すこととなるが…
死の罠が仕掛けられた命がけの『脱出ゲーム』に強制的に参加させられる事となった6人の男女が、なんとかして無事にゲームからの脱出を目指す…という、サスペンススリラー映画。
いわゆる「CUBE」や「SAW」のようなタイプの『死のゲーム』を題材としたサスペンススリラー映画ですが、超低予算のシチュエーションスリラー作品が多いこのジャンルとしては、なかなか気合が入った内容でシッカリ作られた作品ですね。
お話としては、『「ゲームの勝者には1万ドルを進呈」という招待状を受け取って、6人の見知らぬ男女がとある商社ビルの一室に集められるが、実はその時点ですでにゲームはスタートしており、更にはその内容とは実際の命をかけた恐るべきデスゲームだった…』みたいな割とありがちな設定。
参加者たちは『各ステージに隠されたヒントを元に脱出するためのパズルを解く手がかりを探す』という基本に忠実な感じの展開なのですが、ありがちな設定ながらも、各ステージに準備されたギミックが非常に面白くて凝っており、『オフィスビルの一室』からスタートして『雪山(立体映像という設定)』やら『逆さまになった酒場』やら『巨大病院』といった、とても屋内施設とは思えないような多彩なシチュエーションで、シチュエーションスリラーにありがちな低予算さや閉塞感を全く感じさせない作りなのは良い感じ。
また、各ステージが『主人公たちの過去のトラウマに関連して作られたもの』という設定も面白いですし、主人公たちの命を狙うトラップもなかなか凝っており、各ステージでどんな仕掛けが飛び出してくるかというのが全く予想できないのも良く出来ています。(特に『床の抜ける酒場』のトラップ(床下は超高層ビルの吹き抜け)は迫力があって面白かったです。)
『謎解き』そのものも割と面白い作りになっており、本当に凝った作りの『脱出ゲーム』の実況を観ているような感じで楽しめる内容になっているのも悪くありません。
ただ、シチュエーションやらステージのギミックやらが気合の入った作りになっているのは良いのですが、映画のその他の部分が微妙にツッコミどころが多いのは残念なところ。
部屋のギミックが『過去に参加者たちが体験した事故のトラウマ』が題材になっているのは良いのですが、どう考えても『本人しか知り得ない事実』がギミックに仕込まれているのは流石に無理がありすぎ。(本人以外が死んでる状況で『事故の時に歌っていた歌』とかどうやって調べたんだよ…)
また、『参加者のトラウマを題材にしたトラップ』がお話の流れのなかであまり効果的に機能しておらず、謎を解くためにキャラクターの個性を活かしたり、シチュエーションの面白さを出すための要素になっていないのも残念なところ。
あと、中盤までの展開は非常に面白いのですが、終盤はちょっとグテグテな感じになってしまい、ラストに近づくほど盛り明かりが尻すぼみになってしまった感があるのも気になったところかなぁ?
オチの展開もちょっと蛇足感があったので、もっとシンプルにまとめても良かった気がしますよ…
総評としましては、予想以上に凝った作りの『なかなか良く出来たデスゲームものシチュエーションスリラー映画』という感じの作品です。
シチュエーションスリラーにありがちな低予算感や、閉塞感から来る退屈さもあまり感じさせない内容で見ごたえもあるので、そういった『デスゲームもの』やら『脱出ゲームもの』が好きであれば、なかなか楽しめる一本だと言えるでしょう。
設定やらが気になっているのであれば、普通にオススメできる映画だと思いますよ。