NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アントラム 史上最も呪われた映画」(50点/オカルト)

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■■■「アントラム 史上最も呪われた映画」■■■
(50点/オカルト)


 1979年に、最初の上映の際に劇場で原因不明の火災が発生して50名以上の死者を出し、更には映画を観た業界関係者が次々と不審な死を遂げた事から上映中止となり『呪われた映画』として封印されていた「アントラム」。


 行方不明となっていたそのフィルムが、長年の時を経てドキュメンタリー作家のマイケル・ライシーニらによって発見される。


 彼らはそのフィルムに隠されたの謎を解明し、現代の劇場で上映しようとするが…

 


 40年前に映画を観た人間が次々と謎の死を遂げて上映中止となり行方不明となっていた『呪われた映画』のフィルムが発見され、40年の時を経て遂に公開される…という設定の、モキュメンタリー風味のオカルトホラー映画。


 いわゆる「ブレアウィッチ・プロジェクト」的な、色々なネタが仕込まれたモキュメンタリー作品で、『この呪われた映画が実在するかどうかは不明』みたいなスタンスを取っていますが、まあ『なんちゃってドキュメンタリーだよね』というのが分かる感じのテイストの作品になっています。(なんとなくCGっぽいシーンもあるし、途中で出てきた拷問装置の元ネタの「ファラリスの雄牛」が有名になったのとか割と最近の話だし…)


 冒頭に、観た人間が次々と命を落としたという『呪われた映画』の説明があってから、『何かあっても自己責任で観てください』みたいなメッセージの後に実際の『呪われた映画』が上映されるという構成なのですが、モキュメンタリーとしての雰囲気作りなんかは割と良く出来ていると思います。


 肝心の『呪われた映画』のストーリーに関しては、『家族を噛んだせいで殺処分された愛犬の魂を地獄から救うために森の奥で魔術の儀式を行った姉弟が、本当に地獄への入り口を開いてしまう』という感じの展開。


 ベースとなるお話の不気味なストーリーに加えて、要所要所で『サブリミナル的な映像や音声』やら『心霊的な何か』が映り込んでいるかのような異様な映像が差し込まれるという不気味な構成は良い味を出しています。


 不自然な間の取り方とかも良く出来ており、『ガチでヤバい何かが映り込んでしまっているのかも』と思わせるような不安感を掻き立てるような演出は、なかなか悪くない印象。


 ただ、この『サブリミナル的な映像』がお話が進むに従って自己主張が激しくなっていき、終盤ではややウザいレベルになってくるのはいかがなものかと…


 また『地獄を掘り当ててしまった姉弟の不気味な話はテイストとして悪くはないのですが、肝心のこのお話が『終盤近くまで妙にテンポが悪くて冗長な印象を受けてしまう』のは困ったところです。 (ぶっちゃけ、自分は途中でちょっと寝そうになってしまいました…)


 終盤からは、キ●ガイオンパレードみたいななかなか異様な展開でそこそこ面白くなるのですが、中盤までは80年代テイストを意識した感じのノリなのに、終盤だけ妙に現代ホラー的なテイストになってしまっているのは、どうにも不自然で片手落ちな印象かなぁ?


 また『呪われた映画』の上映の終わった後に、映画に仕込まれた『秘密』に関しての『解説』があるのは面白い構成だと思いましたが、ただ『秘密』の内容に関して語りすぎて、ちょっと蛇足感があったので、ラストの解説はもうちょっとアッサリ風味でも良かった気がしますよ…

 


 総評としましては、低予算な企画映画ながらも『なかなか不気味なテイストを感じれらるモキュメンタリー風味のオカルトホラー映画』って感じの作品ですね。


 本編(?)はちょっと冗長ながらも、色々と仕込まれた演出とか構成とかには面白い部分がそこそこあるので、モキュメンタリー系の作品が好きならばチェックしておいて損はないかも?


 ちなみに個人的には「リング」の呪いのビデオのような、もっと理不尽で『サブリミナルてんこ盛り』みたいなノリを期待してたので、ちょっと肩透かしな印象もありましたが、逆り『割とちゃんとしたオカルト映画』になっているとも言えるので、その辺は好みの別れる部分かもしれません。

 (個人的には、同じような題材を扱った作品では「フッテージ」の方が不気味で好みかなぁ?)