■■■「人面魚 THE DEVIL FISH」■■■
(60点/オカルト)
ある日、台湾のランタンという街で、父親によって家族の全員が殺害されるという凄惨な事件が発生。
犯人の希望で悪魔祓いを行う事となった霊媒師のジーチェンは、犯人に取り憑いた魔神を魚に封印するという儀式を取り行おう事となる。
一方、離婚問題で苦しむ母・ヤーフェイの息子のジャハオは、母親を元気づけるためにビデオコンテストの優勝賞品である旅行をプレゼントしようと考え、その悪魔祓いの様子をビデオ撮影して投稿しようとするが撮影は失敗。
悪魔が封印された魚から稚魚が吐き出されるのを目撃した彼は、面白いビデオを撮影できないかと考え、その稚魚をこっそり持ち帰って自宅の水槽で飼い始めるが、それ以降、母子の周りで異様な現象が起こるようになっていき…
霊媒師によって魔神が封印された魚を持ち帰った少年が、その呪いによって恐るべき事態に遭遇するという、台湾製のオカルトホラー映画。
ビビアン・スーがヒロイン(少年の母親役ってヒロイン?)役で出演しているという事で、ちょっとだけ話題になった台湾製エクソシスト的なオカルトサスペンス作品ですね。
お話としては、『とある一家惨殺事件の犯人に取り憑いた魔神を霊媒師が祓って魚に封印するも、見学していた少年がその魚の稚魚を持ち帰ってしまった事から恐るべき事態に発展していく…』という感じの展開。
家族を惨殺した『悪魔に取り憑かれた男』に取り憑いた謎の魔神を巡って、その秘密を追う形でサスペンス的にストーリーが展開していくという割とオーソドックスな内容ではあるのですが、ホラー映画にしては登場人物が多くて、ちょっとだけストーリーが難解という印象。
『悪魔に取り憑かれた男の家族』と『霊媒師の家族』、『魚を持ち帰った少年の家族』の3つの家族のドラマがパラレルで進行していくので、最初は人間関係が理解できずに少し混乱してしまいました。
また、『3つの家族のストーリー』を追う形でお話が進んでいくせいで、人間ドラマの部分が長めで序盤~中盤がややテンポが悪いんですよね。
特に中盤辺りまでは、オカルト的な要素も薄めでホラー描写もあんまり派手なものが無いため、少し冗長に感じてしまいました。
あと、宗教的な背景の説明もあまりされないので、ちょっとだけ設定が分かりにくいのも気になるところかなぁ?
ちなみに自分は、作中で何度も登場する『虎爺』という言葉が最初は理解できなくて少し混乱しましたよ…(どうやら台湾や中国方面に伝わる『神の使いの聖獣』のようです、台湾の人間なら常識的な内容なのかもしれませんが…)
ただ、逆に中盤までの冗長さとは打って変わって、終盤からの展開は予想外に激しくてなかなか面白いんですよね。
オカルト映画とは思えないような派手なアクションシーンなんかもありますし、ラストバトルも無駄に熱くて良い感じ。
人間関係が複雑な割には、オチの落とし方もなかなかキレイにまとめている感じで悪くないですし、全体を通してみると意外と楽しめた作品という感じでしたよ。
でも、『魚鱗症の少年の設定とか、もうちょっと効果的に使えただろ?』という部分やら、色々と詰め込んだ割には設定に無駄な部分も散見されたので、その辺はもっと効果的に活用するかスッキリまとめるかして欲しかったかも?
(ラストのオマケカット的なシーンも、何が言いたいのか良く分からなかったですし…)
あと、ちなみにタイトルに「人面魚」と入っていますが、我々が想像するようないわゆる『人面魚(シーマンみたいな人間の顔の魚)』の要素は全くありません。(作中で『魔神が取り憑いた魚の胴体に人間の顔が浮かび上がる』といった程度)
そういうモンスター的な要素に期待してると肩透かしを食らう恐れがありますので、そこだけは注意が必要かもしれません。
総評としましては、『意外と良く出来た印象の台湾製のオカルトホラー映画』という感じの作品ですね。
少し冗長な部分もあるものの、作品としては良く出来ていますし割と見どころもある内容ですので、シッカリと作られた佳作ホラーという感じの一本ですね。
『台湾を舞台にした悪魔祓いもの』というジャンルも割と珍しいですし、そういった設定やら舞台やらに興味があるようであれば、とりあえずチェックしておいても損はない作品だと思いますよ。