■■■「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」■■■
(70点/ミステリー:オススメ)
NY郊外の屋敷で、作家で巨大出版社の創設者でもあるハーラン・スロンビーが85歳の誕生日パーティーの翌朝に、自分の首をナイフで切断するという奇妙な自殺を遂げた遺体で発見される。
敏腕探偵と知られるブノワ・ブランは、匿名の人物から大金と事件の調査依頼を受け取ったことから、この奇妙な事件の真相を探るべく警察とともに調査を開始。
ハーランが、その莫大な遺産の相続について親族たちともめていたことを知った彼は、最後にハーランと会ったとされる看護師のマルタこそがこの事件を解き明かすためのキーマンではないかと考えるが…
名探偵が奇妙な自殺を遂げた大富豪の老人の死の謎を追ううちに、その遺産を巡る思いがけない真相へと辿りつく…という、サスペンス要素が強めの謎解き系ミステリー映画。
劇場で公開された際に『なかなか出来が良い』とミステリーファンの間で少し話題になっていた本作ですが、確かにコレは面白いミステリー作品ですね。
お話としては、『とある名探偵が、謎の匿名の人物からの依頼でとある大富豪の「奇妙な自殺」を調査しはじめるんだけど、その事件の裏には遺産を狙う親族たちの様々な思惑が絡み合い、驚くべき真実が隠されていた…』みたいな感じの展開。
割と序盤で『事件の真相』っぽいのが語られるので、「刑事コロンボ」みたいに『主人公が徐々に真相に近づいていく』みたいな流れでお話が描かれるのかな?…と思いきや、そこから更に遺族たちの遺産を巡る思惑やらが絡み合って、事件が更に二転三転していくという先の読めない構成が面白いです。
事件の『容疑者』たちに関するキャラの立て方もうまくて、登場人物が多い割には視聴者が全く混乱せずに状況を把握できる作りなのは、話の組み立てが非常に良く出来ている印象。
またミステリーものとしてはサスペンス要素が強めのノリで、展開が非常にスピーディーで見どころも多く、2時間強という長めの尺の割には全く退屈することなく最後まで楽しめるのも良い感じです。
ミステリーなので、あまりストーリーについて触れるとスグにネタバレになってしまうためその部分には触れませんが、サスペンス要素が強めと言いながらもミステリー部分がおざなりにされているという事がないのも好感触。
ラストの謎解きパートでは、非常にシッカリと『細かい伏線の回収』とかが仕込まれており、『ああ、あれはこういう意味だったのか』と素直に感心できるような作りになっているのも、カタルシスが感じられて上手いです。
ただ、ストーリーそのものは非常に面白かったのですが、不満点があるとしたら主人公である『名探偵ブノワ・ブラン』のキャラが薄いことかなぁ…
名探偵を演じるダニエル・クレイグはなかなかにハマリ役で良い味を出していたのですが、探偵のキャラ自体にいま一つコレといったキャラクター性が感じられない(というか探偵の特徴らしい特徴を説明できない)ため、『シリーズ化とかやり辛そうかも?』という部分は気になってしまいましたよ。
面白かったので、続編とかシリーズ化に期待したいところではあるんですけどね…
総評としましては、非常に良く出来た『良作レベルの謎解きミステリー映画』という感じの作品です。
サスペンス要素が強めで見せ場やらもあって、エンタテイメント作品としてもハイレベルにまとまっているため、ミステリーやらサスペンスが好きな人であれば、ほぼ間違いなく楽しめる良作という感じ。
ミステリー系の作品自体があまり流行らないジャンルですので、そういった系統の作品を求めている人であれば、とりあえずチェックしておいて損はない一本だと思いますよ。(ネトフリの配信にも入っているので、ネトフリに加入してれば無料で見れるようですし…)