NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ストレンジ・シスターズ」(55点/モンスター)

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■■■「ストレンジ・シスターズ」■■■
(55点/モンスター)


 従妹であるウィーナーとモーラーの二人は、モーラーの母であるスロイが妊娠中に、吸血鬼である『ガスー』という怪物になってしまい殺されてしまった事から、二人して姉妹のように育てられることとなる。


 ガスーの血を引くモーラーが、いずれその能力に覚醒すると考えた彼女の父のシンは、モーラーを治療するために呪術や薬学による治療を施しつつ、ウィーナーにはモーラーを狙う魔物が現れた場合に戦えるようにと、様々な呪術や戦闘技術を仕込んできた。


 そして16歳になったある日、モーラーは遂にその力へと覚醒。
 彼女の身柄を狙って、ウィーナーの母を殺したガスーの姉妹・ラートリーとドゥアンダーオの二人が行動を開始し…

 


 『ガスー』という吸血鬼の血をひく少女と、彼女を守って怪物と戦うために呪術や戦闘技術を仕込まれた少女の二人の数奇な運命を描いた、モンスターものアクションホラー映画。


 「マッハ!」の監督によるモンスターホラー映画で、BNK48」のメンバーが出演したことで話題となった作品のようですが、あまり言いたくはないですが悪い意味で『アイドル映画』という印象の強い内容の作品ですね…


 お話としては、『吸血鬼「ガスー」の血を引き、怪物として覚醒する運命を背負った少女と、少女を守るために戦闘技術を仕込まれ姉妹のように育った少女と、彼女たちを狙う怪物との戦いを描くジュブナイルホラー』みたいな感じの展開で、日本だといかにもマンガやらアニメやらでありそうな『中二病的な伝奇ホラー設定』という印象。


 ただ日本のマンガでは無さそうなのは、この吸血鬼である『ガスー』の姿で、『胴体から首が抜け出して脊柱と内臓をぶら下げたまま空を飛ぶ』という強烈なビジュアルは物凄いインパクトがあります。


 『吸血鬼として覚醒して命を狙われる少女』と『彼女を守る運命の少女』という耽美な中二病っぽい設定なのに、もうこの吸血鬼のビジュアルが強烈すぎて耽美さもカケラも感じられませんし、なんならストーリーも頭に入ってきません。(笑)


 ちなみに同じ怪物かはわかりませんが、80年代のカルトホラー映画である「首だけ女の恐怖」でも同じようなデザインの怪物が登場しますし、過去に読んだモンスター辞典に載ってた『世界各国の吸血鬼』みたいな記事でも同じような怪物を見たことがあるので、東南アジア方面では割とメジャーな怪物なのかも?


 とまあ怪物のインパクトは強烈なのですが、映画の中身に関してはやや微妙な部分が多い印象。


 アイドル作品路線を意識しているのか、無駄にヒロインの可愛らしさを強調したようなシーンやら恋愛ドラマ的な要素があったりと、なんとなくダラダラした展開が多くてお話のテンポが遅め。
 ホラー描写も控え目なせいで、全体的にどうにも冗長な印象を受けます。


 主人公が『幼少期から戦闘技術を仕込まれた』みたいな設定の割には、物凄く貧弱そうで全く強そうに見えないのも気になるところですし、格闘シーンや戦闘シーンでもその設定が殆ど活かされていないのも気になります。(「マッハ!」の監督ということで、もっとド派手なアクションシーンを期待していたんですが…)


 『首だけ女』との戦闘もビジュアル的に面白味がなくて(『首だけ女』のビジュアルはインパクト抜群なのですが)、いま一つ盛り上がらないんですよね…


 あと、ヒロイン二人の中二病的な設定の『数奇な運命』もあまり活かされておらず、もっといくらでも面白く出来たと思われる部分が多いのも残念なところ。

 (アクションしかりストーリーしかり、もっとマンガ的な派手な展開にすれば良かったのに…)


 ちなみにBNK48」のメンバーが主演とはいえ、そのヒロインは『首だけ女』になって飛び回るみたいな内容なんですが、ファンの人たちはそれで納得できたのか本作の評価を聞いてみたいところですよ。(笑)

 


 総評としましては、面白そうな設定の割には『色々な意味で物足りなさの残るモンスターホラー映画』という感じの作品ですね。


 全体的には悪くない出来ではあるのですが、『これ、もっと面白く出来たやろ!?』って感じでどうにも不満の残る内容でしたよ。


 まあ『首だけ女』のビジュアル的なインパクトはなかなかのものですので、インパクト重視の設定が気になるようでしたらチェックしてみても良い一本かもしれません。