NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ムルゲ 王朝の怪物」(55点/モンスター)

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■■■「ムルゲ 王朝の怪物」■■■
(55点/モンスター)


 中宗22年(1527年)の朝鮮。
 宮廷の背後にそびえる仁王山(イナンサン)に物怪(ムルゲ)が出現。


 ムルゲは人を食うだけではなくその血液によって疫病がはびこり、接触したものは次々と死に至るという噂から、民衆は恐怖と混乱に陥っていた。


 この怪物の噂を利用して王朝の転覆を狙う反乱勢力の存在に気付いた国王は、怪物の噂を調査して払拭するために、かつて王朝の近衛兵であり在野に下った最強の武士であるユン・ギョムを招集。


 ユン・ギョムは、自分の片腕である同僚のソン、娘のミョンらと共に、怪物と疫病に苦しめられる民衆を救うためにムルゲの調査を開始するが…

 


 16世紀の朝鮮王朝に史実として伝わる『王朝を崩壊へと導いたという怪物事件』をベースとした、歴史もの風味の韓国製モンスターパニック映画。


 お話としては、『朝鮮王朝の近くの山に謎の怪物が出現、怪物の影響で疫病が発生し人々が恐怖に陥ったことから、国王はかつての英雄の率いる怪物の討伐部隊を派遣することとなるが、怪物騒動の裏には恐るべき秘密と陰謀が渦巻いていた…』みたいな感じの展開なのですが…


 本作をどんな映画かと一言で言うと、韓国版ジェヴォーダンの獣みたいな感じのお話ですね。


 『怪物の正体』にちょっとした秘密があったり、超人的な戦闘力を持った4人がチームとなって怪物と戦ったり…といった設定からして、なんとなく実際にジェヴォーダンの獣」をインスパイアされて作られた部分があるように感じます。


 そこに更に加えて『王朝転覆の陰謀』とかってドラマが絡んでくるあたりは、いかにも韓国映画って感じではありますね。(韓国の歴史ドラマって、そういうノリが妙に好きですよね。(笑))


 ただ単純に娯楽映画として観るならば、怪物あり、アクションあり、王朝ドラマありの娯楽作品という事で、まあまあ悪くない印象。


 やや低予算な印象も受けるものの特撮なんかもそこそこ気合が入っていますし、狛犬というか巨大なチャウチャウ(というかチベタンマスチフ?)みたいな怪物のデザインもなかなか不気味で悪くはありません。


 お話のテンポも良くて退屈しないですし、主人公の親子のキャラも良く立っていてヒロインも可愛くて良い感じな印象。


 ただ気になる点があるとしたら、全体的に『色々と詰め込み過ぎ』だなと感じる部分があるところかなぁ…


 『王朝転覆の陰謀』とか『怪物との対決』とか、短い尺の中に色々とエピソードを入れようとしているせいで、一つ一つの要素が非常に薄くなってしまって、全体的に薄味の作品という感じになってしまっているんですよね。


 『怪物の正体』のミスリードとかあんまり意味が無かったですし、『王朝転覆の陰謀』も、単に『怪物が大暴れしたせいでなし崩しに解決』みたいな感じで微妙にスッキリしないうえに盛り上がりに欠けますし、全体的にちょっと中途半端になってしまっている印象。


 個人的にはもっとアクションシーンに尺を割いて、怪物と人間との絡みがガッツリと見たかったというのが正直なところですよ。(せっかく良い感じのモンスターを出しているのに勿体ない…)

 


 総評としましては、『そこそこ良く出来た歴史もの風味のモンスターパニック映画』という感じの作品ですね。


 強く推すほどではないものの、安定して楽しめるレベルには仕上がっているアクション映画ではないかと思います。


 『朝鮮王朝を舞台としたモンスターパニック映画』というジャンル自体が希少ですので、そういう設定に興味があるようであれば観ておいても損はない一本かもしれませんよ。