■■■「サイレント・ウォーター」■■■
(60点/サスペンス)
クリスマス休暇のためにノルウェーの実家を訪れたイダは、ダイバーである妹のトゥーヴァに誘われて久しぶりに山間部の岩場の海中にダイビングに行く事になる。
昔話をしながら海中の散策を楽しんでいた彼女たちだったが、唐突に巨大な岩が海上から落下してきて妹のトゥーヴァに直撃。
トゥーヴァは負傷はしなかったものの、水深30mの海底で岩に挟まれて動けなくなってしまう。
妹を救うために水上に戻ったイダだったが、人里離れが山間部には誰も人が居らず、更には予備のタンクや携帯電話も落石の下敷きになって破損していることを発見。
途方に暮れつつも、タンクの酸素が切れる前に何とかして妹を助け出す方法を模索する彼女だったが…
とある姉妹がダイビング中に落石事故にあい、岩に挟まれて逃げ出せなくなった妹をなんとかして救おうとする…という、パニックもの風味のサスペンス映画。
いわゆる、『水深30mの海中』という閉鎖環境を舞台にしたワンシチュエーションもののサスペンス作品ですが、設定から想像できるとおりに非常に地味な作品です。
ただ、ひたすら地味な内容の割には予想以上に良く出来たサスペンス映画というのが正直な感想。
ダイビングで美しい海中での映像を描きつつも、荒涼とした山間部や海中の岩場という孤独感、酸素切れが迫る海底でのプレッシャーや緊張感が上手く表現されているのは良い感じ。
人里離れた山間部の『海上』と『海中』のみという非常に限定されたシチュエーションながらも、数少ないシチュエーションの中で意外と飽きさせずにテンポ良くお話が進んでいきます。
手元にあるアイテムのみを利用して問題解決していこうとする手法やらもアドベンチャーゲームのようで面白いですし、『割とどうでも良さそうに見えたシーン』が後半での地味に伏線になっていたりするという作りもなかなか良く出来て居います。
また、たいした内容ではないものの『過去の家族の確執』やら微妙に緊張感を盛り上げる要素も上手く組み込まれており、同時に主人公の姉妹のキャラクターがキチンと掘り下げられているのも好印象。
ただ、シチュエーションも舞台も非常に限定されており登場人物も少ないことからいかんせん地味な内容で、全体的にやや盛り上がりに欠ける感があるのは辛いところ。
もうちょっとハッタリを効かせた派手なシーンとかがあっても良かったかも?(敢えて言うなら、最初の船底のシーンが唯一の派手なシーン?)
(逆に、地味すぎるが故に『実際にあった事件』と言われても信じてしまうレベルでリアリティがあるのは良いのですが…)
また、姉妹のキャラは掘り下げられているものの、そこまで魅力的なキャラとして描かれている訳でもないので、やや感情移入度が低いのは残念な部分かなぁ?
あと、お姉さんが矢鱈と物を落っことしすぎで、パニックに陥っているとはいえ『ちょっとおっちょこちょい過ぎるだろ?』とか思ったのは自分だけですかね?(笑)
総評としましては、地味な内容ながらも『非常にコンパクトにまとまった良作ワンシチュエーション系サスペンス映画』という感じの作品です。
シチュエーションが限定的なのでちょっと盛り上がりに欠ける部分はありますが、お話としてなかなか良くまとまっており予想以上に楽しめた内容でした。
ワンシチュエーション系パニック映画とかサスペンス映画とかが好きであれば普通に楽しめる映画だと思いますので、気になっているのであればチェックしておいて損はない一本だと思いますよ。