■■■「ブラック・クリスマス」■■■
(45点/スラッシャー)
『創始者がオカルトに傾倒していた』という奇妙なウワサがあるホーソーン大学に通う大学生のライリーは、女子学生寮の仲間たちとともにクリスマスパーティを開く事となる。
しかしパーティの当日に、先に帰省する予定だった友人の2人が消息不明となり、更には彼女自身にも創立者の名義で『お前のことをずっと見ているぞ』という不気味な差出人不明のメッセージが彼女のスマホへと届く。
彼女は、以前に彼女を泥酔レイプした男性をクリスマスパーティの会場で告発した事が原因で、男子生徒から逆恨みを買っているのではないかと不安を感じるが、そんな矢先になローブと覆面を身につけた不気味な男の襲撃を受け…
過激なフェミニストの友人の助言で自分をレイプした男性をクリスマスパーティで告発した少女が、覆面を着けた不気味な男の襲撃を受ける…というサスペンス風味のスラッシャーホラー映画。
お話としては『とある少女がフェミニストの友人にそそのかされて、自分を泥酔レイプした男性を告発する動画をネットにアップするんだけど、それを契機に寮の仲間たちや彼女自身が「正体不明の覆面の男」に襲撃されるようになり…』みたいな感じの展開。
序盤~中盤までは『クリスマスの夜に覆面の男が連続殺人を繰り広げる』という、いかにもなスラッシャーホラーっぽい展開で『ブラムハウスにしては物凄い普通だな?』と思って観ていたのですが…
中盤からは、唐突にオカルトっぽかったり社会派っぽかったりするような予想外の展開に突入していく辺り、『いかにもブラムハウス』って感じで一筋縄ではいかないノリと内容なのがなかなか面白いです。
ややネタバレになってしまいますが、登場する殺人鬼もいわゆるサイコキラーものかと思いきや、主人公の友人が『過激で歪んだ思想のフェミニスト』だったりして、最終的に過激派フェミニストと男性上位主義者の争いみたいな部分にまで話が踏み込んでいく辺りも、なかなかブラックでパンチが効いています。
という感じで、設定なんかは捻りが効いて面白い作品なのですが…本作が純粋にスラッシャーホラー映画として面白いかと言われると微妙なところなのは困りもの。
まず主人公がレイプを告発するまでが妙にゴチャゴチャしているうえにダラダラしており、特に序盤の展開がダルくて冗長な印象を受けてしまいます。
それに対して中盤以降のお話が動き出してからに関しては、今度は超展開の連発すぎてどうにも置いてけぼり感が強いのは困りもの。
終盤の展開も一見カタルシスがあるように見えつつも全体的にグテグテすぎですし、感情移入しようにも『過激な性差別者同士の争いなんてどっちが勝とうがどうでもいいわ…』という感じになってしまい、いま一つお話に入り込めませんでしたよ。
(まあ、『過剰な性差別主義者にはアメリカも苦労させられてるんだな』という点では共感できましたが…)
ブラムハウスの作品は変化球で攻めるのは良いのですが、その『変化球』自体がお話の面白さに繋がらない場合は、捻った設定が足かせになっていま一つな作品になりがちなのは難点ですねぇ…
総評としましては、やや捻りは効いているものの『いま一歩感のあるスラッシャーホラー映画』というのが正直なところです。
ブラックなネタやら悪くない要素もあるのですが、純粋にホラーとして見るとそこまで面白い話でもない感じかなぁ?
まあでも、ブラムハウスが作っているだけあって割とシッカリと作られた作品ではありますので、題材とかに興味があればチェックしてみても良いかもしれませんよ。