■■■「アフリカン・カンフー・ナチス」■■■
(55点/アクション:結構オススメ(バカ映画好き限定))
1945年。
第二次世界大戦で敗北した日独の指揮者であるヒトラーと東條英機は、連合軍の手を逃れてアフリカへと落ち延び、東條から教わった空手の力でガーナを侵略。
住民を洗脳支配し『ガーナアーリア人新帝国』を設立し、密かに再び世界を侵略するための基盤を築きつつあった。
地元の『影蛇拳』の道場でカンフーの修業をする若者のアデーは、大きな大会を控えてカンフーの修行に明け暮れていたが、そんなある日、『ガーナアーリア人新帝国』が彼らの町を侵略。
ヒトラーたちに反抗したアデーたちの道場は破壊され、師匠も東條の空手によって殺され、恋人のエヴァまで拉致されてしまう。
近々、ヒトラー主催の空手のトーナメント大会が開催される事を知ったアデーは、大会ので優勝してヒトラーと東條の暗殺のチャンスを伺うべく、空手に対抗するために『酔拳』使いのアペテシ師匠の元で修行を積むこととなるが…
第二次大戦を密かに生き延びたヒトラーと東條英機がガーナに潜入して空手の力で『ガーナアーリア人新帝国』を設立し、それに対抗すべく地元の若者がカンフーの力で彼らと戦う…という、トンデモ系のカンフーアクション映画。
ガーナ製の超低予算のアクション映画なのですが、まあ色んな意味でツッコミどころが満載の作品です。
『ヒトラーと東條英機が、密かにガーナで生き延びてる』という設定の時点で割とトンデモなのですが、亡命したヒトラーと東條がガーナを侵略するために空手で闘ったり謎のオカルトパワーで地元の住民を洗脳してみたりとか、色んな意味でやりたい放題。
『矢鱈とムキムキのヒトラー』と『気のいいオジサンにしか見えない東條』が、空手で地元住民と戦うというビジュアルのインパクトは絶大で、それに加えて本気で勘違いしてるのか狙ってやってるのか良く分からない『ナチスと大日本帝国の設定や描写』(謎の漢字が書かれた垂れ幕とかヒトラーの演説とか)の連発もバカバカしくて笑わせてくれます。
ただお馬鹿系のトンデモ設定を除けば、映画としてはかつてジャッキー・チェンとかが出演していた『70~80年代のカンフー映画』そのものという感じで、『悪のカンフー使いによって道場を破壊され師匠を殺された若者が、悪のカンフー使いを倒すために修行を積んで戦いに挑む』というまあそれだけのお話です。
ストーリーの展開も、まるっきり『よくあるカンフー映画』的な流れで、カンフー映画のオマージュやリスペクトを感じさせてくれるのですが、リスペクトを感じる以上に良くも悪くも色んな意味で『雑な作り』の映画という印象なのも正直なところ。
特撮とかも矢鱈とチャチで合成まる出しだったり、アクションシーンもカンフーの型が割とサマになっているシーンがあると思いきや、主人公の使う『酔拳』が『具合の悪そうな人が暴れてるようにしか見えない』レベルだったりとか、色々と出来にムラがあって酷い部分が多いです。
ただ『ツッコミどころ満載の世界観』や『キャラの設定のトンデモ具合』と合わせて、この『雑な作り』が良い意味で本作の味となっており、ツッコミ待ち全開のお馬鹿映画として楽しめる内容になっているのは良いところですね。
特にレゲエやラップのミュージックに乗ってカンフーの修行を行う主人公の姿や、終盤の武闘大会の音楽とか演出が明らかに「モータルコンバット」のパロディになっていたりする辺りとか、シュールで思わず爆笑してしまいましたよ。
でも、『第二次世界大戦の終戦直後』みたいな時代設定のはずなのに、出てくる車や銃器や小物やらが明らかに現代のものだったりするのは、『そこはもうちょっと頑張れよ』とツッコミを入れたくなったのは自分だけ?(笑)
総評としましては、色々と酷い出来の『超低予算のお馬鹿系バイオレンスアクション映画』って感じの作品です。
ただ、そもそも『色々と酷い出来』の部分も織り込んでツッコミを入れつつ楽しむ映画だと思うので、そういうネタ映画を求めているのであれば一見の価値アリかな?
まさに『愛すべきクソ映画』って感じのバカっぷりなので、とりあえず『第二次大戦を生き延びたヒトラーと東條英機がアフリカを空手で侵略』という無茶苦茶な設定やら、何故か現代のガーナで制作された『古き良き時代のカンフー映画のパロディ』という部分が心の琴線に触れるようであれば、間違いなくチェックしておいて損の無い一本だと思いますよ。