■■■「海底47m 古代マヤの死の迷宮」■■■
(60点/生物パニック)
メキシコのユカタン州に住むいじめられっ子の女子高生ミアは、その気弱な性格から父親の再婚相手の連れ子である同い年のサーシャとも打ち解けられずにギクシャクした関係を続けていた。
そんな折、彼女たちの仲を心配した両親は、二人の距離を縮めるために水中の窓からサメを見学する遊覧船ツアーのチケットをプレゼントする。
しかしツアーの当日に、同じ学校でミアをいじめている同級生の女子が同じツアーに参加している事が判明。
ツアーへの参加に逡巡するミアに、サーシャの友達のアレクサとニコールの提案で、最近発見されたまだ調査前のマヤの海底遺跡へのケーブダイビングに向かうことに予定を変更。
遺跡に訪れた彼女たちは、水中に残された古代遺跡の神秘的な光景に大興奮するが、ふとした事故から遺跡が崩落し水中に閉じ込められてしまい…
未調査の海底遺跡のケーブダイビングに訪れた4人の少女たちが事故により海底洞窟に閉じ込められたうえに、そこに潜む巨大な人食いザメの襲撃を受ける…という、人食いザメものの生物パニック映画。
シャークダイビングを題材とした『海底版「オープンウォーター」』とでもいうような佳作シチュエーションホラーである「海底47m」と同じ監督によって撮られた正式な続編に当たる作品(原題も「47 METERS DOWN: UNCAGED」と、まんま続編のタイトル)ですが、ストーリー的にも設定的にも前作との繋がりは特にコレといって無いようです。
また、前作はリアルなシチュエーションと緊張感あふれる展開で、低予算のワンシチュエーション作品の割にはなかなか怖い内容でしたが、今回はサブタイトルに『古代マヤの死の迷宮』なんて微妙に胡散臭いタイトルが付いているとおりに、『女子高生4人が主人公の冒険映画』的なテイストが強くなっており、前作とはかなり方向性の違う作品となっている印象。
ただ方向性が変わったからといって、本作がツマンなくなったかと言うとそういう訳でも無くて、コレはコレで割と良く出来ています。
『海底に水没した未発見の遺跡でのケーブダイビング』というシチュエーションもワクワクしますし、海底遺跡の神秘的な光景もなかなかに雰囲気が出ていて良い感じ。
主人公たちを襲う『太古から遺跡に潜む目の退化したホオジロザメ』という設定も、いかにも中二病的で良い味を出していますし、このサメが物凄く狂暴な上に白目を剥いた悪霊のような面相で襲い掛かってくるビジュアルがメチャクチャ怖いんですよ。
この『海底遺跡』や『怪物』も含めて、シチュエーションがいかにも『ロマンあふれる設定』でブン殴ってきている感じで、海洋冒険ものとしてはなかなかに好感触。
サメの襲撃以外にも見せ場となるようなシーンが多く、お話のテンポも非常に良くて『冒険映画』としてはなかなか良く出来ています。
ただ『冒険映画』の要素が強くなったことで、緊張感あふれる内容だった前作に比べると、そこまで緊張感が感じられない作りになってしまった感があるのは残念なところ。
前作のような『怖い映画』を期待していると、ちょっと肩透かしを食らわされてしまうかも?
というか、ここまで全く違うノリの映画にするなら、むしろ前作の続編的なタイトルを付ける必要は無かったんじゃ?(特にタイトルの「47m」とか、本編となにも関係ないし…)
あと他に気になった点としては、『女子高生4人』がメインの登場人物として描かれている割には、水中では全員が同じようなウエットスーツを着てるうえにマスクを装着しているせいで、ダイビング中は誰が誰だか全く見分けがつかずに、いま一つキャラが立っていないのは気になったかなぁ?
(なんで、キャラ毎にスーツの外見をもっと変えるとかしなかったのか…)
それと細かい話ですが、サメは『ロレンチーニ瓶』という獲物の生体電流を捉える感覚器官を持っているので、目が退化しても獲物を視力を失ったからといって『音をたてなければ安全という事は無いのでは?』というツッコミを入れたくなったのは自分だけですかね?
総評としましては、なかなか良く出来た『海洋冒険もの生物パニック映画』って感じの作品ですね。
『海底遺跡の迷宮からサメの襲撃を逃れて脱出する』という、いかにもマンガとかゲーム的なシチュエーションに興味が湧くようであれば、普通に楽しめる一本だと思います。
ただ、前作のような『リアリティのある怖さ』とか『緊張感あふれる展開』とかに期待していると肩透かしを食らってしまう感じなので、続編ものとして期待している場合は『やや注意の必要な作品』かもしれません。