■■■「エスケーピング・マッドハウス」■■■
(50点/サスペンス)
1887年のニューヨーク。
『ネリー・ブラウン』という自分の名前以外の全てを忘れて、心神喪失状態でさまよっていた女性が保護される。
ブラックウェル島精神科病院から脱走してきたと思われることから精神科病院へと戻された彼女は、そこで拷問や虐待まがいの治療行為を受けさせられてしまう。
そんな最中、現在の寮長のやり方に疑問を持つ新任医師のジョサイアの協力で徐々に記憶を取り戻していくが、その記憶には驚くべき秘密が隠されていたのだった…
自分の名前以外の記憶を無くして精神病院に入れられた女性が、そこで恐るべき虐待行為を受けるうちに徐々に記憶と真実を思い出していく…という、精神病院ものサスペンススリラー映画。
実際に過去のアメリカの精神病院で行われていた恐るべき虐待行為と、患者たちの待遇が改善される切っ掛けとなったとある事件を描いたいわゆる『実話に基づくフィクション』という感じの作品ですね。
お話としては『とある記憶喪失の女性が精神病院に入れられて、そこで治療とは名ばかりの激しい拷問や虐待まがいの扱いを受けるんだけど、病院で過ごすうちに徐々に「自分が精神病院に入ることになった真相」を思い出していく…』という感じの展開。
一応は謎解き系のサスペンスとなっているのですが、中盤辺りで事件のほぼ真相までたどり着いちゃうので、謎解き要素はそこまで濃くない印象。
むしろ、精神病院で行われていた『治療とは名ばかりの虐待行為』の描写が割と生々しくて、ほんの19世紀の頃まではこんな行為が現実に行われていたのかと考えると、なかなか怖さを感じさせられます。
また残虐な寮長の仕打ちに加えて、主人公の味方と思われていた若い医師がこれまたクセモノだったり、キャラの立て方は良く出来ています。
虐待行為と逆境の連発で、主人公が真実に近づいているのに逆にどんどん絶望に追い込まれていくような感じなのも構成として面白いですね。
ただ前述したとおり、サスペンスの割には謎解き要素が薄めでストーリーとしてそんなに意外性が無い事と、実際にあった事件をベースとしているせいで全体的にそこまでエゲつない展開や派手な展開も無くやや盛り上がりに欠けるのは難点かなぁ?
そこまで盛り上がる展開もなく、全体的にダラダラとした感じでお話が進んでいくので、個人的には中盤辺りでちょっとダレてしまいましたよ。
ラストの展開とかはカタルシスもあってなかなか良い感じだったので、もうちょっとスピード感のある作りになってればなぁ…と感じる作品でした。
総評としましては、『そこそこパンチの効いた精神病院を題材とした実話ベースのサスペンス映画』って感じかなぁ?
『精神病院もの』とかの題材に興味があれば、まあそれなりに楽しめる一本ではないかと思います。
強く推すほどでもないですがアマゾンプライムで無料で観れる作品ですので、プライム会員で題材が気になるようならば観ておいても良いかもしれませんよ。