■■■「メタモルフォーゼ/変身」■■■
(55点/オカルト)
ソヌ、ヒョンジュらの姉妹の一家は、とある事情から郊外の新居へと引っ越す事となる。
しかし引っ越し先の燐家の住人が、夜中に異常な騒音を立てたり、窓際にネコの死体を吊るしたり嫌がらせのような異常な行動を繰り返すことから、父親が苦情を申し立てに行くが、そこで家の中に大量の動物の死体が吊るされている異様な光景を目撃。
更にはそれ以降、彼らの家族が唐突に『別人のような暴力的な態度』を取るようになったりと異常な現象が続発。
家の中に『家族以外の何者か』が侵入しているのではないかと疑った彼は、神父で悪魔祓いである弟のジュンスに助けを求めるが、ジュンスは過去に悪魔に取り憑かれた少女を助けられなかった事がトラウマとなり神父を引退しようとしていた…
自在に姿を変えて人間を欺く悪魔に狙われた家族の味わう恐怖と、彼らを救おうとする神父と悪魔との戦いを描いた、オカルト風味のモンスターホラー映画。
変幻自在に姿を変えて人間を欺く悪魔、いわゆるシェイプシフター(ドッペルゲンガー)を題材とした、悪魔と神父との戦いを描いたホラー映画なのですが、悪魔祓いを題材とした映画としては珍しい韓国製の作品だったりします。
まあ、韓国でもキリスト教の神父は存在するので悪魔祓いもあるのかもしれませんが、映画としてはあまり聞いたことがないシチュエーションという印象。
ただ、実際の中身の方は悪魔祓いを題材としたオカルト映画というよりもモンスター映画のテイストが強くて、『家族の一員に変身して家族を破滅に導こうとする怪物と家族(+叔父)』との対決を描いたモンスター映画と言った方がシックリくる印象。
しかし『悪魔祓い映画』としてはさておき『モンスター映画』としては普通に良く出来ている感じで、家族の誰がモンスターによるの『なりすまし』なのかといった「ボディスナッチャー」的なサスペンス要素は面白いですし、見知った肉親が唐突に豹変する不気味さとか怖さなんかもなかなか上手く表現できています。
演出としても『動物の死体だらけの隣家』の様子等、グロ目のシーンのビジュアル的なインパクトが良いアクセントになっており、全体的にやや地味なお話のなかで見どころになっているのも良い感じ。
また中盤以降の展開のテンポの良さも悪くなくて、サクサクと観れて楽しめるのは好印象です。
ただ、全体的なストーリーやらキャラの掘り下げやらが微妙な感じで、やや不満点になってしまっているのは残念なところ。
主人公の家族と叔父の神父の関係性もいま一つハッキリせず、人間関係の掘り下げが薄すぎるせいで、人間ドラマ的なシーンが蛇足な印象になってしまっているんですよね。
神父の過去のトラウマに関しても、尺を取って掘り下げた割には特に作中で解決している訳でも無いですし、キャラを掘り下げるならもう少しシッカリとやって欲しかった印象です。
オチも『某有名作品のリスペクト』と言えばそうなのですが、ちょっと唐突なうえにありきたりな展開に感じてしまったので、もうひと捻りあっても良かったかなぁ?
あと割とどうでも良い事ですが、神父が悪魔と戦う時に『悪魔の名前を聞き出す』という『お約束』の手番が踏襲されていなかったり、そもそも実際に韓国に『悪魔祓い』の資格を持った神父とか居るのか(カトリックの『エクソシスト』は割とキチンとした資格が必要だったはず)とかもちょっと気になったけど、まあ本格的な『悪魔祓い映画』ではなくてライトなノリの作品であれば、こういうノリもアリかなあ?
総評としましては、物足りない部分もあるものの『そこそこ楽しめるレベルのモンスターホラー映画』といった感じの作品ですね。
『本格的な悪魔祓いもののオカルト映画』として見ると、ちょっとモヤっとしてしまう部分もありますが、そもそも『韓国製の悪魔祓い映画』というジャンル自体が非常にレアなので、それだけでも興味が惹かれる部分ではあると思います。
ともあれ強く推すには弱いですが、ビジュアルの面白さとか独特のテイストとか観るべき部分もあるので、気になっているならチェックしてみても良いかもしれませんよ。