■■■「必殺! 恐竜神父」■■■
(25点/アクション)
突然の自動車の爆発事故で両親を失った敬虔な牧師のダグは、先輩牧師の勧めで心の傷を癒すために中国へと旅にでる。
旅先で、偶然にも忍者に追われて絶命する寸前の女性から恐竜の牙の化石を受け取るが、その化石は実は人間を恐竜に変身させるという超パワーを秘めたものだった。
期せずして恐竜パワーを手に入れたダグは、暴漢に襲われていた娼婦のキャロルを助けた事を切っ掛けに彼女と共に街に潜む巨悪との戦いを決意するが、彼らを狙い街を牛耳ろうとする中国ニンジャの軍団が出現し…
恐竜に変身するパワーを手に入れた神父がマフィアの率いるチャイニーズ・ニンジャ軍団と戦う…という、ヒーローもの風味のアクションコメディ映画。
『恐竜に変身する神父が中国ニンジャ軍団と戦う』という時点で既に意味不明過ぎる設定なのですが、それ以外の部分を含めても色々と無茶苦茶でハチャメチャな設定のZ級レベルの超低予算アクション映画ですね。
設定から想像できるとおりに何ともカオスな内容で、『超低予算系でマジメに撮った作品』というよりは『超低予算をネタにしてネタ方向に振り切ってやろう』というお馬鹿テイストの映画という印象。
お話の舞台として『中国』が登場しても、主人公が『中国に着いた』みたいに語ってるだけで、どうみても『その辺の近所の山の中で撮った映像だろ』みたいな感じだったり、車が爆発するシーンでは『爆発炎上する車』みたいなテロップで映像が省略されていたりと、物凄い割り切った手抜き…もとい製作費の節約っぷりが大胆で、なかなか笑わせてくれます。
ストーリーも物凄いグテグテで、中国ニンジャ軍団の時点で『中国なのかニンジャなのか、ハッキリしろ!!』って感じではあるのですが、唐突にどうでもいい明らかな脇役キャラの過去の回想が入ったり、主人公の先輩神父が中国ニンジャと繋がりがあったり、何の伏線もなくニンジャの刺客として『主人公の生き別れの兄弟』が登場したり…
とにかく、ストーリーの整合性とか『なにそれ美味しいの?』ってレベルでノリとイキオイだけで作ってる感がヤバいです。
肝心の主人公が変身した『恐竜神父』の姿も、『デパートの屋上のショーの着ぐるみかよ?』とツッコミを入れたくなるような安っぽさで、この着ぐるみがニンジャ軍団と華麗な死闘を繰り広げるシーンは爆笑もの。
とまあ、ここまで書くと色んな意味で『割と面白い映画』のような雰囲気があるのですが、実際の中身の方は何というかシナリオも特撮も含めた『グテグテっぷり』が酷くて、観ていてなかなかに辛い内容という印象。
ストーリーは支離滅裂でまとまりが無くて、何を描きたいのかサッパリ分かりませんし、肝心の『恐竜神父』の出番も殆ど無くて全体的にテンポが悪いです。
また、『低予算をネタにしたギャグ』のようなシーンを所々で挟んでくるうえに、ギャグのセンスも微妙なので『ここはもしかして笑うべきシーンなの?』と困惑してしまうようなノリが散見されたのも、バカ映画としては気になるところかなぁ?
この手の映画は『バカを真面目にやってる』方が面白い場合が多いので、『マジメだけど低予算でダメになっているシーン』と『ネタのシーン』が、もうちょっとシッカリと描き分けられてた方が良かったような気がしますよ…
総評としましては、色々とダメダメな感じの『超低予算特撮アクション映画』って感じの作品ですね。
ネタ映画としてチェックするぶんには、なかなか楽しめる内容ですので観ておいても良いと思いますが、普通にアクション映画のとしてのクオリティを1ミリでも求めたらダメな映画という印象でしたよ。
とまれ、ネタとして超低予算のバカ映画を求めているのであれば、チェックしておいても損は無い一本ではないでしょうか?