NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブラッド・パンチ タイムループの呪い」(60点/サスペンス)

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■■■「ブラッド・パンチ タイムループの呪い」■■■
(60点/サスペンス)


 ドラッグ依存症の治療のためリハビリ施設に入る事となった化学専攻の大学生のミルトンはリハビリ施設で知り合った女性・スカイラーにそそのかされて風邪薬から覚せい剤を精製するための手伝いをする事となる。


 スカイラーの恋人であるラッセルの手引きで施設から脱走したミルトンは、彼らと共に郊外の狩猟小屋に身を隠して覚せい剤の精製を開始。


 精製が終わったタイミングでラッセルは裏切り、ミルトンを殺害しようとするも、なんとか返り討ちにした彼はスカイラーと共にラッセルの死体を庭に埋めてしまう。


 しかし翌日に目を覚ますとラッセルは蘇っており、『前日の朝』に時間が巻き戻っているという異常な事態が発生している事に事に気づき、彼らはラッセルに殺されないために、再びラッセルを殺すが、何度殺しても『翌日の朝には前日に時間が巻き戻ってしまう』という、謎の『時間のループ』に囚われてしまい…

 


 麻薬の密造を目論む3人の男女が謎の『時間のループ』に囚われてしまい、ループから抜け出すために何度も血みどろの殺し合いを繰り返す…という、ブラックな設定のタイムループものサスペンススリラー映画。


 Amazonのプライムビデオに無料で来ていたのでなんとなく鑑賞してみたのですが、思った以上に良く出来た『タイムループもの』のサスペンス映画でした。


 いわゆる『タイムループもの』では『主人公や周りの人間が何度も殺される』みたいな設定で、その悲劇を防ぐためにループを抜けようとするみたいなパターンが多いですが、本作は『同じ時間を繰り返して何度も何度も相手を殺し続ける』というなかなか捻りの効いたパンチのある設定の作品となっています。


 お話としては『無法者たちと麻薬の密造に加わる事になった青年が、麻薬が完成して殺されそうになった際に襲撃者を殺してしまったところ、謎の「タイムループ」に囚われて延々と同じ日を繰り返す事となってしまう』みたいな感じの設定。


 主人公は『同じ日の同じ時間』に殺されそうになるので、それを避けるために先回りして相手を殺すんだけど、何度殺しても時間が巻き戻って同じ日を繰り返してしまうため、しまいにはごく自然な日常のルーチンワークのように『延々と同じ相手を殺し続けるようになってしまう』という展開は、なかなかにブラックで笑わせてくれます。


 また単純な『時間のループを抜け出す方法を探る』だけのタイムループものかと思いきや、中盤辺りから『悪党どうしの腹の探り合い』みたいな要素も絡んできて、お話が二転三転して先が読めない展開に突入していくのも、他のタイムループものには無い感じの凝った作りになっていて面白いですね。


 あと、本作では何故か『殺された人間の死体はタイムループした翌日にも残っている』という謎の法則があって、『殺した相手の死体が日を重ねる毎にどんどん増えていく』という絵面は、なかなかにシュールでちょっと笑ってしまいました。


 ただ、設定やらストーリーやらは個性的で面白いのですが、全体的にちょっとお話のテンポが悪い部分が目に付くのは気になるところ。


 最初の『タイムループ』が発生して事件が動き出すまでも無駄に長いですし、それ以降も『タイムループ以外の要素』のお陰で、ちょっと脇道に反れるような展開が多くて、どうにも冗長な印象を受けてしまいます。


 オチも割と捻りが効いててサスペンスとしても面白かったのですが、メインの主人公たちの3人があまりキャラクターに魅力が感じられないため、どうにも感情移入できずに観ていてスッキリしない感じになってしまっているのも残念なところかなぁ?


 あと本作は主人公が『殺す側』なので、『タイムループによる緊張感』がいま一つ弱いのも気になるところでしたよ。

 


 総評としましては、『なかなか楽しめるレベルのタイムループものサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 

 タイトルの通りに、意外とパンチの効いたブラックな内容の個性的な作品ですので、この手のジャンルが好きであればチェックしてみても良いかもしれません。


 とまれ、Amazonプライムに入っていればタダで観れる映画ですので、プライムのユーザーで気になるようであれば観ておいても損は無いんじゃないでしょうか?