■■■「アンチ・ライフ」■■■
(50点/モンスター)
西暦2242年。
環境破壊と疫病の流行によって地球は滅亡の危機に瀕していた。
人類は地球を捨て、5000万人の富裕層を宇宙船によって太陽系外の植民惑星である『ニューアース』へと移民させることを計画。
軍の提督の娘であるヘイリーの恋人のノアは、宇宙船の作業員としてなんとか植民船へと乗り込むことに成功し、『ニューアース』へと向かう人々がコールドスリープで眠る間の船の保守を行うこととなる。
しかし航海開始から数十日後、クルーの数名が血まみれの状態で変死を遂げるという事件が発生。
現場が人間の仕業とは思えない惨状だった事から、ノアは上司のクレイらと共に事件の原因を知ると思われる行方不明のクルーを捜索するが、そのクルーは正体不明の『寄生生物』に取り憑かれており…
外宇宙の植民地へ向かう宇宙船の中に取り憑いた人間を怪物化させる正体不明の『寄生生物』が侵入し、クルーたちが命をかけた戦いを繰り広げる事となる…という、モンスターパニック映画。
一応、ブルース・ウィリスが準主役として共演してる作品ではありますが、有名俳優が出演している割には、なんというかB級…というよりもD級ぐらいレベルの低予算モンスター映画って感じの作品です。
ちないにお話としては、『宇宙植民地に向かう宇宙船の中にエイリアンと思われる「謎の寄生生物」が侵入。寄生生物は次々とクルーに取り憑き人間を怪物へと変貌させつつ感染を拡大していくが…』みたいな感じの展開。
寄生生物は「シーバース」に登場したようなワーム型の生物で、『人間の口から侵入して寄生した人間をコントロールする』みたいな設定なのですが…
「物体X」的な『誰が寄生されているかを探る』みたいなサスペンス的な要素は一切なくて、『寄生された人間がタフな不死身の怪物になる』という感じなので、ノリ的にはまるっきり『ゾンビ映画』と変わらない印象ですね。
とにかく『寄生生物のせいで狂暴化して襲い掛かってくる乗員たち』を生き残ったクルーたちが迎え撃つみたいな感じで、特にSFらしい要素とか寄生生物ものらしい要素は殆ど無いのは残念なところ。
ただ低予算映画といいつつも、一応はSFのスタイルを取っているだけあって一般的なソンビ映画とかよりはお金がかかっている感じで、宇宙船の船内のセットとかもそれなりに作り込まれていますし、アクションとか銃撃戦とかがそこそこ派手なのは好感触。
しかしストーリー的な面白味は殆どなくて、寄生生物要素とかSF要素とかはあまり活かされておらず、ほとんどのシーンが延々と同じような『ゾンビ軍団を銃器で迎え撃つ』だけのアクションシーンの繰り返しのせいで、途中でちょっと飽きてしまいます。
一応は謎解き要素はあるものの『寄生生物』の正体も結局は良く分からないままですし、サスペンス的な要素も薄くて場当たり的な展開が多いため、全体的に緊張感が薄くていま一つ盛り上がりに欠けるのは困りもの。
ただ、終盤で登場する「遊星からの物体X」のブレアモンスターみたいな『合体エイリアン』は割とインパクトがあったので、そいつはもっと活躍させて欲しかったところかなぁ?
まあ、プロットそのものはそこそこ悪くない印象だったので、『もうちょっと設定を活かす話作りになってればなぁ…』という感じの作品ではありましたよ。
総評としましては、特徴が薄くて『いまひとつ盛り上がりに欠けるモンスターパニック映画』って感じの作品ですね。
というか、寄生モンスターを題材にしてる割には『宇宙船を舞台にしたゾンビ映画』にしか見えない内容だったので、設定を活かすもう一工夫が欲しかったです。
ぶっちゃけ、ブルース・ウィリスのファンで余程気になっているとかで無ければ、特に急いで観るほどの作品ではないので、気になっている場合は気が向いたタイミングででもどうぞ…って感じの一本でした。
(ちなみにブルース・ウィリスの作中での扱いは割と良かったです。)