NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「クレイジーズ 42日後」(55点/モンスター)

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■■■「クレイジーズ 42日後」■■■
(55点/モンスター)


 ある朝、マンションの自室で目を覚ました若者のエイデンは、マンションの外で市民同士の奇妙な暴動のようなものが発生しているのを目撃する。


 驚いた彼がTVを点けてみると、全世界で『人間を激怒させ狂暴化させる謎のウイルス』のパンデミックが発生しており、感染者に噛まれた人間も同じように感染者となり、感染者が爆発的に増加しているという驚くべき事実を知る。


 自室に引きこもって感染者の襲撃をやり過ごしていた彼だったが、感染の開始から42日後、遂に食料も殆どが底を尽き、またパンデミックによって両親や家族も失った事を知ったことから、自分の勇気の無さと境遇に絶望し自殺をしようと試みる。


 しかし、そんな矢先に向かいのマンションに自分以外の唯一の生存者である若い女性が居る事に気づき、紙に書いた文字のやりとりで彼女と親しくなったエイデンは、なんとかして彼女を救えないかと考え行動を開始するが…

 


 人間を狂暴化させるウイルスの大流行で文明が崩壊した世界で、向かいのマンションに唯一の生存者を発見した若者が彼女と共に生き延びるために行動を開始する…という、ソンビもののモンスターホラー映画。


 タイトルに「クレイジーズ」と付いているものの、当然ながら本家の「クレイジーズ」とは何の関係も無い作品で、どちらかといえば28日後....」にはインスパイアされたような雰囲気を受ける作品という印象ですね。


 系列的にはいわゆるゾンビ映画なのですが、28日後....」と同様に『人間を極度に狂暴化させて暴走させるウイルス』という設定で、走るタイプの『活きの良いゾンビ』の登場するタイプの作品といえば、ホラー映画好きにはなんとなくイメージが湧きやすいかも?


 サバイバルもののゾンビ映画とは言いつつも、序盤は主人公がひたすら部屋に一人で引きこもって、絶望やら妄想に囚われる様子が延々と描かれるだけなので、いわゆるセカイ系』的なシチュエーションスリラータイプのゾンビ映画なのかと思いきや、中盤に『第二の生存者』が登場してからお話の流れが変わり『主人公の世界が一気に広がっていく』感があるのは、主人公の気持ちとシンクロするような解放感が感じられて面白い構成ですね。


 42日間に渡って救助も無く、家族も失って他の生存者が居るかどうかも分からないような状況では、確かに絶望して死にたくなるのも分かりますが、向かいのマンションに『若い女性が一人で生存している』と知っただけで、希望を取り戻し勇気を振り絞って頑張ろうとする主人公の姿には『男って単純だな…』と思いつつも、妙に共感できる部分があります。(笑)


 設定から分かるとおりに、ちょっとだけ『ゾンビだらけの世界でのボーイ・ミーツ・ガール』みたいな恋愛ドラマ的な要素もあるのですが、その要素もそこまでうるさくなくて爽やかな感じでまとめられているため、ゾンビ映画として観てもバランス感も悪くありません。


 また中盤以降の流れも、単純に『サバイバルホラー』的なストーリーに突入するだけかと思いきや、『第三の生存者』が登場してからの怒涛の急展開的な流れも予想外で面白いですし、ラスト付近のスピーディなテンポの良さも良く出来ている印象。


 ただ先述のとおり、序盤が『主人公がひたすら部屋に一人で引きこもってる姿』を描くだけなので、観ていて非常に退屈なのは困りもの。


 世界が広がる『中盤以降との対比』のために虚無感がシッカリと描かれているといった部分はあるのでしょうが、さすがにちょっと観ていてダレてしまいましたよ。


 また、設定に関してもパンデミックの発生から42日後』という設定の割には『感染者たち元気すぎるだろ!!』ってのは気になるところ。


 感染者たちに計画的に食料を貯蓄するような脳があるようには見えない(というか死体は食べないという設定)のに、ゾンビ化してからずっと元気に走り回っているゾンビたちが、42日も経っても異常に元気なのはちょっと変じゃないですかね?


 あと、主人公も『一人暮らしの家庭で42日も食いつなげるほど食料を備蓄してたんか?』ってのも不自然(もしかしたらイギリスでは備蓄を持つのが一般的なのか?)ですし、もうちょっと事件が起こるまでの日数は短くても良かったのでは…


 またお話の構成は割と凝ってて面白いのですが、所詮は低予算映画のため映像の迫力とか派手なシーンとかは殆ど無くて、全体的に盛り上がりに欠ける印象なのは残念なところかなあ?


 もうちょっと序盤とかで派手な見せ場となるシーンでもあれば、更に盛り上がる内容になったんじゃないかとは思うので、その辺はもうひと頑張りして欲しかったですよ。


 オチとかも、冷静に考えると『何の解決もしてなくない?』的な終わり方ではあるのですが、割とキレイな締め方で良い感じでしたし思ったよりも楽しめたソンビ映画って感じの作品でした。

 


 総評としましては、派手さは無いものの意外と良く出来た『爽やかな気分になれる青春系ゾンビ映画って感じの作品です。


 捻りは無いものの、割とベタベタな『恋愛ドラマ』的なノリは悪くないですし、作品のテーマも分かりやすくて良い感じなので、ゾンビものが好きでその手のノリに拒否感が無ければそこそこオススメできる一本ではないかと…


 強く推すほどではないですが、『ちょっと変わったノリのゾンビ映画』として気になるようであればチェックしてみても損は無い作品だと思いますよ。